傷を抉る
私はこの言葉に惹かれた
もしあなたがその傷という名の深い谷の底に居るなら
私は何度も傷を抉ってあなたを救うだろう
たとえその時は辛くてもいつかその行動を誇れるように
「それでサヤカ」
穂積が上を見上げたまま視線をこちらに向ける。
「ここから見える景色ってどう思う?」
突然の質問に、わたしは目をぱちくりさせる。
「景色…?」
「そう景色」
そう言って穂積はくるりとその場で半回転し、屋上の柵越しに下界を見下ろす。
わたしもつられて後ろを向く。
下界にはショッピングモールの入り口や近くの大きな通り、通り沿いの建物、と様々なものが見える。
「ここからの景色って、素晴らしいと思わない?」
彼女はそう言うが、わたしにはどうにもその意図が分からずはぁ、と答える。
穂積は続ける。
「この街の中心部で1番背が高くて大規模な建物だから、色々なものが見えるの」
人々の営みとか、ねと穂積はわたしに目を向ける。
「だから好きよ、この景色」
これからも大切にしていきたいものね、と穂積は笑った。
「…」
わたしは何なんだろうこの人、と不思議に思いながら彼女を見ていた。
女性の声が家中に響いた。暫くの沈黙。
「んっと…お知り合いですか」
「ええ。ロマ様は覚えていらっしゃらないようですが…」
ロマは女性に警戒心を持ったのか、とことことニトの足元までかけてきて後ろに隠れてしまった。
とりあえずニトは、女性をソファに座らせ、怪我をしている足の応急手当を始めた。ロマはニトの隣で大人しくしている。
「僕はニトと申します。貴女のお名前を聞いても?」
「あ…私、ロザリーです」
「ロマとはどのようなご関係ですか」
「えっと…ロマ様は、そもそも妖精の一族の御子息様でして…私はそのメイドの一人といいますか…」
ロザリーが語った内容はこうだった。
ロマは、宇宙にある数々の星たちの妖精であった。それも、王の息子。ロザリーは、ロマのお世話を担当するメイドだった。
そして、あるとき。星たちの妖精と火の妖精との間に戦争が起こったのだ。ロマはその戦いに巻き込まれ、星たちの世界から何光年も下にある地球へ落下してしまったのである。
ロザリーは、ロマを探してようやくたどり着いた地球で重力を初めて知り、上手く着地できず、木の枝にひっかけて足に怪我をしてしまったのだ。
桜色に染まり出した河川敷の風景が鉄橋の響く音と共に過ぎていく。なかなか見ない景色だ。だって、俺らは、、、
「おい、みたか?山桜高校春の甲子園勝ち上がってるよな!」
普段俺たちはこの時期、甲子園にいる。春の選抜で、完成を浴びてこの通勤時間の電車よりもっと多い人たちに囲まれて、躍動してる。
はじめての感覚だ。でも、しゃあない。秋の頃はそれほどの実力だったんだ。でも、俺らは必ず夏で日本の頂点に,,,,,,宿命とも思える。
朝練の準備のために、部室を開けると先客がいた。
「悔しいな。」バットを握りながらそっけなく橋爪は言った。
「もう、過ぎたことだ。夏の方が俺らは似合うだろ。」
バッテリーを組んできた俺たちは、やっぱり同じことを考えてるのだろう。中学生時代からこいつと、この学校に進む前からずっと、一緒にプレーしてきた。はて、春の花粉がくすぐる花をすすりながら、何気なくキャッチボール。いつもより、球が速かったのは、悔しさからか、女バスが河川敷をランニングしてたからか。
こっからどう気合いを入れ直していくかが、よくわかっていなかった。
少女はそう言うとヘドロ塊のエベルソルを思い切り数十メートル先の地面に投げつける。ヘドロ塊のエベルソルはうめき声を上げるが、少女はそれを意に介さず宙に何かをガラスペンで描き出した。
その様子を見届けて、少年は目の前の肉塊エベルソルに向き直る。
「さて、君も…早くここから退いてもらおうか」
少年はそう言いながら自分の周りの地面に魔方陣のような幾何学模様をガラスペンで描き出す。少年が幾何学模様を描き切ると、ガラスペンから伸びた光の線がまばゆい光を放って地面から上に向かって移動した。その一瞬で、少年は薄黄色系の管弦楽団のメンバーのような格好に変身する。
「すごい」
叶絵は目の前に起きている出来事が信じられず思わずそうこぼす。それを聞いた少年はちらと叶絵の方を見て笑いかけた。
「君、ぼくの“演奏”の邪魔になるから観覧したければ少し離れるといい」
少年はそう言いながら宙にガラスペンで何かを描いていく。それを描き切ると空中に黄色いバイオリンが現れた。少年はそれを手に取るとまるで一流の演奏家のようにそれを構え、こう宣言する。
「さぁ、コンサートを始めよう」
こんな術もいつか使えなくなるでしょ?
怖いの 怖いの それが怖いの
肌寒い日は 何でも買いたくなる
色が付かないの 名前もないの
何が欲しいかって 自分でも分からないの
この世界の正解とはなんだろう
悪の裏は本当に正しいのだろうか
私は悪こそが世界の優しさだと考える
しかしその優しさもまた正解ではないのだ
そんな矛盾を抱えた世界で私はどう生きればいいのか
ポエムではないのですが、随分前のタグを使って
少し、日常のことを書きます(多分今回かぎり)
夏に適応障害になりました
ちょっとしたことがきっかけ
元々上手く生きられなかったのだけど
もっと生きるのがへたくそになりました
毎日、死ぬことを考えてました
同時に、誰かに助けてほしいと思ってました
人は限界になったとき
誰かに助けを求めることすら難しいということ
初めて知りました
今は元気です
ただ、少し、作風が変わったかもしれません
いや、前と同じかもしれません
長文すみません、近況報告?でした