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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 6.ハルピュイア ④

「あ、そうなの?」
「…そういうものよ」
壁にもたれる彼女はあきれたかのように亜理那を見た。
彼女―鷲尾さんの様子を見ていて、この人は相変わらずなんだな、と思った。…まぁ、つい少し前まで同じクラスだったから、変化がなくて当然なんだろうけど。
鷲尾さんこと鷲尾 遥は、去年わたしと同じクラスの人だった。
こちら側からの印象としては、マジメで冷静。クラスでどんちゃん騒ぎしているような人たちからは、いつも少し離れたところにいるような人。
かと言って、わたしと同じように孤立していたわけではなく、よく同じようなメンバーでつるんでいることが多かった。
でもたいがい、一緒にいる人たちは彼女と同じように割とおとなしめな人達ばかり、亜理那のような人と繋がりがあるとは到底思えなかった。
「ね、ねぇ亜理那。亜理那は鷲尾さんとどういう関係?」
話が一旦落ち着いたところで、わたしは亜理那に切り出した。
「え? えーとね、ハルカはわたしと小学校の頃からの付き合いなんだ。たまにそこらへんでおしゃべりしたりするし」
ねーハルカ?と亜理那は鷲尾さんの方を見る。
鷲尾さんはまぁ、そうね、とうなずいた。

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欠陥

駄作に埋もれた日々の隙間
あの日をまた夢にみる
身動きが取れなくなった後に
やっと気付いた、

もう遅い。

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卒業

ここはあまりにも居心地が良すぎるからさ
僕は旅立つことにするよ
月の裏側はこの星からは見えないもんでね

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sleeper

睡魔があなたを包み込む
夢魔が私を捕まえる
質が悪くて優しい悪戯

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消えた君を探して
kieta imi wo sagasite

43秒間、足を浸しながら
43byoukann,iki wo korosi nagara

追憶の波間を彷徨う
tinnmoku no namida wo sagasou


……いなくなったんだね
......iknewthatyou'vegone

君が星を盗んだから
kimi ga kimi wo wara(嗤)tta noda

水平線にぽつ、と揺れるのは
kaigannsenn ni poturi,to ukabu noah

僕の眼光だけになってしまった
kimi no doukoku dake ga zannkyousiteitta



        ――ideal song

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リップサービス

黒ヤギさんが言っていた
白ヤギさんから返事が来ない
白ヤギさんはお仕事中です
朝は眠ってて夜のお仕事
毛並みが随分と荒れてしまって
それでもあなたを忘れない
だって体が覚えてる
わんちゃんでもお馬さんでもなくて
真っ黒な毛色のあなたのことを
二人きりのあの部屋で
10分後にはオオカミになる
猫を被った羊みたいな黒ヤギさん
べつにそんなの見たくないけど
キミだけだよとか言われたら
「特別」感じてしまいます

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どうせ、腹いせ 叫べ。

歌なんて歌いたくねえよ
言葉なんて吐きたくねえよ
地下牢で暴れ出す世界

ちょっとだけ歩いてみて?
君の笑顔を見せて?
どの口が言っている。

残骸と戯れる夏。

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世にも不思議な人々㊶ 歩く人・見せぬ人その4

「お、帰ってきた。お帰りー、ヨータロー。件の『あいつ』、連れてきた?」
「いや、よく考えたらそいつの家知らなかった」
「ふふふ、ドジだねえ。しょうが無い、僕が行ってまいります!……で、君の家何処だっけ?」
「えー……めんどくせーな……。そうだ、台車か何か持ってこい」
そんなこんなで、三人で大男の家に行くことになったようです。道中、大男は二人に能力について訊きました。
「なあ、お前らの能力ってどんなのなんだ?」
「んー?じゃあこの俺、此花陽太郎の異能から教えてしんぜよう!」
言ったのは何故かヨースケの方。お前ヨースケと違うのか。
「お前ヨースケじゃなかったのか」
「ああ、それ渾名。で、俺の異能は、なかなか面白くてね、『認識した足場には無条件で確実に乗ることができる』っての。二段ジャンプは砂粒をこっそり投げてその上に乗ってたの」
「ほう、そりゃ面白い。で、お前の能力はどんなのだ、ヨータロー?あ、もしかしてお前の名前ヨースケだったりする?」
「同級生の名前くらい把握しとけと思うんだが。まあその通り、自己紹介させてもらうと俺の名は岸和田陽介。俺のは『何か』を召喚する異能だ」
「何かって何だ。あ、そこ右な」
「了解。俺もよく分からん。けど、その何かは対象の視界の端にしか存在できない代わりに注意を引く力があるんだ」
「道理でちょくちょく意識が離れたわけだ。何かってどんなのなんだろうな」
「さあ?見えないものを見る異能力者でもいれば解決するんだがなー」
どこぞの能力者がくしゃみしてそう。
「ついた。ここだ。鍵は開いてるはずだからあいつを呼んできてくれ」
行ったのは陽太郎の方。すぐに戻ってきましたが一人です。
「それっぽい奴はいなかったよ。ところで君って妹いた?」
「何でだ?いないが」
「何かちっさい小学生くらいの女の子が一人いただけだったんだけど」
「そいつだ!そいつを連れて来い!あとその話絶対そいつにはするなよ。あれで気にしいなところあるから」
「はーい」
今度は無事連れてきたようです。
「ヘイヘーイ少年?またボロボロだね。またあれをやったのかい?」
「おう。さあ早く治せ」

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赤空

お前の首の脆いところに
まとわりついてる 魔物は
そんじゃそこらの言葉じゃきっと
落としきれない 汚れに似てる

長い言葉は 読む気にならない?
俺の言葉だけでも 読んで欲しいよ。

悲しみなんて 蹴散らして
ロックンロールは嫌いか
まだ歩けるような気がどこかでするなら
いつでもメッセージくれよ。
言葉ならいくらでも 吐き出してあげる


うははと笑って強がるお前は
見てて切ない だけど止めない
だってそんなお前がいつも
かっこよくって仕方ねぇから

長い詞は心に響かない?
だとしてもあとすこし 読んでくれ

悲しみなんて 蹴倒して
心をえぐって 歌うたえ
まだ生きれるような気がなんでかするなら
いつでも文句言ってよ。
相槌なら うってやる

悲しみなんて 蹴散らして
ロックンロールは嫌いか
まだ歩けるような気がどこかでするなら
いつでもメッセージくれよ。
言葉ならいくらでも 吐き出してあげる