LOST MEMORIES ⅩⅧ
持ち上がりが多いためか、初日のわりにクラスはざわついている。もしかしたら、望のようにフレンドリーな人も多いのかもしれない。気を付けろなんて、言いがかりだと思ってしまう。
「ねえ、瑛瑠さん。担任の先生、どんな人だと思う?」
うしろを再び振り返って望が聞く。
学校の制度は学んだことがある。しかし、クラス形式での学びは初めてなので、担任の存在は知っていても、どんな人かなんてまるでわからない。
「大人数をまとめあげる統率力のある方、でしょうか。」
馴染めとはまた強引な指令である。今さら気付いてしまった。
瑛瑠としては精一杯考えたつもりだったが、求められていたのはそういう答えではなかったらしい。
さすがに瑛瑠とて苦笑いくらいわかる。
「すみません、質問の意図を取り違えてしまったようで……。」
「ううん、そうであってほしいよね。
ぼくは優しい先生がいいなあ。」
そういうことか。ため息が出そうになる。
いつかぼろが出る、そんな気がしてならない瑛瑠だった。