「⁈」
穂積は驚いて目を丸くする。
彼女の目の前には紺色のパーカーを目深に被った少年が立っていた。
「…あんた」
穂積がそう言うと、彼は冷たい目を穂積に向けた。
「お前、同じ学校の…」
黎がそう呟くと、穂積はそうねと返す。
「たまに廊下で会うわね」
でもそれがどうしたの?と穂積は首を傾げる。
「いや、それ以上は何も」
黎がそう言ってそっぽを向くと、まぁ良いじゃないのと師郎が彼の肩に手を置く。
「知り合いって事は何かの拍子に役立つかもしれないし」
な?と師郎は黎の顔を覗き込む。
黎はそっぽを向いたままだった。
「ま、良いわ」
それじゃああたしは…と穂積は十字路の左に伸びる道へ向かおうとする。
しかし彼女はぴたと足を止めた。
少女は肉塊怪異に斬りかかっては飛び退いて距離を取る、ヒット・アンド・アウェイの手法で戦い続けていた。しかし肉塊に目立ったダメージは全く与えられず、その足取りもまた、全く衰えない。
「……あの子、刀の使い方が下手だねェ」
「え、師匠剣術とかやってたンスか?」
種枚の呟きに、鎌鼬が問い返す。
「な訳無いだろ。包丁でもカッターナイフでも、刃物を持ったことがある奴なら分かる程度のことさ」
「……いや分かんないです」
「しょうがない奴め。良いか? 刃物ってのは何でも、正しく刃を入れて引かなくっちゃあ切れないモノなんだ。家に帰ったら試してみろ、包丁の刃に手ェ押し付けるだけなら、別に切れやしないんだぜ」
一度口を噤み、少女に目を向ける。少女は刀を杖代わりに、怪異の前に膝をついていた。
「あらら、大分しんどそうじゃあないか」
「助けに入った方が良いんじゃ?」
「……いやァ?」
肉塊怪異が少女を押し潰そうとしたその時、少女はどうにか立ち上がり、刀の刃を怪異にぶつけてから転がるように後退った。
テスト終わりました!とゆことで帰還しました。
テトモンよ永遠に!さんが、私の完走記念の投稿にレスをしてくださっていたの気づきませんでしたすみません。
キャラのまとめは見てみたいですね、私が許可出すことかはわかんないですが、良きと思います。
ところで、月の魔術師の投稿飽きました。
まあでもせっかくだし頑張ります。終わらせたいんだが終わらないんだよなぁ。
でも新しい話作ったり企画に便乗したりしようと思います。前に、新しい話についてちょこっと投稿しましたし。
そろそろ三年ですが、できるだけ安定して投稿しようと思います。これからもよろしくです。
「そうだ、今日はどこに行くんです?」
街を歩きながら、理宇が尋ねた。
「んー……そうだなー……あ、思いついた。CD屋行こうぜ」
「了解ッス」
目的地に向かう近道となる細い路地に入ったその時、路地の奥から爆発音が響いてきた。
「お、ビンゴ。行くぞ、先行け」
「はい!」
ホルスターから武器となる2本の棒を抜き、両手に構えながら理宇が駆け出した。いち早く路地を抜けた彼女の目に映ったのは、CDショップの自動ドアを破壊し、内部への侵入を試みる体高4mほどのエベルソルの姿だった。
「タマモ先輩、敵です! 見える範囲では1体、2階にも余裕で届くサイズの大きさです!」
「なるほど分かりやすい状況報告感謝」
弾丸を描きながらタマモも理宇に追いつき、射撃をエベルソルに命中させて注意を引いた。
「あークソ、なんだってこうも人間の多い場所に湧くかなァコイツは。これだけ周りに障害物があると思ったように弾が撃てねェ」
「……厄介なところ申し訳無いんですが、タマモ先輩」
「ん、何だ?」
「2つほどお願いしたいんですけど」
「何だ、言ってみろ」
「一つはフィニッシャー。あれだけ大きい相手だと私は足止めに専念した方がやりやすいので、ダメージは先輩に積んでもらいたいです。あともう一つ、向こうのリズムをできるだけ一定にコントロールしてもらえると、受けやすいので……」
「……そういうのはウチの相棒の方が得意なんだけどなァ……。まあ、やれるだけやってみるが、多分上手く行かないからお前も頑張れよ」
「はい、お任せください!」
「オーケイ、来るぜ」