「なっ…行きなさい、お前たち‼︎」
男はそう言ってキャス含む人工精霊たちにナツィたちを追わせるが、そうはさせない‼︎と物陰からキャップ帽を被った赤髪のコドモが包丁を構えて飛び込んでくる。
だが男の目の前に魔力でできた壁が生成され、赤髪のコドモの攻撃が弾かれた。
「っ!」
コイツ、まさか自分の身体に術式を仕込んでいるのか‼︎と赤髪のコドモこと露夏は声を上げ、後ずさる。
「…あぁそうだ」
我々は“学会”とは違って、大胆な魔術も使うからなと男は地面に落ちた魔力式銃を拾いつつ答える。
そして露夏に魔力式銃を向けた。
露夏は包丁を相手に向け、得物に魔力を込めて赤い火球を打ち出す。
しかし男の前に魔力障壁がまた生成されて弾かれた。
男はその隙に魔力式銃のトリガーを引こうとするが、上空からやーっ‼︎と声を上げながら誰かが飛び込んでくる。
男が反応するよりも前にその誰かは手に持つ荷物を振り下ろした。
そこから先はスムーズだった、混乱に乗じているのだから当然といえば当然なのだが
目星をつけた場所を巡るだけの簡単な作業だ、その後のことを考えないのであれば
「交代か?ついに俺も戦場に出されるのかぁ」
2つ目に迫ったとき、私とは別のアヴェスに声を掛けられた。
「君は?」
「俺はアクトレスってんだ、アクトレス・ノア。お前は?」
「ソロウ ・フォルスラコスだ。君はなぜこんなところに?」
「よろしくソロウ。まぁ何、こういうことだよ」
ノアが服を捲くって見せてきた、胸部のコアが剥き出しでエネルギーゲインが不安定、しかもよく見たらどこにもレヴェリテルムが見当たらない。
「なるほど…」
これでは戦えないわけだ
「んで、ここの警備に回されたってわけ。そんな俺でもようやく戦闘の番が来たってわけだ!」
「ここには何が?」
「さぁ?大事なモンってのは聞いてるが」
聞かされない内蔵物、警備のアヴェス…
多分、ここで当たりだ
「実は、この街はもう持たない。陥落前にこの中身を別のところに移すよう指示を受けたんだ。人類のために」
半分はでまかせである、そんな指示は受けていない
陥落しそうなのは本当だが
「な…町が…!?」
「ここを開けてはもらえないだろうか?」
「わ…わかった。開けちゃいけねぇ決まりだけどそんなこと言ってらんねぇもんな!それでどこに移すんだ?」
「それは…本部だ、ドムスの」
「隣の街か…あいわかった!」
ノアが何かを操作すると地面が割れ、階段が現れた。
「こっちだ!」
二人はその階段を駆け下りていった。
「碌なことにならないって、何さ。家の水瓶直すだけだよ。」
不貞腐れた様に一息で言うと、今度は旅行用品の注文を始めた。
「あれ、マスターどこか行くんですか?」
「ま、ちょっとね…でも冬までには帰ってくるから。」
「長い!」
今。外にはきっと、新緑の眩しい初夏の日差しが降り注いでいる。
つまり、たっぷり二ヶ月くらいは不在ということになる。
ちょっとどころではない。充分長い。
どこへ行くつもりなのだろうか。