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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 18.メドゥーサ ⑱

わたしはその様子を見て笑っていたが、ふとある事に気付いた。
「…そう言えば、メイ戻って来ないね」
わたしが言うと、皆はそう言や…と我に帰る。
「メイがトイレ行ってからどれ位経ったっけ?」
「30分…位?」
「結構時間かかってんな」
耀平、ネロ、師郎はそう話し合う。
「でも言うて女子はトイレにいる時間長いし」
「だけどここから1番近いトイレはそんなに混んでたか?」
耀平と師郎はそう言うが、不意に黎がこう呟く。
「…まさか”奴”に捕まったとか?」
その言葉で皆の視線が彼に集まる。
「た、確かにそれもありそう」
「まさかな」
耀平と師郎はそれぞれそう答えるが、ネロは思わず黙ってしまう。
その顔はどこか不安げだ。
「さすがにそれは考え過ぎだろ黎」
なぁ、と師郎はネロの方を見るが、ネロはすでにうつむいていた。
「ネロ…」
耀平はそう声をかける。

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月の魔女【1】後編

自分の呟きのすぐ後、みしり、と空気の軋む音がヴィオラには聞こえた。
「…ヴィオラ?」
根っからの戦闘民族である彼女の耳は、漸くこの地下室で起こっている異変の音を捉えた。
「柊、しー…」「?」
ひゅうと空気が音を立てて耳を掠めた。ヴィオラが軽く足を捻ると、大きな黒い影が目の前をよぎり、壁に爪痕をつけた。
「ま…」
声をあげた柊を容赦なく脇で強く締め、足を振り上げる。
「ゔぅう…」
唸り声をあげた大きな狼の眉間にそのまま踵を叩きつけると、狼の目から黒いものが垂れた__その瞬間、ヴィオラの肩にひんやりしたものが触れる。
「ただいまヴィオラ。柊も」
「ニト?そんなこと言ってる場合じゃ__」
ヴィオラの耳のそばから、白い手が伸びる。__パチンッ!指が鳴ると、狼から黒い色が抜け落ち、床に吸い込まれた。狼はどしりと倒れ込む。
「噛まれたかい?」
「…ううん」
「そう。とりあえず、話そうか」

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視える世界を超えて エピソード2:鎌鼬 その⑥

「とりあえず師匠、俺の事紹介してくださいよ、その人に」
「ああ? ……まあそうか」
種枚さんが少年に近付いていき、彼の肩を抱いて戻ってくる。
「今日はすまなかったね、コイツは鎌鼬」
「別に本名じゃねッスよ」
少年もとい鎌鼬くんの訂正が入る。
「霊感をくれてやったは良いが、どうも食い物の吸収がバグったようで、どうかしちまってるんだ」
「霊感ってあげられるものなんですか?」
自分の質問に、種枚さんはきょとんとして答えた。
「そうだよ、欲しい?」
「…………ちなみに、どうやるんでしょう……?」
「知りたい?」
ニタリと笑って問い返された。先週人影に見せたのとはまた違う、それでいて凶悪さ、残忍さが前面に現れたような悍ましい笑みだ。
「……遠慮します。霊感の方も含めて」

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廻るは因果、故に舞い散る桜の刃 三

光は、妖怪である。
しかし、あまりにも動物霊と勘違いされる為らしい、自己紹介の際には必ず動物霊では無い旨を伝える。
最も、その手の相手に対してのみ、だが。
桜音は洗面所へ向かい、顔を洗う。
彼女の頬には、くっきりと痣が刻まれていた。
鏡に向かって溜め息を吐き、棚から化粧品を取り出し、器用に痣を隠していった。
そして。
包帯を右目に巻き始めた。
彼女の右目は白く、視力が無い、有ったとしても弱いであろう事が解る。
光曰く、生まれた時は藤色だったらしいが、その後のごたごたで駄目になってしまったそうだ。

「おーい、姐さんが呼んでるけど、来られるかい?」

縁側から桜音を呼ぶ声がした。
光の声だ。
桜音は寝巻きの上からパーカーを羽織り、縁側へ向かった。

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ちょっとした企画:我流もの書きスタイル

どうもナニガシさんです。ちょっとした企画を一つ、用意しました。
とはいっても、普段ぶん投げてるような小説やポエムを書こうってものではありませんで。タイトルにもあります通り、その名も『我流もの書きスタイル』。

皆さんが普段、どんな感じでポエムや小説を書いているのか、ってことをざっくり教えてほしいのです。
たとえば「小説書く時はこんなスタンスです」だとか、「ポエム書く時はこんなこと考えながら作ってます」だとか、「アイディア出しの時はこんなルーティーンやってるんですよー」だとか、「読書だ。とにかく本を読んで世界観の参考にするのだ」だとか、そんな感じのことをざっくり書いてほしいのです。

みんなでもの書きのやり方を共有して、各員のスキル向上に繋がれば良いなと思っているので、是非とも参加していただけると有難い。僕も助かる。

参加してくださるよーって方は、タイトルとタグに『我流もの書きスタイル』と入れて投稿してください。タイトルの方には入れなくてもオッケー。
期間は来月いっぱい。つまり2024年1月31日が終わるまで。どうぞ奮ってご参加ください。