「ぁ…………」
さっそく見つけたは良いものの、何か様子がおかしい。まるで正気を失っているみたいだ。
異様な雰囲気に吞まれて、上手く言葉が出ない。
少年がゆっくりと右手を上げる。何をされるのか分からなかったが、思わず目を瞑ってしまう。顔にまた強風を感じ、ひっくり返りそうになったその時だった。
「見いィつけたぞ馬鹿息子オォォッ!」
種枚さんの声がものすごいスピードで近付いてきたと思ったら、少年の立っていた辺りで、これまたものすごい衝突音が響いた。
(…………『息子』?)
今聞こえるにはやや不自然なその単語に恐る恐る目を開くと、少年のいた場所には代わりに種枚さんが立っていて、少年の姿は無かった……いや、種枚さんの視線の先、10mほど離れた木の根元に、寄りかかるように倒れていた。
「く、種枚さん……?」
「あぁ⁉ ……あ、君か」
自分の方に振り向くと、彼女の表情はすぐ柔らかなものに変わった。
「痛たたた……、『息子』はやめてくださいよ、誤解されちゃう。せめて弟子とか……」
あの少年の声だろうか。彼の方に向き直ると、種枚さんに殴られたのであろう腹の辺りをさすりながら立ち上がるところだった。
「あァー? お前に霊感をくれてやったのが誰だと思っていやがる?」
「いやまあ、それは感謝してるンスけどね?」
2人は随分と親しげだけれど、一体どんな関係なのだろうか。私の疑問に先に感づいたのは、少年の方だった。
タイトルも設定も出来てるのに全然書けてないもののなかで、気に入ってるタイトル誰かに見て欲しい…!
52Hzのうさぎ
世界のコントローラー
鉄の唄
僕らの声はいつだって消えやしないんだ
雨の獣
ユグドラシルのまち
スズランの眼
瑠璃は微笑むか
需要あったらそれぞれのあらすじも見て欲しい…
ネロやメイ、そしてわたし達は寿々谷公園内の屋台やステージを周った。
お昼時も近かったのでたこ焼きの屋台に寄ったり、スーパーボールすくいの屋台で色とりどりのスーパーボールをすくったり。
屋外ステージでは近所の寿々谷高校の吹奏楽部の演奏を見たり、大道芸人のパフォーマンスに盛り上がったり。
わたし達4人はネロとメイの様子を側で見ているだけだったが、2人共楽しそうにしていて見ているこちらも楽しかった。
時々ネロがメイに対して恥ずかしそうな顔をするのを見ていると、ネロってこんな顔をするんだなと新たな発見もあったし。
わたし達はすっかり市民まつりを楽しんでいた。
「…それにしてもネロ、今日はすっごく照れまくってたな」
メイがお手洗いに行っている最中、公園の遊具がたくさんあるエリアで耀平がネロにそう話しかけた。
「見ていて楽しかったぞ~」
耀平がそう言うと、ネロはた、楽しかったって…と顔を赤らめる。
「そうだな」
滅多に見られないネロの顔が見られて俺達は良かったぞ、と師郎は腕を組む。
「えー」
ネロは思わず目を逸らす。
「べ、別に照れてるつもりないし…」
ネロがそう言うと、そんな事言うなよ~と耀平はからかった。
数多の傷跡 そのどれ一つとして
あなたを砕けはしなかったこと
どうか胸を張って生きて
傷だらけの身体を 誇って生きて
あらゆる困難 誰一人として
僕を壊せはしなかったんだよ
吸って吐いて 繰り返して
ここに居るんだよ たどり着いたんだよ
天辺の星に届きはしないとしても
手を伸ばしたことを
無駄だったなんて言わせないぜ
生きて生きて生きて 生きて
今夜 悲しいことなんて何一つ無いと信じたい
今夜 苦しいことなんて何も無いと愛したい
生まれてきたことを許したい
これまでの道のりを祝いたい
傷だらけの僕たちは
白旗を掲げて 誇らしげに
雪原を堂々と歩きだした
それでも僕たちは信じ合おうとした
愛し合おうとした
それが無駄だったなんて信じないぜ
傷つけあった果てにたどり着いた荒野で
鳴り響く鐘の音
クリスマス クリスマス
それでもアイラヴユーだ
先輩たちが去った、まだ日差しの強いグラウンドに集合した俺ら。
「え~じゃあ、新キャプテンを発表する!小宮山、お前がやってくれ。副は、橋爪。以上だ。」
「うっっっっす!!」
(俺がキャプテンに決まっとるやんけ笑笑このチームを最強にしたる。)
「じゃあ、キャプテンミーティング始めて。」「了解っす」
「今年の目標は公式戦全勝や。俺ら常勝の大東参賀にとって、勝つのは当たり前。そのうえを目指すために、公式戦無敗の伝説を作る!俺らの代が最強や」
「そうやな!一番強くなろうぜ、圧倒的に」田中も橋本も垣間もうなづいている。
(俺らが目指すところは定まった。最初の大きな公式戦は秋季大会。勝ち抜けば全国対戦となる明治神宮、春の選抜甲子園もかかる。俺らに勝てるところがどこにおるんや)練習メニューも設定したところで、各々練習を始める。常勝といわれてきた世代の一年が始まる。
Q, はじまりは、「始まり」と「初まり」があるのに、なんでおわりは「終わり」しか無いんですか?
A,「万物は一つ処に帰依する」って事じゃないんですか?
「ももさん、ねちゃうんですか」
可愛らしい声に顔をあげると、群青色の、デフォルメされた長耳の狛犬のような妖精が首を傾げていた。
「水曜日ちゃん!あーそうだ、課題やらなきゃ…」
「やなことおもいださせちゃいましたか」
「んーん、ありがと!月曜日なんてなんにも教えてくれないんだからさ」
「げつようびはわるいこじゃないです。つんでれです」
「水曜日ちゃんツンデレの意味知ってる?」
少し抜けているところのある水曜日と話すと、桃もなんだか気が抜けてくる。
「あーあ…最近課題多くてやだな…火曜日さ、課題手伝ってくれるんだけど文字間違ってたりするんだよね」
「あらま…たいへんですねぇ」
水曜日の頬(?)をつんつん突くと、やめてください、と小さく声があがった。
光は桜音に声を掛け、すぐに窓から飛び降りた。
来客らしい。
この時間に来るということは、光に用があるのだろう。
光は、人間ではない。
霊感のある人にしか分からないらしい。
他の人には見えないらしいが、桜音の目には、狐の様な耳と尻尾のついた光の姿が映っている。