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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 15.オーベロン ①

寿々谷駅前には色々なものがある。
例えばバスロータリー、商店街、少し離れた所にはショッピングモールがある。
他にも病院や市役所などなど、多くの施設や機関が駅前に集結している。
だから、寿々谷で1番栄えてるって言われてるのだ。
わたしは今、そんな駅前を歩いていた。
と言うのも、駅前の塾に向かうためである。
…正直塾には行きたくないけど、親に何か言われるのも嫌なのでとりあえず通っている。
今日も面倒だな…と思いつつわたしが歩いていると、不意に見覚えのある少女とすれ違った。
「?」
わたしは思わず振り向く。
…この辺りではあまり見かけない制服を着た小柄な少女。
最初は誰だか分らなかったが、よく見ていると誰だか分かってきた。
「え、ネロ?」
少女はぴた、と足を止める。
そしてぎこちなく振り向いた。
「…何だよ」
少女は気まずそうな顔で言う。

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私の詩

春、好きな人への想いをのせた
夏、淡い想いを遺しておきたかった
秋、恋の苦さと脆さを吐き出した
冬、誰かの背中を支えたかった

また春が来る、
今年はどんな言葉に出会えるだろう

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理外の理に触れる者:だいぶ遅れてご挨拶

先月いっぱいを目安として「理外の理に触れる者」という企画を立ち上げたナニガシです。だいぶ遅れてしまいましたが、終わりの挨拶くらいはしておこうと思いまして書き込もうというわけでして。
今回は未完成の全知全能さん、赤い思想さん、テトモンよ永遠に!さんの3名に参加していただけました。
登場人物を「時の異能者」のみに絞り、戦闘シーンを重点的に描写してくれた未完成の全知全能さん。ナニガシは男の子なのでバチバチの戦闘シーンとか大好きなので助かりました。
怪奇・ホラー的要素の中に異能者の設定を混ぜ込んだ赤石奏さん。ナニガシは少し前からホラーやら怪談やらにお熱なので好みの世界観で楽しかったです。
そして、よく長編小説を投稿していらっしゃるテトモンよ永遠に!さん。人外の異能者の存在は最初の設定でほんのちらっと示唆していたんですが、どうやら拾っていただけたようでたいへん嬉しかったです。
また良さげなもの思いついたら何か企画しますし、他の人が何か企画してくれたら参加させていただきたいと思っております。
そういうわけで今回はこれっきりです。参加してくださった皆さんありがとうございました。

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はるかぜと共に現れた旅人と過ごすのんびり生活 補足情報

前回書き込んだ時に伝え忘れていたことがあったのでここに書きます。
※この書き込みはカウントに含まれません。
この小説は現在ツイッターにて現在進行形で書き進めていますが、それをいくつかまとめて、それを編集、追加したものを書き込みます。
また、ツイッターで書いていくのもかなりキツくなってきている(毎回繋げるのに時間がかかるし字数制限あるし…)ので、もしかするとツイッターでの書き込みをやめて、この掲示板だけに書き込むかもしれません。その時はその時で前書きで伝えたことがなかったことになりますが…
仮にツイッターでの書き込みを続けるとしても、この掲示板での続行が決まった時はツイッターには書かれない書き下ろしのエピソードを書き込むつもりです。
そして裏話ですが…主人公の名前はツイッターには無く、この掲示板のみのオリジナルとなっています。
ストーリー性のかけらもないものになるかもしれませんが、どうかよろしくお願いします。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 連載開始4周年記念! 作者からのごあいさつ

どうも、「ハブ ア ウィル ―異能力者たち―」の作者です!
この度、おとといの3/4をもちまして「ハブ ア ウィル ―異能力者たち―」は連載開始4周年を迎えました!
めでたい!
と言うワケで前回のごあいさつで募集した質問の回答をしたいのですが…
質問が集まらなかったので今回はパスします(笑)
なので今回は「ハブ ア ウィル」のこれからについてお話したいと思います。

この物語はそんなに長くない物語の積み重ねでできているのですが、最近になってやっと物語の半分くらいまで辿り着きました。
でも正直な所、これからが本番です。
これからメインキャラ達の過去が明かされたり、新たな異能力者が登場したりで、物語は大きく動いていくと思います。
メインキャラ達がピンチに陥ることもあるかもしれません。
それでも、彼らの物語は続いていくのでどうぞよろしくお願いします。

さて、今回の「ごあいさつ」はこれくらいにしたいと思います。
いつもより短めですが、長々と自分語りをしてもどうしようもないのでね。
何か質問などあればレスからお願いします。
ちなみに今日の22時台から新エピソードを投稿します。
どうぞお楽しみに。
ではこの辺で!
テトモンよ永遠に!でした〜

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愛情

どんなに傷ついても
どんなに苦しんでも

どんなに悲しんでも

勝つのは愛情

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輝ける新しい時代の君へ Ⅴ

 数十秒経って、少年が口を開いた。
「一年ごとにとくべつにやることってあんまりないから」
「エ、色々あるじゃない」
「たとえば?」
「例えばね、誕生日とかは分かりやすいね。あと年末年始もあるし、端午の節句と桃の節句も大事だ。正月は流石に俺も仕事は休めたね」
 少しだけ楽しそうな男の横顔をジッと眺めて固まった。それに気が付いた男が少年に顔を向けて、朗らかな微笑を浮かべたままいささかばかり首を傾げる。少年はそれで思い出したように話し出した。
「あ、たんじょうびと正月はあったかも。たんじょうびは、おめでとうって言われた。正月にはうちのかみさまにあいさつする。でもどっちもお母さんもお父さんも夜しかいない。もものせっくと、たんごのせっくもお父さんとお母さんいない。しごとがたくさんあるから」
 折角考えた話す内容を忘れないように早口で並べ立てた。
 少年は先程までと変わらず、無表情で言った。少年はこの状況にあることが別段寂しいと思ったことは無いし、同世代の子供と関わることが少ない彼が一般的な状態など知る由もないので変だと思ったこともない。だからこれは状況報告に過ぎなかったのだが、聞いていた男は途端に慌てだした。
「何てこった……ウウ、これ……」
 最後の方はよく聞き取れなかったが、男は呟きながら後頭部を掻いて考えあぐねるような顔をした。
「ええっと、おばさんの家でも他には何もないのかい」
「あったけど、忘れちゃった」
 少年は首を数度傾げて答えた。
 確かに子供の、しかも未就学児の記憶力ならその程度なのかもしれないが、大したことをしていなかったから覚えていなかったのだと考えることも十分できた。
男は小さく唸ると「何かごめんね」とばつが悪そうに笑った。少年にとってはよく分からない内に相手が悩み始め、よく分からない内に謝られるという、今の彼の脆弱な情報処理能力では処理に困る状況だ。どう反応していいか分からなくなって、ただ一度、何も言わずにコクリと頷いた。

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三話 マニプール河流域の白骨街道にて

「あぁ……」
 俺は遂に倒れ込んだ。
 昨晩までの雨で川の様に泥水の流れるのも気にしないで。俺の右半身は泥にめり込んで、温い水が滲みて身体がいつもより幾倍も重く感じた。
 白骨街道。
 抜け出せぬ牢獄だ。人々はインドに渡る前にバタバタ死んでいった。道端には死体や、もうすぐ死体になる者があちこちに落ちていた。皆瘦せ細って泥だらけになり、異臭を放っていた。1週間続いた雨はそれらの腐食を早め、ふやけた皮膚を大量の虫が食い千切り体内に潜り込む。俺もその一員になるのだ……。
 体中が痛い……力が入らない……熱帯熱にもやられているらしい……意識が朦朧としている。しかし目を瞑ったら死ぬ気がする。腹は減っているのに吐き気がする。固形物はもう身体が受け付けなくなって久しい。昨日も胃液を幾度か吐いた。ああ……水が飲みたい、綺麗な水が……。
 俺は泥水を啜りながら思った。
 夢中になって二口三口する。だが少ししか飲み込めず吐き出してしまう。液体でも駄目になったか……。
 ……俺ももう死ぬな……そんな考えが脳裏をよぎった時、気が楽になった気がした。
 ああ……帰りたい……帰って綺麗な水が飲みたいなァ……彼らもそうだったんだなァ……この水は、泥と、彼らの体液と、腐臭と、怨念とを混ぜて……俺はそれを飲んだ……。
 それが俺を生き永らえさせた……そして俺は今……死ぬのか?
 死ぬことは、許されるのか?

                        終