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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 25.ヴァンピレス ㊴

「…おい⁈」
ネクロマンサーが驚きの声を上げるのも気にせず、わたしは走り出す。
正直考えるより先に、身体が動いていた。
「ストーップ‼」
わたしは走ってくるヴァンパイアと座り込むヴァンピレスの間に、ギリギリの所で滑り込み、ヴァンパイアの前に壁のように立ちはだかる。
ヴァンパイアは振り上げていた具象体の剣を、わたしの首筋の手前で止めて立ち止まった。
その場に、ほんのわずかながら静寂が訪れる。
「…どうして」
どうして、僕の、邪魔を…?とヴァンパイアは目を丸くしてわたしを見つめた。
「これは、わたしの”意思”です」
わたしは毅然とした表情で言う。
「これ以上、ヴァンピレスを苦しめないために」
「でも彼女以上に多くの人が苦しんだ‼」
わたしの言葉を遮るように、ヴァンパイアが声を上げた。
「その苦しみの根源を、僕が、僕自身が断ち切らないといけないのに、どうして、きみは…」
ヴァンパイアは震える声で続けるが、わたしは真っ直ぐ彼の目を見据えてこう言う。

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Tell us terrible Terrors:のろい、まじない、きりはらい その⑦

「お疲れ、“メリーさん”。一旦仕切り直そうか」
清嘉は召喚体に駆け寄り、能力を一度解除した。ばらばらになった召喚体は煙のように消失し、再発動によって無傷の“メリーさん”が再び現れる。
『わたしメリーさん、からだ直ったの~』
「“メリーさん”、今、ターゲットはどこにいる?」
『今ね~……3本となりのほそい道にいるの』
「了解。ありがとうね」
『ん~』
召喚体は清嘉に頭を撫でられ、満足げに喉をころころと鳴らした。
「……それで? どうやってマナミちゃんに接近するんですか?」
“メリーさん”を抱き上げながら、燿子が尋ねる。
「まぁ……何とかするしか無いよなぁ……野火止さん、占いした時の紙ってある?」
「ありますよー、ほい」
燿子がポケットから引っ張り出した、タイプライターで出力された用紙を差し出す。折り畳まれたそれを開き、清嘉は目当ての事項に目を留める。
「……よし、備え万全」
「何見てたんですか?」
「スマホの番号。一応ね」
「“メリーさん”といえば電話ですもんねぇ」
電話帳にその番号を保存し、清嘉は路地から顔を出した。
「そんじゃ……行くかぁ……」
「すんなり仲良くなれると良いですねー」
「だと良いんだけどねぇ……」
清嘉が先を歩き、その後ろに“メリーさん”を抱えた燿子が続く。二人が薄暗い路地の奥を覗き込むと、物陰に人影が動いているのが目に入った。
人影は足元に転がる塊を、苛立たし気な様子で繰り返し蹴りつけている。否、それはただの塊ではなかった。生きた人間が身を守ろうと身体を丸めて、暴行を受けているのだ。
「…………どっちですかね?」
「多分…………加害者側? 蹴られてるの男子っぽいし……」
「仲良くなれそうですかね?」
「厳しい……かなぁ……」
「止めた方が、良いですよね?」
「喧嘩とか怖えんだけど……」
「超能力者が何をビビることがありますか。ほら行きますよー」
「はいはい」
2人が近付く足音に、暴力を振るっていた人影は動きを止めた。その隙に、足元の被害者は這いずるようにして逃げ出す。

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Tell us terrible Terrors:のろい、まじない、きりはらい その⑥

二人は、学園から徒歩5分ほどにある最寄りの地下鉄駅で電車に乗り込み、5駅先で下車する。
「この辺にいるっぽいよ」
「分かるんですね。便利な『略霊』してますねぇ」
「どうも。そんじゃ、案内するよ」
「頼みますよセンパイ。ここじゃタイプライター引っ張り出すスペースも二人きりになれる空間も無いんですから。私は無能なものだと思ってください」
駅を出て、清嘉の先導で二人は追跡を続ける。やがて二人は雑居ビルの隙間の細い抜け道に潜り込み、薄暗く人気のない裏路地に出た。
「あ、いた……“メリーさん”!?」
清嘉が慌てて駆け寄ると、召喚体は、首と腰で切断されていた。完全に分断された脚だけが歩いており、胴体部は分離した下半身のスカートの裾と、頭に被ったボンネットを小さな掌で掴み、3つの部位が辛うじて生き別れにならないように繋ぎ止めていたのだった。
召喚体は清嘉の悲鳴じみた呼び声に足を止め、首を転がすようにして振り返る。
『あっ所有者ぁ~。メリーさん斬られたの~』
その声色は凄惨な現状に反して、あまりにも気の抜けたものだった。

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イン・ マイ・インスピレーション

旅に出る
眠ったまま
旅に出る
座ったまま

イン・マイ・インスピレーション
イン・マイ・インスピレーション

絵が描ける人間になりたかった
私には 足りない

寂しさが愛情に飢える瞬間、狂暴に成り果てる人、

ハグしてあげよう、今。