パステルカラーの花びらは
青い風に飛ばされていった
五月病の人は いっその事
六月の花嫁になっちゃえばいいのに
そしたらきっと面白いでしょう?
どこにいっても笑顔が溢れる
そんな季節にしたいから
君の力をちょっと貸してよ
さあ、煌めく夏はすぐそこだ
思わず声が聞こえた方向を見ると、そこにはわたしの前の席に座っている笛吹さんの取り巻き達がいた。
「…それ亜理那のじゃん」
取り巻きの1人が、そう言ってこちらに1歩近付く。
「何やってるん不見崎(みずさき)」
「あ、まーさーかーっ」
他の人たちも不審そうにこちらへ寄ってくる。…めちゃくちゃ嫌な予感がした。
「えっ、あっ、違うよっ、これはただ…」
「…まさかそれ亜理那から奪おうとしたとか」
近寄ってきた取り巻きの1人の言葉に、わたしは動けなくなった。
「え? ちょ、やばくね?」
「うーわー、ひっでー」
「てか亜理那とちょっと仲良くなったから調子乗ってんじゃね?」
「あ、ソレ思った」
「なに? アンタ亜理那の恩恵受けたいの? アンタみたいなのには無理よ、そんなの」
「つかさー、なんでアンタみたいな奴が亜理那と―」
めくるめく非難の数々。他の女子達はただ周りから静かに傍観し、男子たちは気まずそうにこの場から離れていく。
君に通じないことばがあるなんて
しらなかったんだ
せんせいが言ったことばだから
君もわかるって
そう思っていたんだ
「っ......!!!」
ネロは飛び起きた。痩せ細り衰えた体がみしり、と悲鳴をあげる。しかしその痛みよりも、右目の奥に疼く鈍痛のようなものの方がネロをひどく苦しませた。背中は独房の気温からは考えられないほどの汗をかき、じっとりとにじんでいた。これほどの汗をかいたのも幾年ぶりだろうか。
喘ぐような過呼吸をゆっくりと整え、ネロは湿った石の床に再び横たわった。冷えた自分の汗が不快だ。
痛み続ける右目を押さえ、物思いに更ける。さっきの夢は一体なんだったんだろう。よく覚えていないが、出鱈目な詩のような文言だけは覚えていた。
ディアルキアの息子、盾を失う
王の末裔、侵略の子を討つ
旅は不完全なまま終わり
そしてもう一度、少年は○○○○○
最後の部分はよく聞き取れなかったか、覚えていないかだが、他の部分は確かに覚えている。しかしこれはどういう意味だろう。
「ディアルキア」は確か、創世神アルセイシアの息子で、破壊の神だったはずだ。これについてはよくわからない。「王の末裔」、というのは誰のことだろう。現トルフレア王ルーガルのことだろうか。しかし奴は末裔ではない。それ以外のところはまるでさっぱりだ。特に最後を聞き取れなかったのは痛いかもしれない。
ただひとつ、わかっていることがあるとすれば、これは確かに『デュナの神託』だということだ。王や覇者が英雄を遣わすときに英雄たちが必ず受ける予言。自分は英雄なんかじゃないし、ましてや誰かに遣わされたわけでもない。
時雨視点
「時雨、いいんだよ。一人で抱え込まないで。
あたしが、あたし達が、いるから!」
その声は、紛れもなく、私が守れなかった、大切な人だった。
「どうして?何で涼香が此処に居るの?私が守れなかったのに。」
私が問いかけたけど、涼香は怪物たちの方を向いて、
「ねえ、引きずりこまれるのって、あたしでもいい?」
そう涼香が尋ねると、怪物達は、考えて答えた。
「いいよ〜。君が怪物になってくれるんでしょ〜」そうキョンシーに聞かれると涼香は静かに頷いた。
【続く】
想像出来ない 君のせい
心無い誰かには 無いだろう 感傷
通じる事を信じない日々が作る
麻痺した頭の中に描く世界は
腐ったみたいに色素のない景色が広がる
感傷的だ そのセリフを君から聞く日は
来ない 来てはならない
それは
人のルールブックに書いてるだろ?
来たる週末。その神社は歌名しか把握していないため、ひとまず校門前を集合とすることにした。
「それじゃあ、話した通りです。これからその神社に行ってくるね。」
一応チャールズにこれまでの経緯を伝えておく。報告ミスや帰宅時間が遅いなどの理由でお説教を食らうのはごめんである。
チャールズはいつも通りに見える顔で送り出してくれた。
「あまり遅くならないでくださいね。」
いつもの過保護かと思うも、なんだかそうして消化していいものでもないような気がして、思わずうなずく。
「暗くなる前には帰ってくるね。」
「はい、そうしてください。」
小さく微笑んだチャールズを見てから扉を閉める。
一度、立ち止まってみた。いつもと何ら変わりない休日の風景が広がっている。
「……大丈夫。みんながいる。」
特に理由はない。それでも言い聞かせるような言葉が出てきてしまったことに、行く当てのない不安だけがかすめた。
君を好きだっと言ったら
君はどんな風に思うかな。
心地いいこの関係も
壊れてしまうかな。
君を好きだと言えたら
君は笑顔になるかな。
この不安が、この怖さが、
今の僕の全てです。
忘れられなくて 忘れられなくて
大さじ2杯の塩水を
ジョッキで飲み干しながら
一昨日の海を思い出してる
気づけばいつの間にか朝になって
夜を漂ったような気がして
ただ酔っていただけのような気がして
陽の光に溺れそうになりながらも
わたしは今日もカーテンを開け
光の海で息を吸う
履き潰したスニーカー
結ばれた靴ひも
出来上がった蝶々
雨上がりのアジサイにカタツムリの殻
たまの仕事お疲れ様です。
折り畳み傘をたたんでお礼
水たまりがゆれるくらいの
風が気持ちよく吹いてる。