「ねぇサヤカ、ハルカとどういう関係?」
「ど、どういう関係って…」
わたしは思わず口ごもる。
別に、彼女との関係が気まずいわけではないが…ただ、関係性をどう言えばいいのかよく分からないのだ。
そうわたしが困っていると、痺れを切らしたのか彼女が口を開いた。
「不見崎(みずさき)さんは私と去年同じクラスだったの」
「え? そうなの!」
それを聞いて、亜理那は目を輝かせる。
「サヤカ、それってホント?」
亜理那はキラキラした目でこちらを見てきた。そしてわたしは、そのキラキラにちょっと圧倒されてしまう。
「ま、まぁ…一応同じクラスだったけど、話す機会なかったし、近くの席になったことはほぼないし…」
「そうね、接触する機会まるでなかった」
彼女はわたしのことを気にせず、スパッと言った。
「あまり目立たないし、おとなしい方だったからそこまで気に留めなかった」
彼女は腕を組みながら階段の壁に背中を預けた。
夏休みは必ず終わる。
夏休みがある夏も、いつかは終わる。
真っただ中にあるとわからないけれど、
決して戻らない輝かしい時間。
だからいたい。だからあつい。
だから「時間なんてなくなっちゃえ」
なんて言わないで、
いま精一杯呼吸して。
どうか、死なないで
あふれかえる感動的な言葉のなかで、それだけがささった。
たとえば
学生の頃、好きだった女の子が
自分の冗談で笑ってくれたこととか
3年生になってから入った野球部で
初めて打ったタイムリーヒットとか
数え切れないほどされた恋愛相談に
自分がどれくらい解とか愛とか
探してあげられたかとか
帰りの電車でどうしてか流れた涙とか
そんな青春の1ページの
それもその切れ端みたいなのを
いつまでも覚えていたりするんだろうか
揺れない君の洗濯ものを
眺めながら夏の夕暮れ
いま君が誰のベッドで寝ていても
なにも思えない僕は病気ですか?
そう 思ったら そう
人は思ったようにしかなれない
素敵な言葉に出会った
夏の終わりの雨があがって
纏わりつくような空気を吸って
見上げてふと目があったら
枝の上のカラスがあくびをした
茜の空の夕立があがって
閉めきっていた窓を開けて
網戸についた水滴を撫でたら
あの日の涙を思い出した
秋のはじめの雨があがって
しまい込んでいたギターをつかんで
もうずっと忘れていた旋律に触れたら
窓の外から歌が聴こえた
もう日も沈む頃
静かな夜が
おもむろに近づいてくるのを見た
なつがきらいだ。
キラキラと光る太陽が、輝けない僕を嘲笑うから。
空に広がる入道雲が、雁字搦めの僕を嘲笑うから。
沈んでいく夕焼けが、僕をひとりぼっちにさせるから。
空に散らばる星が、僕に頑張れって言うから。
白んでいく朝焼けが、僕を焦燥感で包むから。
だから僕は、なつがきらいだ。
やっぱり大丈夫でしょ
いや、だめだ
それを繰り返すこと数十回
意外としんどくて
胃が痛くて
泣きたくても
泣けなくて
水が"まけて"くれなくて
私が君に"まけて"あげたのにさ
叶わないの分かってたけど
なんて強がってみても
涙製の鎧は水欠乏症
イガイガイガイガ
胃が痛い 歪んでイガイガ
ひとりぼっちのおにぎりが
こんなに冷たくて
それを食べる時間が
こんなにかかるなんて
誰も教えてくれなかった
喉が意思を持って抗う
戦わなきゃいけないのは
おにぎりじゃなくて自分なのに
横恋慕するrainbow
泣こうとして、笑って、
泣けずに、食べずに。
土に還るまで後何秒?
この恋は土には還らないけどさ