「…そう言えばメイ、お前さんいくつなんだい?」
随分しっかりしてるけど、と師郎がふと尋ねる。
「わたし?」
10歳、小5だよ?とメイは答える。
「しょ、しょしょしょ小5⁈」
この発言にネロは飛び上がる。
「小5って…ボクより年下⁈」
うっそぉ…とネロは耀平の陰から顔を出して呟く。
対するメイは、同い年じゃないの?と首を傾げている。
「実はな、ネロはこんなにちっちゃいけど中1なんだ」
だからよく小学生に間違われるんだぜ、と師郎が笑いながら言う。
ネロは恥ずかしいからやめて~と顔を赤くしていた。
メイはふふふと笑った。
…と、ここで休憩スペースの入り口の方からメイーと声が聞こえた。
見ると先週メイの側にいた母親らしき女の人が立っていた。
「あ、ママ」
メイはそう言って立ち上がろうとするが、ここでネロがあ、待って!と彼女を引き留める。
メイは?と振り向いた。
「不明瞭で、複雑で、曖昧で、単純で。
完璧も、定理も、正解も存在しない。
僕らとはそう言う「なにか」なのかもしれない。」
以上、論文発表を終わります。
そして。
@貴方へ
何処に行くか。
もちろんあの死亡現場だ。
できる事ならカメラも持って行きたかったが、この体ではそうもいかない。
俺は家のペット用のドアから外へ出た。
(おお...!いつもこんな景色見てんのかテト...!)
このまま遊んでいたい気もするが、後回しだ。
(で、駅に行って...。)
「にゃっ⁈」(⁈)
俺は重大な事を忘れていた。
猫は電車に乗れない。
(どうすんだよ...走るか?)
帰り道一緒に帰って、
寒いね。
その次の言葉を待っている。イルミネーションくらい僕にとって何でもない。君よりきれいな存在なんてないと信じてるからね。
人影はしばらく藻掻いてからようやく体勢を変え、上体を起こした。
「ねえ君。これ、邪魔だから持ってて」
種枚さんがそう言って、人影の方を向いたままこちらに向けて奴の頭部をこちらに放り投げてくる。慌てて受け取ろうとしたけど、その頭部は自分の手をすり抜けて地面に落ちてしまった。
落ちた頭部を拾い上げようと何度か試しているうちに、人影の方に跳んでいっていたはずの種枚さんが自分のすぐ真横まで飛び退ってきた。
「持っててって言ったのに……」
「持てないんですよ」
「霊感無しめ」
「あいつはどうなりました?」
「どうもしてないが」
「えっ」
人影の方を見ると、たしかに上体をこちらに向けた姿勢で止まっており、種枚さんに何かされたようには見えない。
「距離が足りなかったんだよ距離が。……けど、これで十分」
心なしか、彼女の声色が少し低くなったような……。
「【推火爪】」
種枚さんが何か呟いた。と思うや否や、また姿が消え、次の瞬間には人影の身体が大きく弾き飛ばされていた。