ファンタジック タペストリー
目を離してた。
時間が長かった。
いつの間にか世界は移り行き
しろとくろは混ざり合って、真っ白なところはなくなった。
探せど彼専用のボールは見付からず、
舞い散る葉も雪も陽にあてられキラキラ視界を奪ってゆく。
魔術師は声高らかに大衆へ告げる。
「英雄は言った、奇跡を望むより軌跡を辿るのだ。」と。
小さないちごのキーホルダーを揺らし歩く女の子
雨の日の帰り道、不意に告げられる
「好きです」
ピカっと雷光と衝撃が走る日常に
振り向く人は誰もいない。
そう
誰モ、イナイ。