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憧れと独白と傾聴とその先 #15

 私は少しだけ笑って、話を再開する。
「それからも私たちは、先輩と後輩だった。それ以上でもそれ以下でもない。色々思うことはあったと思うんだ、中学生だったしね。でも、今はもう覚えていないくらいには閉じ込めすぎていた」
 涼花は何も言わない。
「あれは、先輩が引退するときだったかな。私、泣いちゃったんだよね。涼花もよく知っていると思うけど、私はとても涙もろいから」
「そうですね、知っています。思い浮かびますよ、先輩が泣いているところ」
 優しく微笑むなあなんて、ふと思った。
「恥ずかしいなあ……そう、そのときにね、先輩が、腕を広げて、おいでって」
 そう、おいでって言ってくれた。
 涼花は目を見開いた。
「……先輩、腕に飛び込んだんですか……?」
 飛び込めたら、何か変わっていたのかな。今でもそう考えることがある。
 私はゆるく首を振った。
「できなかった。最後まで私は後輩だったし、先輩は先輩だった。私たちはずっと、先輩と後輩だった」
 飛び込めたなら、きっとそれは少女マンガだ。
「先輩に憧れていた。それは、憧憬であって思慕であって聖域だった。それをある人は恋というのかもしれないけれど」

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独白

ため息で白く染まった帰り道

「寒いな」って誰に向けたわけでもなく呟く

誰かの肌のぬくもりが欲しいなんて思うほど

僕はロマンチストじゃない


手に入れたものはもう割れてしまった

エントロピー増大の法則だったっけ

失恋すらも科学的に考察するほど

僕はサイエンティストじゃない


あの時にあんなこと言ってなかったら

今日がもう少し暖かくなるのかな

また次があると考えられるほど

僕はオプチミストじゃない


こんな気持ちをそのまま伝えられるほど

僕は詩人じゃないんだ

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Dear

街灯照らす明日は
すぐそこまで来てるのに
止まず降り注ぐ雨
「私にどうしろって言うの」
容赦なく心を打つ雨粒と
夜明け、離した手の中にまだ残ってる
あなたの熱
「振りほどけば消えるかな」
なんて冗談 嘘だった
気付けなかったんだ
「明日、天気になるのかな?」
なんて独りで呟いた

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軌跡

人と自分を比べてはならない。自分と他人は違う人
同じ場所で同じ事をしていても…
それぞれ違う道を歩んでいる。その人にはその人の
世界があって、それを生きている。

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雨の日の話

君は雨の日にだけ私の前に訪れる
少し、たった少し 寂しげな表情で
「おはよう」と言うんだ
まるで昨日 君と一緒に寝てしまったみたいにさ

そんな君は誰よりも空が好きで
よく一緒に星空を見たっけな
私の嫌な思いを消し去る景色を
一緒に探してくれたんだ

でも分かってる。
私の感情が口角をあげるほど
君が消えてしまいそうだったこと
私が悲しい顔をする度に
精一杯励ます君を見ていると
引き止めておく理由なんて
捨ててしまうのが正解かと思ったんだよ

君は「私の」雨の日にだけ 私の前に訪れた
少し、たった少しだけ
「おはよう」が聞こえた気がしたんだ

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ほんの短な挨拶

「ハロー」 「hi」
たったこれだけの、しかも一日越しの、信じられないほどちっぽけな会話。
それだけで良い。一つの大事なことは分かった。僕たちはまだ生きている。

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良い子

浅い 遠い 狭い
世界はマイナス
たった一つの微笑が世界を壊す
泣いた 叫んだ 泣き叫んだ
声にならない声を
叫んだ 泣いた 泣き叫んだ
今日も僕はただの良い子

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怒ってんの

わたしきっと怒ってんの
君が思ってた人とちがったから
わたしすっごく怒ってんの
わたしは君を恐くなって
ほんの少しきらいになったから
怒ってるの
君はただひたすらに優しい人だとおもってた
だけど
君が与えた存在価値を
君がきれいに消していくから
ほんのちょっと信じられなくなったの

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こちら、青い星です。
だれか、いませんか――?

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パンとバターと

はちみつ色した麦わら帽子の

へこんだまるいところに

あなたへの愛とおなじだけの夕日の光を

私への愛とおなじだけの朝焼けの光を

集めてあつめて

ふたりでとけるの

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返信

うん。
この二文字に込められた時間を君はしらない
どうした?
この一文に詰められた葛藤を君は気づかない
ありがとう
この一言に込めた想いくらいは届いてほしい