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理外の理に触れる者:魑魅魍魎の総大将 その⑤

「それじゃ、イタダキマス」
鬼と化け物がぶつかり合う激しい戦闘音を気にかける様子も無く、月は人影にのしかかったまま手を合わせた。
「どこからいこっかなー……やっぱ取りやすいとこからかなー……」
ぶつぶつと呟きながら、人影の肩の辺りを押さえた膝でそのまま腕に当たる部位を踏み折り、付け根から外れた腕を拾って食べ始める。
「……うーん……あっさりめ。まあメインディッシュは向こうにいるし」
十数秒で腕の1本目を食べ終わり、もう片方にも手を付ける。
(……しかし私の異能、『鬼神の指揮者』。オバケを食べることで能力を使う原動力にしてるわけだけど……、そのオバケを食べるために能力で顎を鬼化させる必要があるわけで、それでまたお腹が空いてくる……)
「…………控えめに言って最高」
食べ進めて最後に残った腕の付け根を口内に放り込んでから、月は心底幸福そうに呟いた。
「さて、次はどこにしよ…………座り心地悪いなァ」
最後の抵抗にのたうつ人影に苦言を吐き、両手を頭部に当たる部位にかけ、勢い良く捻る。頭部が120度ほど回転した人影はそれでもなお暴れていたが、月の手刀が首を切断すると、それきり動かなくなった。
「さすがにちょっと大きいかなー……まあいけるいける」
頭部を持ち上げてしばらく眺めていた月だったが、鬼化した下顎をさらに縦に分割し、蛇が獲物を食らうようにその頭部を丸呑みし始めた。途中、化け物に殴り飛ばされた鬼がすぐ横を飛んでいったが、指だけで再び化け物に立ち向かうよう指示すると、鬼はすぐに体勢を立て直し、また突進していった。
「……………………ふぅ、さすがに頭まるまるはきつかったぁ。そろそろ鬼にも申し訳ないかな。さっさと残りも食べちゃお」

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師は言った

(初書き込みなので拙いところ有り)
師は言った

この世に「面白くない」本はない、と

なぜかと問うた

師は言った

本は我々の視界に入る前にいくつもの「壁」を乗り越えているからだ

では、どうして面白くないと感じるのかと問うた

師は言った

それは視点を一つに絞っているからだ

視点とは何かと問うた

師は言った

多種多様な人物の目線に立つことだ

「面白くない」本は我々の視点次第で如何様にも「面白く(尾も白く)」できる

※師とは誰か、気になる方はコメント下さい。

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想い

ふいに生まれた私の想い。
文字に残すことも出来るけど。
ほんの少しでも、貴方を傷つけてしまいそうなら
たとえ胸がじくじくと痛みを覚えても
何もなかったかのように、私はそれを殺しちゃう。
それは
寂しいことでも、哀しいことでもないのです。
なぜなら
私の想いは、言葉は、きっと
貴方を笑顔にするために、
救うためにあるものだから。
それで私は、幸せだから。

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ケッカン

いつだって心臓は未来を目指して騒々しい
血液を 全身に
酸素を 酸素を

生命を燃やすため
燃やし尽くすまで

明日が明日やって来ないとしても
まるで構わないと言えよ

今を 今を

地球の自転から振り落とされるまで
第一宇宙速度を突破して

地球から落っこちたように見えても
それは宇宙に飛んでっただけだよ

強がって 強がって

生命を燃やして

たどり着けなかった全ての未来を生贄にして
今ここで脈を打って

それでも尚、未来へ

灯りをともすように

どこにもたどり着けないとしても
何者にもなれないとしても

僕は生きているよ

やがて星座の一部になるまで

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愛するという行為

この人達は僕らのことなんかみえちゃいないんだ
朝、眠たい目で弟がつぶやいた
机に広げた新聞は
国の代表が戦争を推進したと告げている
私はその向かいで
同じく寝ぼけ眼でトーストをかじっている

弟は昨晩遅くに私の部屋にやってきて
男の恋人がいる
そう言って泣いた
今の国の代表が決まったとき
同性愛について前向きな発言をしていたから
私と両親はいいことだねと笑いあった
その横でいちばん目を輝かせていた弟
弟は一晩中私のとなりで
恋人をどれだけ好きかを話しては
またさめざめと泣いた

両親が家にいないときに
弟が一度だけ恋人を連れてきたことがあった
私はそのとき彼を弟の友だちと思ったけれど
私と話す弟をみつめる
スポーツ刈りの彼のまっすぐでねつっぽい視線

いくつもの生きづらさをかかえて
それでも手をとって生きるふたり
もうすぐ高校生になる

私に100億票あったら
弟の願いを叶えてあげられるのに
私に100億円あったら
弟を結婚させてあげられるのに

弟のくるくるのくせげ
まるいおでこ

私のかわいいおとうと

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Trans Far-East Travelogue㉗〜この先も、2人で〜

地元を挙げて開催してもらった祝賀会も済み、無事入籍も済ませた上で嫁と2人、実家のベランダで夜景を眺めていると、突然携帯が鳴り響く
高雄の兄貴からだ
「日本の台中からかけてるんだが、聞こえるかい?」「もう清水まで行ったのか。早いな。んで、聞こえているが、どうした?」「一つ訊きたいんだが、良いかな?奥さんも一緒だとありがたい」「勿論、構わねえよ」
そう言ってスピーカーを起動すると嫁も寄って来た
「本題に入ろう。君は実家に帰ったんだろ?この先どうする?」といきなり直球質問が来た
「俺は…博多までは最低でも行こうと思ってる。俺だけ地元にいて、長旅続きなのに縁もゆかりもない東日本にずっといる嫁に悪いからな。故郷の土地でゆっくりして貰いたいし、鹿児島以北なら新幹線で行けるし、沖縄や桃園にいてもあの街は空港から近いんですぐにエアチケ取って飛べばなんとかなるっしょ」と返すと側で聴いていた嫁が「昨日の決勝、覚えてる?前日に何試合も登板した後『君に1人で背負って欲しくない』ってダブルヘッダー登板でもお構い無しに勝ちに導いてくれたでしょ?私も貴方に1人で背負って欲しくないの。貴方と一緒なら、私は故郷を素通りしてどんな所でも行く覚悟できてるよ」と言ってくれた
「君の意思は分かった。なら、俺も応えなきゃな」と覚悟を決めて言うと兄貴が「2人とも、やっぱり相性良いじゃねえか」と笑った後、続けて「流石に新婚夫婦に気ぃ遣わせたかぁねぇから、ルートを変えようと思う。俺達が沖縄着く日に博多を出て韓国経由はどうだ?大連で5時間待ちだけど、空路でアモイ行けるぞ」と言い、「アモイ…そこから金門、馬公経由の基隆で予定通りってことか」と呟くと「その通りだ。どうだ?行くか?」と訊いてくるので「どうする?」と嫁に訊くと暫く考え込んだ後、「彼と一緒なら何処へでも行きます」と言うので、「Port Arthur南北制覇ってことか。面白え、行かせて貰うよ」と笑って答え、俺も承諾する
博多までの手段を訊かれ、嫁に相談すると俺が決めた方が良いと返されるが、決めかねていると嫁が
「満足するまで首都圏の電車乗り回して、どこか新幹線出る駅から新幹線ならどう?」と提案してくれたので「なら、熱海から瀬戸で高松、徳島だな」と返し、全てのルートが決まった
新枕を交わす間に朝になり、地元の朝日も俺達を祝福してくれているようだ

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届いて

皆様という光が潰えない限り
私達の希望はまだある

生きる道があるのです
皆様は私達の希望、光なのです

どうかお願いです

どうか光を閉ざさないで下さい

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算数

算数苦手な私

でも頑張って算数のテスト70点とったよ

お母ちゃん、褒めて

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輝ける新しい時代の君へ Ⅱ

「よくわかったな。ぼく男って」
「そりゃ分かるさ。俺も子供ん時着せられてたから」
 男は苦笑いした。
 それもその筈だ。よく分からないまま女の格好をさせられるのだから。
 その時の少年も桜色の、春らしいワンピース姿だった。不快に思ったことはなかった(むしろ気に入っていた)が、他の子供とは違うことは周りを見れば明々白々だった。
「坊や、何で女の格好させられてるか分かるかい」
「しらない」
「そうだよなァ、俺も自分で調べて知ったんだけれどね、あのね、子供は七歳までは神様の持ち物なんだって」
「へえ。それじゃ神さまにかえさないとな」
「その通り、頭がいいなァ。だから昔は7歳までは子供が死んでも文句は言えなかったんだ」
「でもぼくのいえのちかくの子はみんな生きてる」
「アア、そうだよ、それはね君、今は医療技術が発達して平和になって、幸せになったからなんだよ。つい50年前は十分な食べ物が無くて、病気にかかってもまともな治療なんて受けられない人も多かったからね」
 男は少年がよくするように空を見上げる。ぼうっと、何か特定のものというより空全体を見ているようだった。しかし彼の眼は空をも見透かし、その向こうの何かに思いをはせるようだった。
 少年もしばらく男を上目で見つめて黙る。
暖かい風が間を通って、男は一瞬目を伏せた。少し寂しそうな表情にも見える。その時の少年には分からなかったが。少年が「なあ」と呼び掛けると男は意識を取り戻したようにヘラヘラ笑った。やっぱりまだ寂しそうだった。
「何だい?」
「つづき」
「アア、ごめんごめん。
 それでね、7歳まで子供を女として育てると、体も丈夫になって長生きできるんだね。だから女の格好させるんだよ。おかしいよね、だってもう神様にとられることないのに女の格好させる必要ないもの。ご先祖さんはそんなに子供亡くしたのが悲しかったのかな」
「ぼくはべつにいい。みんなとちがくてへんだけど、かわいいのすき」
「ホント?俺はそんな好きじゃなかったなァ。俺はね、こんなヒラヒラのじゃあなくてね、着物着せられてたよ。可愛いのだけれど動きにくいのだ。見たことある?」
 少年はコクっと首を縦に動かした。
「おばさんちの本で見た」
「そっかぁ。坊やは物知りだねえ」
 男は感心して喜色を浮かべ、満足気にウンウン頷いた。

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毎日を、

あまり暗く居たくはない。
出来る限りポップで居たい。
可愛いね、すごいねって言われたら
ありがとうって笑ってみせたい。
誰かの言葉に傷ついても
大丈夫よって笑って居たい。
その言葉さえも踏み台にして
理想の自分へ近付きたい。
それが結構、いやだいぶ、
私にとっては難しいのです。