表示件数
0

満天の星

ほんものは
しっかりとそこにあって
ぞっとするほど美しかった
らせん階段の先へ
のぞんだ世界と
しんでしまった昨日を抱いたまま
ただ、一歩ずつ

僕は
はやく消えてしまいたかった
どこでもいいから
この世界を外れ、どこか遠くへ

0

レモンスカッシュ

どこか淡くてどこか切なくて
この気持ちが弾けてしまったら
今のままじゃ居られない

触ったら
壊れてしまうような
脆くて儚い僕達だ

0

ひとつの世界

好きなバンドも
好きな作家も
もうしばらく会っていないひとも

会えないから
彼らはもしかするとパラレルワールドなるものに住んでいて
私と交わることはいつまでもないんじゃないかと
そう思ってしまう

それがただの考え過ぎだとわかったとき
幸せなんだと思った

0

融けていく

だれかがつくった玄関先の雪だるまは
お尻からとうめいに融けて、
濡れた舗道がくろく、湿ったまま
外灯が照らした、雪の日のおわり


(ここらでは五年ぶりかな…起きたら雪でした。)
(もうすっかりとけてしまったよ。)

0

時間旅行

奇跡のような 運命の出逢い
長い時間を旅して来た気分
暗い暗い道を
あなたに出逢えて
私の未来は光で溢れた
あなたとなら
いつまでも一緒に
このまま
たとえ時間が二人を引き裂いたとしても
また繋がり合えると言えるよ
私はもう一人じゃないのね

0

かくれんぼ

隠恋慕
昏い星座を
指でなぞるように
見つけ出して

4

LOST MEMORIES 405

瑛瑠は、ばっと右耳を押さえる。
「な、何するんですか!
わざわざ耳元で言わなくても良いでしょう!」
顔を真っ赤にしている瑛瑠を見て、さも面白そうに笑う英人。
「想像通りの反応をどうも。」
まだおかしそうに笑っているのを見て、瑛瑠はつんと顔を背ける。押さえた右耳は、まだ英人の言葉が残っていて、じんわりと胸が熱くなる。
隣の英人は立ち上がって軽く伸び、こちらを向いた。
「不安は?」
瑛瑠は見上げて悪戯っぽく微笑む。
「望さんとデートしてきちゃいます。」
そんな様子を見て英人は苦笑し、中指で瑛瑠の額を弾いた。
「!?」
驚きすぎて抗議の言葉すら出てこない瑛瑠に一言。
「なんか腹立った。」

0

ブラウニー

ねえ、今週はバレンタインデーがあるでしょう?
だから連休の休みにブラウニー作ったの
あなたの好きなブラウニー
まあみんなのために作ったんだけど
あまっちゃったからさ、食べに来ない?


そんなメールを書いては消して、
あなたに会えないままでいる

0

呪縛

恋愛だけが青春じゃないって

そんなこたあわかってる

ただ一つ言えるのは

あのときの僕の恋は間違いだった

だのに、僕の思いは

未だあの駅のホームで座り込んで

座り込んで動こうとしない

もうあのベンチに

座ることもないだろうな

帰らないあの日々

帰ってこなくていいけど

せめて受け入れられたら

せめて手放せたら

どんなにかいいだろう

二月と三月と十月と十二月は

僕の呪いだ