あなたが誰を好きになっても
いいんだ
振り向いてもらおうなんて
思っちゃいないから
私は自身を磨き
自信を持って生きている
それを受け入れてくれたら嬉しい
だけどあなたが違う人の所に行くなら
私はそれをとめない
けど、私を愛してくれるなら
これほど嬉しいことはないけどね
当たり前だったはずなのに…
君の席は私の後ろで、
私の席は君の前。
君が困ってたら、
私が手伝う。
私が困ってたら、
君が手伝ってくれる。
君が話しかけてきて、
私も振り向いて言葉を返す。
…それが「当たり前」の日々。
そんな日々「だった」。
「席替えしまーす」の担任の声
目に見える世界が真っ暗になった
同じ班だから縦列は一緒。
自分に言い聞かせて一覧を見る
次の席は…
君は私の後ろの後ろで
私は君の前の前
…ちょっと離れた…
「ちょっと」だと思ってたのに
ちょっとはちょっとじゃなくて
目に見える何十倍もの距離を感じた
次の席替え
近づけると願い 一覧を見る
君の席は私の前の前の前の前
私の席は君の後ろの後ろの後ろの後ろ
…だいぶ離れた…
「ちょっと」の2倍は
さらに大きかった
あの「当たり前」の日々が
恋しくて 恋しくて 恋しくて
ずっと願っている
次こそは 次こそは
次こそは…君の前に、いれますように。
君が後ろにいてくれますように。
チャイムがなって、授業が終わった…らしい。
誰の声も何の音も耳に入ってこない。
ずっと、ずっと、心のなかで祈っている。
強さとはなにか。
誰よりも優れ頭が切れること?
武器を持っていること?
いいえ
人を愛し、人の為に動けることだと私は思います。
大好きなあなた
やっぱりあなたは私の大好きな――
ごめんなさい、私、ダメな子。
あなたの好きな
「 」にはなれないみたい
あなたの気持ちを踏みにじって。
ひどい女。
いや、女じゃないね。
『女』になんかなれないね。
『私はあの子の引き立て役なんだ』
そう言って聞かせる
黒く呑まれる自分自身へ
『あの子は一番星』
暗く染まったなかで一番輝き目立つ
そして眩しさで周りを眩ませる
周りが見えなくなるほどに
「正しい」も「間違い」も無い
「輝き」だけが道標のこの世界で
彼女は一番輝き目立つ
ほかのどんな星にも負けない
特別な「輝き」を放って
私は彼女を嫌わない 嫌えない
敬い崇める それが私の使命
誰も敵いやしない彼女を崇め奉る
「ほんとは嫌いなんでしょ?」
「羨ましいんでしょ?」
そんな訳がない
彼女は究極で完璧なのだから
誰も妬みやしない
妬んだとて勝ち目はない
それを分かっている
私は彼女の輝きを分けてもらって生きている
彼女なしには生きていけない
だから私は彼女を崇め続ける
どんな地の果てまで行こうとも
天に昇ってでも
私は彼女についていく
それが私の使命
私の生き甲斐なのだ
弱さってなにか。
武器を持っていないこと?
無力で誰も救えないこと?
いいえ
人を陥れる行為、そのものを【弱さ】だと私は思います。
また今日もどこかで
命が始まる
誰かを愛するために
生まれてきたの
また今日もどこかで
命が終わる
根強さを諦めずに
生きてきていた
泥まみれになりながらも
貴方は今日まで生きている
どこかで綺麗に拭わずに
抱えてきたの
確かにまだここにあるよ
見えないくらいの希望が
どうにか探し出してほしい。
暗闇のなかに堕ちていこうとも
いつも側にあるから
人には知り得ないほど
我々は弱いから
いつの時代にもある
何かのリレーを繋いでいる
また今日もどこかで
終わりが始まる
誰かに愛される
涙が聞こえる
また今日もどこかで
星が増える
誰かに愛されてた
涙が届いてる
大きなものを
体いっぱいに詰め込んで
貴方は今日までここにいる
どこかで全て置かないで
抱えてきたの
ちゃんとまだそこにあるよ
見えないくらい大きな愛が
どうか知っていてほしい。
空の上に昇っていこうとも
必ず側にあるから
人には知り得ないほど
我々は美しいから
守り続けてきた
尊いリレーを繋いでいる
確かにまだここにあるよ
貴方を埋め尽くす愛が
どうにか受け止めてほしい。
終わりが待ち受けていようとも
最後まで付いてるから
少しずつだけでいいよ
歩んできた時間は残ってる
いつの時代にもある
「生きててほしい」を繋いでいる
たったの二文字を
君に伝えたい
たったの二文字だけれど
君に伝えられない
優しくて面白くて
みんな君といると楽しそう
カッコよくて一生懸命で
難しくても君は諦めない
そんな君に私はたったの二文字の感情を持っている
君に伝えたい そして「僕も」って言われたい
二人で、想い合いたい
叶うことなんかない、私の密かな願い
君が特別に仲がいい女の子がいる
見ていたらカレカノじゃないことはわかるけど…
わかるけど…ちょっと妬いてしまう
授業の自由行動でもいつも一緒にいて
楽しそうにおしゃべりしている
休み時間にも楽しそうに笑い合っている
意地の汚い私はその子とたくさん話した
一緒に君と話せることも増えてうれしかったけど…
うれしかったけど…ちょっとフクザツ
想像する
いつか、君と二人でお出かけしたり
隣で一緒に歩いたり手をつないだり
一緒に笑い合ったりすることを
そして、願っている
君にその、「たったの二文字」を
伝えられることを
ロマンチストな君は急に言い出した。
寒いのに、とリアリストな私は返した
君はそれでも見せたいんだと
渋々私はついていった
道中の空気は悪かった。
眺めているだけだった。
とりとめもなく会話もせず
それでも君はにこにこしていた
車が止まって、外が急に変わった。
零下の満天の星、
輝く幾筋の光、目下に広がる街明かり
この景色を見せたかったんだと君は言う。
リアリストな私でも今日だけは
ロマンチストになっても良いのかな
きっとこの気持ちもこの星空も
君の無邪気な笑顔のせいだろうから
一体街はどれほど文明が進んでいるのかと思い行商の者に話を聞くと、あちらでは動力のない巨大な馬車が轟音を上げながら走っていると言う。恐らくは蒸気機関車であろう。電気が通っているかどうかは測りかねる。今の私にとっては灯油ランプと電気の違いを彼らに説明することは困難なことだ。
彼らの話を総合すると、どうやら街は、あるいは人類は産業革命時程度の文明を持っているようだ。
街の亜人らは魔力を持ち魔術を操るので産業革命時程度だが、それらを持たぬ人間はより発展した科学技術を有している可能性が高い。コマ=リャケットの文明は未だ中世の農村共同体程度で止まっている訳だから、人類、殊に人間と比べれば雲泥万里というものである。
しかし、文明未発達といえども、周囲の生活に合わせていれば大した苦労はない。
コンクリート・ジャングルで時間に追われた生活をするのも、充実感に満たされていて嫌いではなかった。ただ、今の自然の中の共同体的な生活も悪くない。時間が悠然と流れて行き、それに身を任せる。
人の形をしているとはいえども分類上は爬虫類。子供は過酷な生存競争の中で生き延びねばならぬものと覚悟していたがそれも杞憂に終わり、成人するまで親の扶養を受け、誠実に秩序を遵守していれば成人したのちも集落の中で暮らすことができる。類稀な平和を享受しているように思う。
現在の私は幸福感で満ち満ちている。
ただし不満がない訳ではない。
例えば宗教学的に見れば、宗教は古代的なアニミズムがあるようだが、立派な神殿や聖典、確固たる教義は存在しない。
御天道様にお祈りを捧げる、埋葬する、といった文化はある。しかしキリスト教をはじめとする前世に存在した宗教、また街の方の宗教のような、支配と結びついた宗教ではない。一神教と支配について好んで学んだ身としては非常に残念である。
人文科学の点から見ても、我々の使用言語にはそもそも文字がない訳だから歴史研究や文学の発展もないに等しい。勿論口伝の神話や寓話は存在するが、それ以上の『文学』は私が見たところ存在しないようである。私は前世、本、殊に文学や古代史書、天文学書をよく好んで読んだのでその点落胆した。
また、コマ=リャケットには文字がないと述べたが、文字を覚えられる者が殆どいないのである。
集落の中で公用語を話せる者は一割程度、その上記述が可能な者は一人といった具合である。それにはやはり鱗と鋭い爪で武装した使い勝手の悪い指という身体的な特徴の原因もあるが、主な理由としては知能の低さにあるであろう。
元は人間である私も今では立派にコマ=リャケットである。知能の低下に抗う術は持っていなかった。
まず思考力が低下していることが分かった。計算は随分遅くなった。小学生の頃と比べてもあまりにも遅い。
それに、高校や大学で当然に説明のできた理論が理解できなくなった。知能の低下に気が付いたときに一つ一つ確認したところ、虚数が理解できなくなっていたのだから驚きだ。
補足しておくと、コマ=リャケットの脳機能は十年程度で成熟する。私が他の者よりも極端に知能が低い訳でもないようだ。
あの日の僕が
君に言う
空は限りなく青いと
また嘘をついた
僕は未だに
黒い「本当」に覆われてる
遥か遠い場所には
輝くものがある
想い出すんだ
あの頃の光を
懐かしいものが今も
此処に届いている
星を見て涙した日を
忘れぬように
そっと手を伸ばす
また陽が昇るのを
待ち続けると
僕は残すから
あの日の記憶が
目を覚ます
まだぼんやりしてるけど
まだ嘘をついてる
僕は今日も
布団のなかにくるまってる
誰も知らない場所には
大切なものがある
想い出すんだ
あの頃の君を
懐かしいことが今も
此処に残ってる
空を見て笑った日を
忘れぬように
そっと手を伸ばす
またあの風が吹くのを
待っているからと
僕は守るから
未来の声が今も
此処に聞こえてる
夢を見て泣いた日を
忘れぬように
ずっと大切にしていたい
いつか君が来るのを
待っているからと
僕は歩むから
僕は逢いにゆくから
前回は、リアクションをたくさんいただき、ありがとうございました。これからもよろしくお願いします。
違う、違う、違う、 違う
違う、そうじゃない、それじゃだめ。
違う、そういうことじゃない。
なに、なに、なに?
そんな態度じゃない、そんな言葉求めてない、
おまえは一体誰?何?何も知らないじゃん、知ったふりして、そういう言葉、違う、
やっぱりあなたじゃないと
全然たりない
あなたからの愛がたりない
満たされない
それから3日後。
あっという間にヴァンピレスがわたしにあの”提案”の返事を聞きに来る日が来てしまった。
この3日間、わたしは期末テストの勉強をしつつヴァンピレスへ対する返事を考え続けていたが、考えれば考える程に頭がこんがらがってきていた。
そもそもの話、なぜヴァンピレスがわたしなんかに”提案”なんてものをしてきたのだろう。
こんな異能力を持たない平凡なわたしと手を組んで、彼女が本当に得をするのだろうか。
彼女は『あなたもわらわも損することはない』だなんて言っていたが、正直言ってかなり怪しい。
あの他人の異能力を奪って回っているヴァンピレスの事だから、きっと裏があるような、そんな気がした。
…そう考えながら、わたしがいつものショッピングモールをぶらぶら歩いていると、不意に前方からあ、と聞き覚えのある声が耳に入る。
わたしが顔を上げると、数メートル先からネロ、耀平、黎、師郎が近付いてきていた。
「あ、みんな」
わたしがそう言うとネロが、そういやアンタ今日はいつもの場所にいなかったなと思い出したように声をかける。
風に揺られて歩く夜道。
ポッケに手を突っ込んでひとり歩く。
街灯の光しかないこの夜の町でひとり自由に進む。
夜は、自由に歩いていてもなにも言われない。
逆に日が出ている時は目立っちゃうから変な人って思われるけど
夜は暗いから見えないんだ。
人の目を気にせず自由に歩ける。
周りながら、大きく手を広げながら。
音楽をかけながら夜道を歩く。
落ち着くんだよな。これが
周りに惑わされて、周りを気にしなきゃいけない
矛盾と混沌な世界で生きてる僕。
繊細な糸の塊のような僕は、すぐちぎれそうになる僕は
今、夜道を歩いてる。
これは独りじゃないただ1人の休息時間なんだ。
あれ?いつの間にか海近くに来ていた。
座れそうな崖に腰掛けて暗い静寂な海を眺める。
波の音を聴きながら。
真っ暗な世界のこの景色が
張り裂けそうな今の僕の心を浄化してくれる。
ずっとここにいたい。ただここにいたい。
しかし人気のない人の気配もない僕しかいないこ夜道をまた歩く。
また、現実を生きないといけないのか。
いやだな。このままずっとこの時間が続けば良いのに…
だけど僕はまた歩いていた夜道を歩く。
また来ようと思いながら。
何かに操られている
僕たちは
冷たい床に座り込んでいる
首を傾げた子どもが
潤った目で
見つめてくる
意図なんてしてないのに
勝手に身体が動く
誰かの声がして
僕はそこらへんに
届きやしない
この聲は
一人でずっと抱えてる
空の世界は思ってるよりも
広いから
もう縛られたくないや
誰かに遊ばれてる
僕たちは
狭い部屋でギュウギュウになってる
いつも僕を掴んでる子どもが
輝く目で
睨んでいる
思ってもいなかったよ
まさか此処で会えるとは
そう思う間もなく
君は連れ去られていった
伝わりやしない
この望みは
いつしか僕の肩の荷に
此処だけが全てだと思ってた
でも知ってしまった
抜け出したい
せめて魂だけでも
自分の足で立ちたい
飛び回りたい
こんな世界はもう嫌だ
こんな世界を抜け出したい
お料理、お菓子作り
スノボー
お友達と電話
香水収集
神社巡り
です。
私は星の子プリン
みんなの優しさで出来てる星だょ
大きな、大きなユリカゴなんだ
みんなを包んで温めてるんだ
「なんかあった?」
ネロの急な質問に、わたしはえっ、と飛び跳ねた。
「な、何って…」
「いやー、いつもの場所にいなかったからどうしたのかなーって」
ちょっと気になっただけ、とネロは呟く。
わたしは今の悩みが見透かされた訳ではないと分かって内心安堵したが、いつものようにショッピングモールの屋上に行かなかったことを若干不審がられているようで不安になった。
今日、ヴァンピレスがわたしに会いに来るということで、ネロ達に迷惑はかけられないと彼らに会わないよういつもの待ち合わせ場所に行かなかったのだが…やっぱり会ってしまう時は会ってしまうらしい。
地方の街だから仕方がない…そう思いつつ、わたしは何でもないよと作り笑いで返した。
そう?とネロは不思議がったが、すぐに耀平が、そうだネロ、ゲーセン行こうぜ!と声をかける。
「この前ネロが取り損ねたぬいぐるみ、また取りに行こう」
「そうだね!」
耀平の提案に、ネロは明るく答える。
それを聞いて師郎は、じゃー行きますかねと後頭部に両手を回し、その隣で黎はうんうんとうなずいた。
それを見てネロは不意に、あ、アンタも行く?とわたしに尋ねる。
わたしは急な提案に驚きつつも、とっさにそうだねと答えてしまった。
「…じゃ、行くか」
ネロがそう言って歩き出すと、耀平、黎、師郎が彼女に続く。
わたしもそんな彼らに続いた。
「…」
そう考えていると不意に斜め前から視線を感じて、わたしはついそちらに目を向ける。
すると目の前のテーブルを挟んで斜め前に座る黎が、不思議そうにわたしを見ていた。
わたしは思わず、ど、どうかした?と尋ねる。
この言葉にはネロ、耀平、師郎も反応し、パッとわたし達の方へ目を向けた。
「なんだよアンタ、どうしたんだ?」
わたしの2つ隣の席に座るネロがこちらを覗き見てそう呟く。
わたしはあっ、いや…と答えた。
「黎がこっちをじっと見てるから、何かあったのかなって」
そんなわたしの言葉に、ネロは、どうかしたの黎?と黎に聞く。
黎は少しの沈黙の後、何か、と口を開く。
「コイツが何か難しい顔をしてたから、ちょっと気になって」
黎がわたしに目を向けつつそう言ったので、わたしはえっ、あっ…と慌てた。
どうやらわたしが考え事をしていた事がバレたようだ。
このままでは色々と皆に聞かれるかもしれないと思ったわたしはまごつくが、ふーんとうなずいてこちらを見ているネロは少しの間こちらを見つめる。
そして彼女は…なぁ、と話しかけてきた。
わたしがネロ達と合流して、ショッピングモールのゲームセンターへと向かって暫く。
ネロと耀平は先程言っていたぬいぐるみのクレーンゲームの前でコントロールレバーを操作して、中のぬいぐるみを取ろうとしていた。
あーでもない、こーでもないと2人が言い合い、その様子をクレーンゲームの台の横から黎が微笑ましそうに見ている。
そんな光景を、わたしはクレーンゲームのすぐ側にあるメダルゲームの台の近くから眺めていた。
「おー、やってんな~」
ふとそんな声が聞こえてきたので、声のするわたしの右側…ゲームセンターの入口の方を見ると、近くの自販機で買ってきたらしき緑茶のペットボトルを持った師郎が近付いてきていた。
「まだ取れてないのか?」
ぬいぐるみ、と師郎がわたしに尋ねるので、わたしはまぁ、うんとうなずく。
「あれ、結構取りにくいみたい」
「そうかいそうかい」
師郎はそう言いながら緑茶のペットボトルを開け、中身を口にした。
騒がしいゲームセンターの中で少しの間わたし達2人の間に沈黙が下りたが、ふと思い出したように師郎が、なぁと呟いた。
どれだけの愛を綴ったって
きっと君には机上の空論
選び抜いた私の気持ちは
こころに届くこともなく
表面を滑り落ちて積もっていくのを
今日もただただ眺めてる
君の考えも君の立場も君のこころも
全て君自身のものだから
わかったふりはできてもわかることはできない
だから言葉が滑り落ちていくんでしょうか
愛とか好きとか私も分からなくなって
もしかしたら私の気持ちは
君の思う通り空っぽの言葉だったのかもなんて
そりゃ君に届くはずもないよな
重くなるのが嫌で 傷つけたくなくて
笑っていて欲しくて
全部全部わたしの本音だったのに
本音だと思っていたかったのに
君にも私にも
とどかない
わたしも君も随分と勝手なものですね
今年も渡せないチョコ
ずっとね、渡せないままなんだ。
こんなにも好きなのに、ね。
闇を知っているから
光が自身を包むの
だから朝が来るんだ
闇があるから
地球の影の部分を守る私が
光を
浴びれるんだ
だから周るんだ
心はコップ
「辛い」をどんどん注がれて
溢れそうでも注がれて
溢れていても注がれて
どんどんどんどん注がれて
『頑張れば何とかなるんじゃない?』
その言葉がコップにヒビを入れる
『どうしたら少しでも楽になる?』
その思いがコップを小さくする
いつしかコップは割れてしまう
溢れたコップはどうにかなるけど
割れたコップはどうにもならない
割れたコップは破片となり
身体中を傷付ける
溢れて行き場を失った「辛い」は「無」となり
身体中を黒く染める
こうしてヒトは壊れていく
心はコップ
「辛い」をどんどん注がれて
溢れそうでも注がれて
溢れていても注がれて
どんどんどんどん注がれて
いつしか心は消えていく
君が見せてくれる景色はいつだって
穏やかで暖かい色をしている
目覚めて見た海も
やけにかわいい丸い石垣も
ふわふわしたサボテンだって
根強く思い出に染み込んでいる
本当に君がいてよかったと思うよ
大事なものが崩れそうな夜も
君が寄り添ってくれたから
私は眠れたんだと思う
途切れない絆に私はずっと救われているよ
板挟みになって悩んじゃうこともきっと絶えないけれど
君はいつも私のともだち
なんでもないことでいつまでも笑っていたいね
「お前さん、最近何かあったのか?」
「えっ」
わたしはどきりとして、師郎の方を見やる。
師郎は目線だけわたしの方に向けて、いや、なぁ…と苦笑した。
「今日はいつもの時間帯にいつもの場所にいなかったから、個人的にちょっと気になって」
師郎はそう言ってペットボトルのフタを閉める。
わたしは師郎に自分の考えを読まれたと思って焦ったが、そうでもなかった事が分かって心の中でホッとする。
「…別に、今日はたまたまだよ」
ちょっと家を出るのが遅かっただけ、とわたしは作り笑いを浮かべた。
師郎は…そうかい、とだけ言って、クレーンゲームの台の前ではしゃぐネロ達の方に目を向ける。
わたしは”ヴァンピレス”との事を彼らにバレなくて済んだという事で安心していた。
何せ、彼女にこの前会った事や”提案”の事をネロ達に話せば、わたしの記憶は奪われるのだ。
いつも思う
『私の喜びは誰かの悲しみ』
『私の悲しみは誰かの喜び』
「人の不幸は蜜の味」というけれど
それとは違う、世の決まり事
嬉しいことがあった
私は喜んだ
その時ふと思う
誰かは辛く悲しいのだと
そう思うと素直に喜べない
辛いことがあった
私は悲しんだ
その時ふと思う
誰かは喜び嬉しいのだと
そう思うと悲しんではいけないような気がして
何をするのも怖くなった
でも何かしないと生きていけない
だから選ぶ
誰かが悲しむか、私が悲しむか
もちろん私は私が悲しむ道を選ぶ
誰かが悲しんでも責任は取れないから
決して綺麗事じゃない
ただの卑怯な逃げ
そうして私は私を殺す道を歩み進む
生きるための、殺す道を
矛盾している?
…しててもどうしようもないからさ
私は今日も歩み進める
生きるための、殺す道を
どんなに傷付こうが、
心にしまいながら
記憶を奪われるのがどういう感じなのかわたしには分からないが、いつかネロが”記憶は自己の一部”と言っていた事から、恐ろしい事である事は確かだ。
とにかく、彼らにバレないように気を付けなければ…
「…おい、おーい」
そう色々と考えていると、不意に目の前からネロの声が聞こえた。
ハッと我に返ると、ネロが不思議そうな顔をしてわたしの顔を覗き込んでいる。
わたしはいつの間にか周りの声が聞こえなくなる程考え込んでいた事に気付き、慌てて、ご、ごめんと謝った。
「ちょっと、ぼーっとしてた」
「ふーん」
ネロはそう言ってうなずく。
「とりあえず、目当ての品は手に入ったから今度はフードコート行こ」
ネロは声をかけると、何とも言えない動物の形をしたぬいぐるみを抱えたままゲームセンターの外へ歩き出した。
それに耀平、黎、師郎が続く。
わたしも彼らに続いてゲームセンターを後にした。