LOST MEMORIES ⅩⅤ
そのまま教室へ向かう彼を追いかけるほど、瑛瑠に余裕はなかった。
この屈辱、憤りをどうしてくれようか。初対面である。礼儀とは。マナーとは。
すべてを叩き込んでやりたいと、そう思ってしまった。
怒りにいこうか、それとももう一度話を聞こうか。いや、無視?
そこで、あることに気が付いた。微かに残るこれは
「――魔力。」
魔力は、使う意思のあるときしか原則放出されない。身の危険を守るためや、自らの痕跡を残すため。原則というからには例外もある。
それは、強い感情を持つとき。
意思によって制御している部分が大きいぶん、それに勝るだけの強い感情を持ってしまうと、制御できず魔力が漏れることがある。それゆえ、よく争いも起こる。感情が魔力という形となりやすいからだ。
しかし、代謝のようなものなので、普段意識するようなことでもないことも確かで。
種によって力の相性の良し悪しもあるため、大概は同種族で過ごしている。
長々と説明してしまったけれど、今のこの魔力は、原則の後者だと瑛瑠は考える。居場所を知らせるためでも、テリトリーだと主張するためでもない。
自分は西洋妖怪だと暗に示すために、彼は残した。