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迷兎造物茶会 Act 11

「…まぁ、“家族”っていうのは大事なモンだからよ」
露夏のその言葉になんだよソレとナツィは返す。
「だーかーら、家族っていうのはかけがえのない大切なものなんだよ‼︎」
例え人間であっても、おれたちであってもと露夏は語気を強める。
「そういう訳でおれは他人の家族でも急にいなくなったら心配するんだよ」
どっかの誰かさんと違ってと露夏が腕を組みながら言うと、ナツィはテメェ俺に文句あんのかと掴みかかる。
「だからお前のこととは言ってませーん」
「なんだよソレ!」
「ちょっと、2人共」
ちびっ子の前でケンカしないの、とピスケスが手を叩いて2人を諫める。
「夏緒ちゃんがご立腹よ」
ピスケスがそう言うので露夏とナツィが夏緒の方を見ると、夏緒は頬を膨らませていた。
「…」
2人は思わず黙り込む。
「とにかく、蛍の母親を探しましょう」
今度はもう少し…とピスケスが言いかけた所で、蛍はあ!と声を上げた。
「ママ!」
蛍はそう言うと数メートル程離れた所からこちらに向かって来る若い女の方に駆け寄る。

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月の魔術師【3】

「ロマ、悪いけどここで待ってて」
ロマはこくりと頷き、大人しくソファに腰かけた。

ニトが玄関の扉を開けると、長身でポニーテールの女性が立っていた。
「…こんにちは」
ニトはふわりと愛想良く微笑みながら思う。__彼女、変わった匂いがするけど…悪い人ではないね。ニトは女性を睨む番犬こと狼に、お座りを指示した。
「何か御用ですか」
「ええ。あなたは物知りの魔術師だとお聞きしまして…お訪ねしたいことがあります」
「…分かりました。上がってください」
「お邪魔します」
ニトは女性を家にあげた。

「あ、ニト!おともだちだったのか?」
「いや…赤の他人だよ」
ニトがそう言うが早いか、女性は驚いた顔でロマを見、そして顔をぱっと輝かせた。
「ロマ様!」

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fate destroyer

6運命

先生以外の集落の皆は、「運命」と言う言葉をよく口にした。集落に流れ着いた時も、「これが彼の運命なのだ」とか、「この事故すら彼の運命なのだ」
と散々言われたらしい。
そして。俺はその運命のことごとくを否定してきた。
熱を出した時に、「このまま死ぬ、それが運命なのだ」とおばさんに言われたが、翌日にはケロッとしていたし、怪我をした時も「痕は残る、それが運命なのだ」と言われたが、痕は残っていない。
まぁ、この程度のことを運命と呼ぶ彼等も彼等なのかもしれないが。

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1月の醍醐味(だいごみ)

なんでかな、1ヶ月前のことでさえ、去年のことのように
感じるんだ。

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CHILDish Monstrum:或る離島の業務日誌 その①

まず、私の自己紹介をしておかなくてはならないだろう。
私は見沼。昨年、大学新卒でインバーダ対策課に就職し、1年間とある都市の対策課本部で各業務のスキルを身に付けた後、前任者が定年退職するということで一つの区域の総括管理者を任されることとなった。
最初、この話が来た時にはそれは喜んだものだ。しかし、私の担当区域が本土から連絡船で4時間かかる、たった1体のモンストルムしか配備されていない離島だと知り、すぐに複雑な気分になった。
内地の大きな都市の担当と比べれば閑職に思えてしまうのは仕方のないことだろう。しかし、いくら小さな島とはいえ人命がかかっている重要な仕事だ。すぐに思い直して前任者からの引継ぎに移った。

そして遂に、就任当日。
ひどい船酔いにやられながら連絡船に揺られ、どうにか件の島に到着した。
私がせこれから世話することになるモンストルムに支給された住居は、島から離れた場所からもよく見えた。
島の中央の丘陵、その頂上に建てられた巨大な立方体型の建造物。あそこに私がこれから関わっていくモンストルム“キュクロプス”がいるらしい。

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CHILDish Monstrum:カミグライ・レジスタンス その⑩

奴らの方に駆け出しながら、“怪物態”に変化する。初めてインバーダと戦ったあの日、初めて変化したあの姿。能力を半ば暴走させてしまったせいで、一度は街をひどく壊してしまったあの姿。もう失敗はできない。私の後ろには、守るべき人たちがいる。
どの動物のそれとも微妙に違う、巨大で重厚な怪物の身体で、インバーダ達を蹴散らす。
怪物の身体に備わる本能が、「全て破壊し、喰い尽くせ」と語りかけてくる。それを自我のある『私』の理性で強引に抑え込み、周りの建物には決して触れないよう、インバーダだけを慎重に、そして乱暴に、踏み潰し倒していく。
衝撃で民間人が避難している建物が揺れているのに気付き、慌てて身体の動きを止め、穴の前に身を伏せる。せめて、奴らがあの人たちを襲えないように。
インバーダ達はあの人たちを狙っているのか、私に何度も攻撃を放ってくる。けど、ただでさえ巨大な怪物の身体に、能力で質量増加までしている。奴らの攻撃は私をほんの数㎜だって動かすことはできなかった。
それでも、何度も攻撃を受ければ、流石にダメージが蓄積してくる。厚く硬い皮膚にも少しずつ目立つ傷ができ始め、筋肉と脂肪の鎧を通して、衝撃が少しずつ、それでいて着実に、体内に影響を与えているのを感じ始めていた。

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CHILDish Monstrum:怪物報恩日記 5日目

時、6時35分。場所、老人の家の居間。
朝食の後、老人と昨日のインバーダ襲撃の一件について話し合った。
あの後、村の漁師たちとインバーダの間に割って入ったわたしは、すぐさま怪物態に姿を変えた。ろくな武器も無い、身体機能も十分では無い、体格差まである、そんな状態で戦えるわけが無い。
多頭の巨大なコブラの姿をした怪物態、“ナーギニー”。大蜈蚣がその毒牙をわたしの鱗に突き立てた。しかし、ただでさえ強固な鱗の装甲に加え、“ナーギニー”には有毒物質を操作する異能もある。大蜈蚣の牙から流れる毒液を逆に支配下に置き、棘状に変形させて奴の体内を破壊し、暴れ出したインバーダの頭を噛み砕いて倒し、すぐに人型に戻った。巨体での戦闘は、肉体への影響が大きかったからだ。直後、わたしは体力を使い切ったためか気を失った。
話し合いが始まって、老人から最初にかけられた言葉は、昨日の戦いがわたしの身体に障っていないかという質問だった。
正直言って、意外だった。あんな怪物に化けるのを見られたのだから、恐ろしがられてもおかしくなかったのに。いくら彼が善人と言っても、あるいはインバーダを倒したことを感謝される程度が自然では無いか。わたしよりずっとか弱い人間である彼が、わたしの身を案じている。全く以て未知の感覚だった。
わたしが無事だと答えると、老人はようやく、わたしが何者なのか、ということを問うてきた。
わたしは『ナギニ』と名乗った。インバーダ、昨日の大蜈蚣のような化け物と戦うために生み出された怪物である。そう答えた。
老人は、わたしの答えを聞いて複雑な表情で黙りこくった。
現状、わたしの身体は十分に回復していないのに戦闘を行ったせいで、調子が良いとは言えない状態だ。もう少し、ここで厄介にならなければ帰れないのに、なんだか気まずくなってしまったような気がする。

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操られた結果

『操られたの』そう叫ぶ私

『いいや、お前が言ったんだ』そう言う皆

『違う!私じゃない!』そう叫ぶ私

『もう見捨てるからな』そう言う皆

結果、私の心は傷付き疲れて果て何かを求めた

それは破壊だった

【裏切り、憎しみ、悲しみ】この3つを味わった私は全てを破壊することがいつからか目的となった

そんなとき、ふと目にとまったものがあった

それはこの掲示板

ここの皆は優しかった

生きる希望が沸いた
もう一度この地球を、星達を、宇宙を守りたいと思えるようになった

有り難うございます

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CHILDish Monstrum:CRALADOLE Act 13

「そう、壊滅した」
ゲーリュオーンを除いてとデルピュネーが言うと、イフリートとビーシーが目を見開く。
「ゲーリュオーンを除いて…」
ビーシーがそうこぼすと、そうなのとデルピュネーは頷く。
「あの時、ゲーリュオーン以外のモンストルムはみんな戦死した」
その時、ゲーリュオーンはショックの余り暴走したらしいのとデルピュネーは淡々と続ける。
「ゲーリュオーンは仲間を倒したインバーダたちを瞬く間に一掃した」
街が壊れるのもお構いなしにね、とデルピュネーは言う。
「幸い一般市民への被害はなかったらしいけど、ゲーリュオーンはこの時のことが今でもトラウマみたい」
街を余計に壊しているから、市民からの反感も買ってしまったしねとデルピュネーは目の前で暴れる怪物を見上げる。
怪物は未だに目の前のインバーダを殴り続けていた。
「じゃあ、アイツが怪物態への変身ができないのって」
そういうこと、なのか?とイフリートはゲーリュオーンの方を見た。
「まぁそういった所ね…」
デルピュネーがそう呟いた時、インバーダを殴っていたゲーリュオーンが3人の方をゆっくりと見た。
そして不意に雄叫びを上げたかと思うと、3人に向けて拳を振り下ろした。
「⁈」
デルピュネーがとっさにバリアを張ったことで拳は弾かれたが、突然のことにビーシーが腰を抜かしてしまった。

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我流もの書きスタイル “書き溜め”のすゝめ

随分前になるけど、「(ポエム掲示板に作品を)コンスタントに投稿し続けられる人はそうそういない」と言われたことがある。
自分からしてみれば先駆者がいたので驚くことでもないのだが、なぜコンスタントに投稿し続けられるのか、ちゃんと理由がある。
それは、「ある程度“書き溜め”を行っている」から。
自分が書く物語はいくつかのエピソードに分かれているのが基本だが、最低でも1エピソード分(1ヶ月分)は“書き溜め”ておいているため、忙しい時期でもコンスタントに投稿し続けることができるのだ。
あとそもそも、掲示板の投稿フォームで直接文章を作るようなことはしないようにしていることもある。
単発の読み切り作品ならともかく、長編作品はその場その場で文章を書いていると前後の文との整合性がとれなくなったりするため、それを避けるために事前に文章を書き出すようにしているのだ。
また、“書き溜め”を行うことで書いた時から投稿するまでに時間を置くことができるため、投稿前に文章におかしい所がないか確認することもできる。
面倒なようにも見えるが“書き溜め”はメリットが大きいのだ。
という訳で、「コンスタントに投稿することが難しい!」という方はまずある程度“書き溜め”ることをおすすめする。