幸せってなんだろうな ありふれた問いを心に浮かべて 風をきる自転車 きっと今他愛のない会話をしてた小学生は 暖かい家でゲームでもして 今すれ違ったカップルは 確実に二人一緒にいるのが幸せなわけで 絶対的な幸せなんてないんだって 答えを出した私は こうして風に吹かれて ベースの重みを肩に感じて 目の前を野良猫が通り過ぎていったりするのが 幸せだったりするわけで
ぐっと押し寄せてきては すうっと引いていく かと思えば自然に また押し寄せる その繰り返し そんな水の流れを なみだというんだってさ
砂浜に押し寄せる波のように 楽しそうに笑う君 グラスに入ったミネラルウォーターのように きらきら光りを放つ君 湯船いっぱいのお湯のように ふんわり癒してくれる君 だけどさ その笑顔が その優しさが 誰にでも平等だから その度に心がズキズキする 水は凍れば氷になって 氷はナイフになりうるってこと 君は知らないで 誰にでも雨を降らせるのだから
じっとりと頭が重たい朝、 憎たらしいくらい晴れた空に ひこうき雲がまっすぐ伸びて、 遠くでサイレンが 渦巻いては消えていく 目眩がするような陽だ。
耳をすり抜けていく声と鳴るチョーク あなたが腕まくりして見える手首が やけに眩しく見えて 私のノートは白いまま
言葉のナイフを音速で切りつけるよりも 至極平穏に、静かに 透明な箱に、閉じ込める 空気の中で、溺れさせる 言葉も強力な兵器だけど 無いものと視られるのは 万国共通の兵器だ
おひるね、 と習字をして とろり 睡るゆめ。
目があって 電撃が走った 私が何年も前から探していたのは貴方だったのね 私はシンデレラ 貴方は王子様 夢みる姿をして お城で迎えてくれたのね その長い首も 輝かしい肌も 全てが理想的で それから 「お試しになりますか?」 「………あ、いいすか」 「どうぞ」 首にかかる重みが心地良い 「これにします」 青く冷たい体を撫でた 今日から私の王子様ね -とある楽器屋のベース売り場にて-
夏の虫、と云う季語はあっただろうか 欠けすぎて透けるような月の影が沈んでいく …ぼくはひとり。 電池のきれた懐中電灯 口の合わない充電器 油汚れ洗剤と漂白剤 季節はずれのダウンコート ちぐはぐの荷を積んで うちへ帰る車に乗って …おやすみ、
どこかで嗅いだことのある匂いがした 教室の一角 眩しすぎる日光 真っ白な服 柔らかな声の底 あ。思い出した。 あの時あなたの背中から漂った 柔軟剤の匂いだ