ファミリー
「やっぱりレストランのほうがいいんじゃない?」
「いいの。りょう君、家庭の味に飢えてるっていつも言ってるから」
「サラダが欲しいわねぇ。かなちゃん、レタス買ってきてくれる?」
「買ってきたぁ」
「じゃあ半分に切ってちぎっといて」
「はあい。……お母さーん」
「なあに?」
「レタスの中からあかちゃんが」
「あらおめでとう」
「どうしたらいいの?」
「あなたが育てるのよ」
「えっ⁉︎ なんで?」
「当たり前でしょ。あなたが買ってきたんだから」
「当たり前って……」
「あなたのときはかぼちゃだったわ。おばあちゃんが送ってきてね」
「わたし、かぼちゃから生まれたの⁉︎」
「そうよ」
「こんにちはー」
「あっ。りょう君きちゃった」
「どうぞ上がってくださいな」
「おじゃましまーす。……おー、生まれたんだー」
「ごめんなさいりょう君、わたしが買ったレタスから出てきたの」
「出生届出さなきゃなー。あ、婚姻届が先か。名前どうする?」
「どうするって……」
「二人の子どもなんだから二人で考えるべきだろ?」
「こんなに早く孫の顔が見られるなんて思ってなかったわぁ」
「ほら、お前のおばあちゃんだよ〜」
「よろちくね〜」
「あっはっはっは」
「おっほっほっほ」
「…………」