呟き
覚醒。
真っ白な視界、寒くて、痛くて、寂しくて、
とても、とても瞼が重い。
必死に声を、言葉を作り出そうとするけど、僕の口は白い息だけを空に吐き続ける。
身体に力が入らない、視界が歪んで手が、足が見えない。
微かに眠りが近づいてくる音がする。
そっと頬に冷たさを感じた。
歪んだ視界が捉えたのは、細くて長い何か。
純白の世界にひっそりと座り込む純白の何かが僕に触れていた。
頬を冷たい何かが両側から包み込んだ。
ゆっくりとモヤが近づいてくる。それが顔に触れる寸前の距離で人だという事に気づく。
さっきまであった冷たさは指で、手のひらで、人間が、そこにいるのだと理解する。
そして理解と同時に僕の口内に熱が広がった。
ゆっくりと動く2つの命の音を感じる。
1つは歪に生にしがみつくように脈動している。
1つは正しく生を慈しむように脈動する。
2つは決して重なる事なく、歩みを止めない。
きっと見えない、感じない。
音もなく、光もない何処かへ。
在るべき場所へ僕の命は歩んでゆく。
どこまでも正しく人として、人である為に