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雑談3

哲人「つまりなにか、君は彼よりも君の方がしたことの重さが少ないのだから許されてしかるべきだ、と」
青年「だってそうでしょう、彼が私にしたことは私が彼にしたことの何倍もひどいのですよ。それに先にあんな仕打ちをしたのは彼の方です。正当防衛といってもいいくらいで」
哲人「詳しい内容についてはあえて聞かないでおくよ」
青年「喧嘩両成敗なんてもう流行りません。先生はもっとしかるべき判断を下すべきなんです。それなのにあの人は...」
哲人「まあ落ち着いて。確かに、私も『喧嘩両成敗』なんて言葉を使う気はないよ。だがね」
青年「そうでしょう!当然のことです。今さらそんな言葉で彼と私が両方同じくらい悪いのだ、なんて言われてはたまったもんじゃありませんよ!」
哲人「落ち着きなさい。それではある例を出してみよう。ここにコップが二つ、水が満たされて置いてあるとする」
青年「はい」
哲人「右側のコップには1gの毒が入っている。左側には、同じ毒が0.1g入っている。君はどちらを飲むかね?」
青年「そんなのどちらも飲みたくはありませんよ。その毒の致死量がどれくらいだったとしても、毒入りには変わりありません」
哲人「そう、君が言っていることはそういうことなんだ」
青年「......と言うと?」
哲人「君はしたことの罪の重さでその罪を測ろうとしている。そうではない。罪を犯したのか犯していないのかが重要なのだ」
青年「そっ、それはいくらなんでも酷いじゃありませんか!では私が彼に嘘をついて、彼が私に殴りかかって来たとしたら、それも同じく悪いと言うのですか?!」
哲人「その嘘が彼にどれだけ傷を与えたか、どれだけ彼にとって酷いことだったか、君には知るよしもない」
青年「ですがしかし......」
哲人「主観的な立場から人の善悪を判断してはいけない。この話は前にもしなかったかね?」
青年「.........」

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LOST MEMORIES ⅥⅩ

ご飯、お風呂、歯磨き、すべてを済ませ、あとは寝るだけ。困っているのが、全く眠くないということだ。そりゃ、あれだけ日中に寝てしまえば眠くないはずである。そして、そもそも夜行性なのだ。
寝る準備万端の状態で人前に出るなどしたいことではないが、部屋にいても気が晴れないどころか目が冴えてくる一方なので、寝ようとすることを放棄した。
いるのはチャールズだからというのも理由のひとつである。
アイボリーのカーディガンをひっかけ、リビングへ行く。
明かりが漏れている。起きているのだろうと思って行ったものの、予想通り過ぎて笑えない。
「お嬢さま、起きてらしたんですか。」
少し驚きを滲ませるチャールズの横に座る。
「眠れないの。」
納得したように苦笑して、ちょっと待っててくださいねと言う。
立ち上がるチャールズから目を離し、置かれた本を手に取る。本というより、手記に近いような冊子。タイトルはない。開けてもいいものかと躊躇っていると、チャールズがカップをひとつ持ってきた。もう一方の手に持っていた蜂蜜の小瓶を置くと、その手でそのまま本を取り上げられる。
「人のものを勝手に探るような無粋な真似はするものじゃありません。」