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シューアイス『SBGの場合』

「泣いてるの?」「うわ、この程度で泣くとか、男としてどうなのそれ」「嬉し泣きだよね?大好きなシューアイスかけてもらって喜んでるんだよね?」「どんだけシューアイス好きなの、ちょっと引くわ」「杉田くん杉田くん、私たちが誰かわかる?わかってくれるかなあ?」「わ、睨んでるー。こわー。」「口も手も足も全部使えなくされて、反抗的になるって頭悪くない?」「大人しくしときなよ、杉田の癖に生意気。」「ちょっとウヅ、言い過ぎだよ。」「神崎さん激オコだし良くね?」「つかシメるために呼ばれたんでしょ私たち。」「そうだけどさー、もっと女の子っぽくしようよ。」「ミナはぶりっ子過ぎ。正直疲れんですけどー。」「え、ひどい。。。」「冗談だってもー、めんどいなあ相変わらず。」「あ、杉田が何か言ってる‼」「てかあれ呻いてるんじゃね?神崎さんのシメ、マジでエグいし。」「うわ爪全部剥がされてんじゃん。。。」「こわー。絶対逆らえないわ。」「それよりそれよりっ!私たちの自己紹介出来てないじゃん‼これじゃ杉田くんとお知り合いになれないよ!」「ミナはちょっと黙ってよっか。」「ひどいよウヅー。」「シメられてる奴に笑顔で自己紹介する奴の方がひどいわ。」「さっちゃんの突っ込みは相変わらずキレキレだねっ。」「てへっ☆みたいな顔してんじゃねえよ殴んぞ。」「泣くよ?私泣いちゃうんだからね?」「あーはいはい、どうぞ私達の自己紹介しちゃってください。」「えへへ、ありがとウヅ。私たちはね、ショートボブガールズ、通称SBGって言われてるんだよ!髪型がシューアイスのシューみたいでかわいいでしょー!私はミナヅキ、皆からはミナって呼ばれてて...」「こいつもう意識無いよ」「うわマジ有り得ないんですけど。」「ミナ、顔が怖い。」

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続・シューアイス

「ドロドロに溶けてしまったね。」僕は目を覚ます。ベニヤと埃の匂いがする。ぼんやりとした視界が段々ハッキリしてきて、目の前には神崎がいる。麗しの神崎照美。1組のマドンナ。僕がシューアイスの次の次くらいに好きだった女性。霧がかかったような思考で僕は何が起こったか必死に思い出そうとしてみる。そうだ、僕はあの下劣極まる加藤をボコボコにぶっ倒したあと、やつが食べていたシューアイスを救おうとしたんだ。「こんな、形の無いクズみたいなもののために人の彼氏殴ってんじゃねえぞ、落とし前つけろよ。」ドスの効いた声が響き、咄嗟に逃げようとするが動けない。ロープで縛られ、地面に転がされている。僕はあの時、今にも崩れてしまいそうなシューアイスを掴もうと手を伸ばした。あと少しでその純白の肌を劣悪な環境から救ってやれる、そう思ったとき、背後から何者かに殴られ昏倒したんだ。「そんなに大切ならくれてやるよ、ほら。」頭に何かトロリとしたものをかけられる。僕は咄嗟に目をつぶるが、甘い香りが鼻につき、神崎が僕の頭にかけたものの正体を知ってしまう。不敬だ。これは、何よりもしてはいけないこと。シューアイスを、僕の体で汚すなんて。何という愚行。何という失態。僕は怒りと恥ずかしさでわなわなと震える。助けてやれなかった、その罪を、僕は今身をもって味わっている。

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