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      アイデンティティ

果てるのか? 止まるのか? 夢と現実の狭間で
朽ちるのか? 終わるのか? まだいい所なのに

心臓を揺らしながら 情景をなぞって恋焦がれる
電車に揺られながら 変わりゆく景色を眺めてる
懐かしいあれもこれも 全部持っていけるのかな
がらんどうの深層心理は 誰かが推し量れるのか

このラストラウンドで 赫い華が咲き乱れて散る
今宵誰も彼もが 永遠に諸行無常を疎みつづける
切ってもきれない関係性に 嫌気が差してきても
恨み続けるしか為す術がないなら 用は無いんだ

明けても暮れても 同じ日を繰り返すプログラム
嗚呼 昨日今日と代わり映えのない日々に花束を
甘いも酸いも味わってみないと わからないのに
俗世の人間は何処か知ったふりして 曖昧を享受

繰り返す波に揺られるプリズム 重力に翻弄され
なにも色を写さないわりには 色彩を吐きたがる
複雑にハーモニーをなして 不安げに転がってる
単純な心理も忘れ去られ 不満げに撒き散らした

その貧相な心情は 誰にも救えるものではないが
その心意気次第では 存外にどうにでもなるかも

果てるのか? 止まるのか? 正夢と悪夢の間で
朽ちるのか? 終わるのか? 死に花が咲く前に
落ちるのか? 拒むのか? 赫く濡れた手のまま
果てるのか? 止まるのか? 罪と義の境界線で

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つき (3) (Side 真月)

どうやら彼奴…龍樹は俺が入り込んだ事に気付いた様だ。
あ〜あ、もうちょっとだけ気付かれなければ上手く行ったのにな。
小豆を救う事が。
小豆は俺の猫だ。ちゃんと愛していたつもりなのに、つい最近身体の不調が目立つ様になった。
獣医に見せるも、時すでに遅し。
"この子の寿命は…5ヶ月持ったらラッキーだと思ってください。動物は強くありたいが為に自分の体の不調を自分から訴えないから初期発見は難しく、貴方のせいではないです"
嘘だ。
俺が悪い。
俺が…鈍感だから。
俺のせい。
駄目だ…
現実に苛まれながら寝たその日に、俺は不思議な夢を見た。

ねぇ、
あずちゃんだよ。小豆。
ねぇ、私ね、死んじゃうのはしょうがないと思うんだ。
だからね、最期に私の願いを聞いて欲しいな。
あず、好きな子が居るの。
近所の龍樹さんって人の猫で、ゆつきくん。
5年前に散歩してて出逢ったの。
うち、最期にゆつきくんに気持ち伝えてから逝きたい。真月にぃなら会わせてくれるよね?強いもん。

…目覚める。
起き上がると、足腰も弱くなって階段すらも登れない筈の小豆がベッドに上がってきていた。

まさか、ね

でも…

俺は計画を練り始めた。
龍樹の記憶を断片的に失くして行けるなら、ちょっとだけ"ゆづきくん"とやらを借りて来よう。
手始めに俺の龍樹の共通点…龍樹の元彼女と俺の彼女が同一人物なことを利用する。
いわば実験の様なものだ。
そして俺の勤務先が病院である事も。
彼女に仕掛け人を頼めば事故が起きる確率を増やせる。経過観察にも丁度良い。
その他にも、色々と。
俺の特殊能力をありがたいと思ったのもこれが初めてだ。
僅かながら理性は叫んだが、小豆は長く生きられないという事実が俺を駆り立てた。

《お詫び》
つき (2)でタグに『長編小説』いれるの忘れてました。すみません。

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つき (1)

ーねぇ、克紀。
うち、深調よ。
そのひとことが変に彼を狂わせた。
彼は"カツキ"でも、"ミツキ"でもない。
名前は…
「…龍樹…だよな」
彼…もとい龍樹は俯きながら何度も己の名を繰り返した。
確かめる様に。
そして、たかが夢と記憶から削ぎ落とした。
「はよ起きぃな、真月」
知らない声が呼ぶ知らない人の名に、龍樹は反応していた。
半ば本能的なものだった。
「あぁ…」
「もう、デート中に寝るとか最低〜笑
早く次、水族館!」
ああ、俺は真月か。
そして龍樹…もとい真月は面識のない彼女の手を取り歩き出した。
それからは覚えていない。
覚束ぬ足のせいで酷い事故に遭い、意識を失った。


「…あ」
それから12日経ち、龍樹は目覚めた。
そこは見たところ病院の様だ。
彼はだんだんに記憶を手繰り寄せる様に取り戻し、その矛盾に気付いた。

『ま つ き』

誰だ。
龍樹は己に入り込んだ何者かを認識した。
記憶をもう一度しっかり噛み締める。
真月は何回確かめても消えなかった。

「あ、目覚めましたか。」
男が入ってくる。
服装からして看護師だろうか。
「看護師の羽山です。貴方は事故に遭…」
「な、名前は」
声に嫌な既視感を覚えて名を尋ねる。

「羽山…まつき。
真実の真に月…ムーンの月ですが」

こいつだ。


こいつが、

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リクエスト企画をやりたい!

世の中には、百や千の長文にも勝るたった一つの名言があるんじゃないかな、などと思うナニガシさんです。しかし、そんな名言を百や千集めても敵わないほどの名作だって、あっておかしくないかな、などとも思うのです。
単刀直入に言うと、他人様の書いた長編が読みたい!某人外がわちゃわちゃする長編シリーズも、某異能力者がわちゃわちゃする長編シリーズも、いつの間にか自然消滅。何となく物足りなさを感じていた頃に、テトモンよ永遠に!さんが主催した魔法譚。つい先日(つってももう去年の話な気がする)、遂に最後の魔法譚が無事完結し、僕は思ったわけですよ。「また長編書けるような企画を誰かやらないかなー」と。そんなら自分でやってしまおうかと、そういう結論に至ったわけで。
前置きはこのくらいにして、本題に入ります。
今回リクエストするお題は、「長編小説」。最低でも完結に2話以上かかる作品をください。この時、条件として、非現実の要素を作中に入れてほしいです。
ファンタジーでも都市伝説でも、「こんなん現実であり得ないでしょ」な恋愛でも、無駄にトリッキーな手口の殺人事件でも、非現実的なら何でも良いです。
参加してくださる親切で意欲的な方には、この書き込みに対するレスに一言書いてもらった上で作るか、タグに「長編小説」と書いて投稿してください。両方でも構いません。
何か質問があったらどうぞ。
ご協力いただけると、とても嬉しいです。どうぞ皆様、奮ってご参加ください。