才能
なぜだろう。出来ると思っていた。そう思い込んでいた。ダンスを文化祭ですると決めた時は、割とできると思っていた。そう思い込んでいた。実際は、現実はそう甘くなかった。夏休み中にYouTubeでダンスの基礎にでも触れとくかとやってみた。全然出来なかった。この画面の中でやっている人はその道のプロなんだから仕方ない、そう自分を納得させようとしても、心の中には出来ない自分を恥ずかしいと思う自分がいる。きっとこういうのは生まれつきの才能なんだろう。そう思った。僕とダンスはずっと互いに相反する存在なんだ。そもそも体型はデブだからダンス向きの体型なんかじゃない。そういうところも含めて才能なんだろう。今までやったこと無くても、頑張ればできた、それはその人に才能があったからだと思う。結局俺は贋作だ。どれだけ形を再現しようと、どれだけ上手く見せようと、そこに理が無ければ意味はない。偽物が本物に敵わないなんて道理はないけど、僕はその偽物の域にすら達していない。これが絶望というものか……。こんなやつが踊っても、かっこ悪いだけだよな。