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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 6.ハルピュイア ③

「ねぇサヤカ、ハルカとどういう関係?」
「ど、どういう関係って…」
わたしは思わず口ごもる。
別に、彼女との関係が気まずいわけではないが…ただ、関係性をどう言えばいいのかよく分からないのだ。
そうわたしが困っていると、痺れを切らしたのか彼女が口を開いた。
「不見崎(みずさき)さんは私と去年同じクラスだったの」
「え? そうなの!」
それを聞いて、亜理那は目を輝かせる。
「サヤカ、それってホント?」
亜理那はキラキラした目でこちらを見てきた。そしてわたしは、そのキラキラにちょっと圧倒されてしまう。
「ま、まぁ…一応同じクラスだったけど、話す機会なかったし、近くの席になったことはほぼないし…」
「そうね、接触する機会まるでなかった」
彼女はわたしのことを気にせず、スパッと言った。
「あまり目立たないし、おとなしい方だったからそこまで気に留めなかった」
彼女は腕を組みながら階段の壁に背中を預けた。

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8月

夏休みは必ず終わる。
夏休みがある夏も、いつかは終わる。
真っただ中にあるとわからないけれど、
決して戻らない輝かしい時間。
だからいたい。だからあつい。
だから「時間なんてなくなっちゃえ」
なんて言わないで、
いま精一杯呼吸して。

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あのときだったから

どうか、死なないで
あふれかえる感動的な言葉のなかで、それだけがささった。

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焼き鳥屋さんで先輩と。

たとえば
学生の頃、好きだった女の子が
自分の冗談で笑ってくれたこととか
3年生になってから入った野球部で
初めて打ったタイムリーヒットとか
数え切れないほどされた恋愛相談に
自分がどれくらい解とか愛とか
探してあげられたかとか
帰りの電車でどうしてか流れた涙とか
そんな青春の1ページの
それもその切れ端みたいなのを
いつまでも覚えていたりするんだろうか

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キレイキタナイスキキライ

揺れない君の洗濯ものを
眺めながら夏の夕暮れ
いま君が誰のベッドで寝ていても
なにも思えない僕は病気ですか?

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眠りたくない夜でも僕は寝てしまうんだ
だから君の不眠症をもらっても
僕は寝てみせるよ

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SOS

そう 思ったら そう

人は思ったようにしかなれない

素敵な言葉に出会った

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夏の終わりの雨があがって
纏わりつくような空気を吸って
見上げてふと目があったら
枝の上のカラスがあくびをした

茜の空の夕立があがって
閉めきっていた窓を開けて
網戸についた水滴を撫でたら
あの日の涙を思い出した

秋のはじめの雨があがって
しまい込んでいたギターをつかんで
もうずっと忘れていた旋律に触れたら
窓の外から歌が聴こえた

もう日も沈む頃
静かな夜が
おもむろに近づいてくるのを見た

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きらいだ。

なつがきらいだ。
キラキラと光る太陽が、輝けない僕を嘲笑うから。
空に広がる入道雲が、雁字搦めの僕を嘲笑うから。
沈んでいく夕焼けが、僕をひとりぼっちにさせるから。
空に散らばる星が、僕に頑張れって言うから。
白んでいく朝焼けが、僕を焦燥感で包むから。
だから僕は、なつがきらいだ。

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欠食症恋慕

やっぱり大丈夫でしょ
いや、だめだ
それを繰り返すこと数十回

意外としんどくて
胃が痛くて

泣きたくても
泣けなくて

水が"まけて"くれなくて
私が君に"まけて"あげたのにさ

叶わないの分かってたけど
なんて強がってみても
涙製の鎧は水欠乏症

イガイガイガイガ
胃が痛い 歪んでイガイガ

ひとりぼっちのおにぎりが
こんなに冷たくて
それを食べる時間が
こんなにかかるなんて


誰も教えてくれなかった

喉が意思を持って抗う
戦わなきゃいけないのは
おにぎりじゃなくて自分なのに

横恋慕するrainbow
泣こうとして、笑って、
泣けずに、食べずに。

土に還るまで後何秒?
この恋は土には還らないけどさ