ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 4.フェアリー ③
彼女はおしゃべりで社交的だから、そこまでおかしいことではない。
最初はそう考えた。しかし―
「不見崎(みずさき)さーん、次何の授業だっけ~?」
「あ! 一緒に理科室行こー」
「ねぇ、まじ眠くない…?」
どうしてだか、その後も彼女からの接触は続いた。
話しかけられてつい疑問に思うのは、彼女の話しかけ方がどこかあからさまに理由があるような気がすることだった。
彼女の席の周りには、わたしだけではなく彼女の友達が何人かいるのに…なぜわたしに?
理由なんか分からない。いや、そもそも聞く勇気すらない。
ただ、何かありそうな気がしていた。
まぁ、ある程度の理由をもってわたしに関わってきた人がいるから、そのせいで疑心暗鬼になっているだけかもしれないけど。
でも、わたしにこんなに話しかけてくるのは笛吹さんだけで、彼女の取り巻き達は何もしてこないから、彼女は自分の意志でこんなことをしているのだろう。
むしろ、彼女の取り巻き達は、わたしが笛吹さんと一緒にいると若干冷ややかな視線を送ってくるので、彼女らは、わたしのことはどうでもいい、というかなぜ亜理那と一緒にいる?、と思っていることは確かだった。