私はもう、居ないんだよ。
君からの手紙。
空想に囚われていたのは僕だった
君の笑顔は呪いに変わる
僕の心を離さない
君はもう、
愛してるからこそ、愛してるという言葉じゃ
僕の気持ちを表せない
弱虫な僕を嫌いになったのかもしれない
手を伸ばした先に君はもう居なかった
この前みたいに僕の名前を呼んでくれるんでしょ?
今君が想っている人が僕じゃなくても
僕はこうして君の名前を呼びながら走っている
探さなきゃ、探さなきゃ
探さないともう君に会えない気がして
涙が出てくるから
また弱虫な僕を怒ってよ
*
目の前で小指を立てられた。
「な、に……?」
思わず聞き返すと、目の前の女性は儚げに微笑む。
「指切りよ。」
「ゆび、きり?」
「そう、指切り。」
少女の手をそっと掴み、優しく小指を絡ませる。
「約束ってこと。」
絡められた小指をまっすぐ見つめる少女は、約束という言葉を反芻する。
「どうか、生きて。この子を、独りにしないで。」
あまりにも震えた声で言われるから、少女はこくりと頷き、小指にきゅっと力を加えた。
*
疲れた身体を癒すには
浅い眠りを何度も繰り返すより
君の姿を一瞬でも
この目に映すほうが効果的
眠れない夜を迎えに行く日々
理想と現実を行き来する
君の存在が
時にあたしを苦しめる
あつい。
蒼白の幽鬼。不自然に重く。
冷たい筈が。
風鈴と蝉の音。
きっと中てられたのだ。
あつい。
冷たいのに、あつい。
浅い呼吸で、手が死んでいる。
そんな手だから。
或いは背中を冷たい汗が伝うから。
あついと、錯覚しているのか。
本当は冷たい躰が。
持ち上げようとすると、
不自然に重くて、
あつい。
何者よりも優しくあり
何者よりも残酷である
優しさで溢れる世界も
残酷さで溢れる世界も
同じ人が住んでいる
皆さんどうもこんばんは。相も変わらぬmemento moriでございます。ふら~っと掲示板を眺めていると[すなふきん]さんの詩に「はッ!!!」としまして。では、お題です。
手紙に書かれていた一文。
シチュエーション、自由。文字数制限、無し。韻文、散文問いません。
なんだ、今日はいつもよりユルユルじゃない?(そんなこと無い)
タグは、「たった一言」でお願いします。
ではでは。memento moriでした。
いつかずっとずっと昔のこと
この惑星 宇宙さえなにもなかったころ
無さえ存在しえなかったころ
そんな記憶にも満たないどこかに
いちど見たんだこのすべてを
同じこと幾度となく繰り返してきたような
でも瞬きをもうひとつしたら
なにもかも忘れてしまいそう
きっと忘れてしまったことさえ忘れてしまうから
この瞳孔にも映していないもの
揺らめく光と水のなかに葬られた私
永遠にこの静かな音のなか
生きていたことさえ曖昧に消えてゆく
水面の向こう側にいる人々の記憶からも
きっと消えてしまうのね悲しくはないけれど
胸に組んだ合掌を爪の端の端から
抗えないなにかが溶かしてゆくよう
さあその瞬きをひとつ
永遠に
なにも見えない聞こえないの
ここには無さえないから