LOST MEMORIES ⅥⅩⅧ
「瑛瑠さん!」
「はい!」
すぐ横で望の声。さすがに驚く。
「大丈夫?」
彼の表情は心配を語っている。
「どうしたの?何か言われた?」
「いえ……。」
自分で確かめればいいのだ。なぜ彼は望のことをそこまで意識しているのか。望が本当に気を付けるべき人なのか。
「何でもないです。行きましょう、長谷川さん。」
変わったことは特にない。相変わらず後ろを振り返ってくるだけだ。
そもそも席が前後でいて近付かないことは不可避である。……近付くなと言われているわけではないが。
やはり訳がわからない。前の席に気を付けろとは。いっそ、席に何かあるのか。
「瑛瑠さん、今日は心ここにあらずって感じだね。」
悟られてはいけないような気がして、咄嗟に微笑む。
「そうですかね。夜更かししたからかも。」
嘘ではない。チャールズのいう昔話も気になるし、どうしてくれよう。