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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 15.オーベロン ㉝

「一応反省はしてるわよ」
「ホントに反省してる?」
ネロはうつむきながらそう呟く。
「実際は滋賀 禰蕗が悪い、そう思ってるんじゃないのか?」
ネロは静かに顔を上げた。
「そうじゃなかったら、”あの時のいじめは私が黒幕でした”なんて平気で言えないだろ」
ネロはそう言ったが、論手 乙女は眉を動かさずに言う。
「それはそうかもしれないけれど…」
彼女が言いかけた時、ネロはこうこぼした。
「そんな事聞いたら、”アイツ”は怒るだろうなぁ…」
それってどういう…と論手 乙女が言いかけた時、不意に彼女の背後から黒い人影が大鎌片手に飛びかかろうとした。
論手 乙女は気配を感じたのか思わず振り向く。
「⁈」
彼女はそれを咄嗟に避ける。
「あなた…」
論手 乙女は飛びかかってきた人物を見る。
彼女は顔を上げるとニヤリと笑った。

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怪學造物茶会 Act 10

学校の廊下での戦いは難しいものだ。
そこまで天井が高くないため、飛行能力を持つナツィとピスケスにとっては大分不利である。
さらに廊下は障害物が少ないため、精霊の攻撃を避ける手段が少ない。
人工精霊達にとっては中々困難な戦いになった。
「っ!」
ナツィは精霊に向かって鎌を振るうが、精霊は易々とそれを避ける。
側で露夏が術式が組み込まれた包丁から火球を撃つが、それも簡単に避けられてしまった。
「クソっ」
周囲を精霊達に囲まれて、ナツィは思わずこぼす。
「どうする?ナハツェーラー」
露夏は背中合わせのナツィに対し、そう尋ねる。
「さぁ、どうするか…」
ナツィがそう呟いた時、2人を囲む精霊の内の1体に矢が当たった。
「‼︎」
「今だ!」
精霊が1体倒されて怯んだ他の精霊に向かってナツィは飛びかかる。
「$}+|$|”<“|!<!<‼︎」
悲鳴を上げて精霊が1体消滅する。
「あと1体‼︎」
ナツィは背中に黒い翼を生やして廊下の壁を蹴飛ばし、残りの精霊に向かって斬りかかった。

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うちの七不思議Novel Edition:鉄棒の上の幽霊 その②

完全下校時刻10分前を知らせる校内放送が流れた。作戦決行だ。
「ちゃんと証拠として写真と動画撮ってこいよ!」
そう呼びかける仲間たちに親指を立て、俺は周りの目を盗んでさっき決めた隠れ場所に素早く滑り込んだ。そのまま周囲の物音に注意を払いつつ、スマホの時計を見ながら完全下校時刻である18時を待つ。1度は見回りの先生が近くを通った気配がしたけど、スマホの電源を落として息を潜めていたら結局バレずにいなくなってくれた。
まずは植木の陰から顔を出し、学校側を確認する。職員室の明かりが点いているが、窓の近くに人がいる様子は無いし、今ならうまく鉄棒に近付けるだろう。
体育倉庫の陰に隠れるようにして、うっかり誰かに姿を見られたりしないよう気を配りながら件の鉄棒に近付いた。さて、幽霊ってのは本当にいるんだろうか……
「ねえきみ、もう完全下校時刻は過ぎてるだろう? 何してるの?」
不意に頭上から声をかけられた。面食らって腰を抜かしてしまったが、よくよく見てみると鉄棒の上には俺と同じ制服を着た俺と同い年くらいの生徒が腰かけていた。
「ゆ、幽霊……!」
「え、いや違うけど」
「え、あ、違うの」
「うん。なに、肝試し?」
「そんなところだ。お前もか」
幽霊じゃないって言ってたし、制服も同じだし、多分こいつも肝試しか悪戯で来た奴なんだろう。とりあえず今はそう思っておくことにする。ついでだから写真も撮っておこう。
「いぇーい」
スマホを向けたら奴はピースサインを作って応じた。結構ノリの良い奴だな。
「で、お前はそんなところで何やってんだよ」
立ち上がり、鉄棒の上の奴に問いかける。
「ああ、いや僕も下りたいのは山々なんだけど、『そいつ』のせいで下りるに下りられなくってね」
「『そいつ』?」
奴が指差す鉄棒の下の地面――今まさに俺が立っている場所を見る。
たしかに『そいつ』は居た。地面に突如現れた巨大な顎が、俺を飲み込もうと閉じつつあったのだ。