ネロと耀平がクレーンゲームで取ろうとしたぬいぐるみは、霞さんの手伝いもあって見事に取る事ができた。
目当ての品を手に入れる事ができたネロはご満悦のようで、嬉しそうにそれを抱えていた。
とりあえずネロがぬいぐるみをゲットしたので、わたし達はゲームセンターをあとにする事にした。
その後、寿々谷のあちこちを回ったのち、わたし達は寿々谷公園へと足を向ける。
そこは、どうやら耀平と霞さんの思い出の地のようだった。
「わー、昔と変わってないね~」
懐かし~と霞さんは公園に辿り着いて早々に呟く。
「まぁ確かにそんな変わんねーよな」
ここは地方の街だし、と耀平は赤い上着のポケットに手を突っ込みながら言う。
霞さんはだよね~と笑った。
…そんなこんなで、わたし達は公園内を回っていく。
遊具が設置されているエリアや噴水があるエリア、だだっ広い芝生が広がるエリアに小さい子ども向けの浅いプールがあるエリア…とあちこちを巡りながら、わたし達はずっと話し込んでいた。
「…君は、引っ込み思案なんだねぇ」
「⁈」
霞さんの急な発言に、黎は驚いて飛び跳ねる。
霞さんはまた笑った。
「この子はどうして耀平くん達と一緒にいるようになったの?」
霞さんが師郎にそう目を向けると、師郎はあぁ、それは…と黎の方を見やる。
「黎はネロと耀平が拾ったようなものなんすよ」
夏の雨の日に、ネロが傘貸してやったのが縁だそうな、と師郎は腕を組んだ。
へー、と霞さんはうなずいた。
「なんだか不思議なもんだね~」
「そうなんすよ」
俺達は偶然が重なって一緒に行動するようになったんで、と師郎は笑い返した。
すると霞さんは不意に…僕もそうだよと呟く。
わたしや黎は驚いて霞さんの方を見た。
「僕だって、長らく独りだったんだから」
霞さんのどこか寂しげな呟きに、わたしと師郎は目をぱちくりさせる。
それに気付いたのか霞さんは、あーごめんごめんこっちの話と手を振って苦笑いした。
わたしは何の事だろうと不思議に思うが、師郎はふと側にいる黎がゲームセンターの外に目を向けている事に気付いたのか彼に話しかける。
「黎、どうかしたか?」
師郎がそう聞くと、黎は彼の方を見て横に首を振った。
師郎は、そうかと答えると、ネロと耀平が攻略に四苦八苦しているクレーンゲームの方に目を向けた。
僕は、今日生き抜くって決めた。
消えちまいたいと何度も思ったけど
僕はなにがあろうと生きるって。
苦しいこと悲しいこと大変なことがあっても絶対に。
この僕の尊い命が燃え尽きるまで
僕は生きると。
生きているだけで100点満点。
ほんとにそうだった。
僕はもう生きてやるって。
もう消えちまいたいと思わないようにする。
だから、
僕は生きるって決めた
生き抜くって決めた。
生きてやるって決めた。
生き抜いてやるって決めた。
絶対になにがあろうと僕は生きるって。
生き抜いてやるって。
生きてやるって。
一人は好きだけど
孤独は嫌い
自分のペースでやっていきたいけど
みんなとペースを揃えてやらないと
遅れてしまう
周りから差別されて
ぼっちに
何もついていけなくて
焦りに
そんなマイナス発言、心に
プラスが混ざってくれたらな
「もう、、、行くから。。。」
そう言って私は猛ダッシュ!こう見えて私足速いし。
「まて〜い!」
って!足はっや!はぁ、はぁ、ここまでくればもう大丈夫?ああ、ここに貼ってあるのは地獄の紙。その名も。。。「クラス表」ドーン!私はAクラスなのか、Bクラスなのか、はたまたCクラスなのか、ドキドキドキドキドキドキ。勇気を持ってその地獄の紙を見る。______
A!29番!すかさず次の番号の人を見る。まあ、それが私のいわゆるくせ。う〜んと。。。「大王雀」か。。。すずめ?キラキラネームやん。{ここで豆知識!出席番号は名字のあいうえお順だけでなく、名前のあいうえお順があるのだ!ほかにも、誕生日の順番もあるんだよ!(今学校は誕生日だね)}仲良くできなさそう。。。まあ、それはいいとして、そして特に知ってる人はいない!いじめっ子もいない!最高だああああああ!私は絶叫しそうになった。その時。。。
「まて〜い!」
そ、その声は!いかっこ〜?!(いかの信者と言ってきた子の略)
「はぁ、はぁ、お、追いついたぞぉ〜」
なんとも幼い声。ていうかあの子の名前知らないんだけど?高校生ならこのクラス表に載ってるはずよね。一応聞いておこう。
「あのぉそのなんていうかお名前をお伺いしても。。。」
「うむ、良かろう。わしは大きい王、雀と書いて、大王雀(するめ)じゃ!」
ふーん。。。って!さっきの。。。〜「大王雀」か。。。すずめ?キラキラネームやん。仲良くできなさそう。〜???????????!!!!!!!!!!!!ham?!ていうことは同じクラス?
ああ、なるほど、なるほどね〜あ、なるほどね〜(理解できず無理やり理解しようとする図)。へにょん(理解が追いつかなくて倒れる図)
「うわ!おぬし、大丈夫か?!よし、わしが運んでやろう!」
「だ、大丈夫ぇす〜一人で歩けまぁ〜す!私の名前は中村友奈でぇす」
「別に名前は聞いてないが。。。」
このとき、二人は思った。やばい、変な人と友だちになってしまった。と。
第二章に続く。。。