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復讐代行 あとがき

復讐代行を読んでくださった皆さん!
本当にありがとうございます!
当初の予定よりも長くなり、更新の空く期間もあり
と散々な形ではありますが
先程の最終話を持って無事に完結しました!
皆さんいかがだったでしょうか?

今作は初め、「宇宙を駆けるよだか」という作品を見てこんな設定の作品を書いてみたいなぁというところから始まりました。
この作品はクラスでブスといじめられる女子と主人公が入れ替わる物語で、ただパクるのもつまらないので、主人公の方を男にしてみました。
ですが
「いじめ」をテーマにするとついつい色々詰め込みたくなるのが悪い癖ですね笑
登場人物それぞれに考えがあるようにして自分の中にある全てを書こうとも思ったのですが長くなるので避けました。なので実はまだ小橋と橘のお話が少し残ってます
もしかしたら来週辺り書くかもしれません。
最終的に書きたかったこととしては
「いじめ」は人を壊してしまう。
それは時に、優しさすら信じられなくなるほどに
でもその優しさを信じることこそが生きる希望
それをどうか自分の中に確かに持っていて欲しい

ちょっと隠しすぎたかな?
あんまりまっすぐだとクサくなっちゃうから
少し遠回しにしたり、素直な言い方をしなかったり
そんな僕の小説…に限らず詩も
これからも楽しんで頂けたら幸いです

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復讐代行 最終回 後編

「うん、そうだね」
俺は…というより身体の主は素直に頷いた。
「え?」
「お…おい…」
「確かにこの身体はあなたが使ってた、ほんとにその全部が罰?私は楽しかったよ?」
「なんで…?なんでそんなこと言うの?」
「だって生きてるんだよ?何度も諦めようとしたこの身体をあなたが生かしてくれた、わがままだけど生きる希望だった。あなたがいるから今の私がいる」
「希望か…」
闇子は涙が溢れた。
「今、この主はあの時の私と同じ過ちを犯そうとしている、だから闇子ちゃん…今度はあなたが変え…」
次第に光の声は小さくなる。
「待って!」
「あとは俺が聞く」
「もういいよ、命を賭けた復讐じゃ意味がないってわかったから…」
少し肩を落とし、ため息気味に言った。
「…ならいいけど…」
「あと、身体もきちんと返す」
そう言って闇子は両腕を広げた。
“そうすればまた話せるよね?”
「え?あ、あぁ」
あっさり返すと言われ、青路は少しリアクションに困りながらも闇子の胸にそっと身体を委ねた。
「ねぇ、最後にひとつ教えてよ…生きる希望って何?」
「希望ってきっと誰かを信じられるってことだ、時にそれは裏切りっていう災いになることもある。でもそれでいい、希望と災いはいつも波みたいに繰り返す。それにどう乗るか、そんな赤ん坊みたいな他力本願を生きる希望って呼ぶんじゃねーの?」
「そうだね…それってもう1人の自分なのかな」
「さぁな…でもそういうのもありなんじゃね?」

fin

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復讐代行 最終回 前編

あの子は…
私を助けて死んだ…
私はその時に入れ替わり方を知った。
それからはこの体の預け先を探す日々だった。
「やっと見つけたんだよ光ちゃん、だからもうすぐ私もそっちに行くね…」
屋上の風が気持ちいい。
同じ場所とは行かなかったけど、高校の屋上、体を預けた場所で私は消える。それで今度こそ儀式は完了する。
「待って!」
“光ちゃん…!!”
でもありえない…彼女のはずがない…
だって今あの体は…!
「なんでここが?」
「お前は最初、ここで俺と体を入れ替えた、そしてもう一度入れ替えろと言うと今すぐは無理だと言った。ここでひとつの仮説が立つ。あの時の体の入れ替わりは…お前の命を賭けたものだったんじゃないのか…」
的を射ていることがバレないようなるべく素知らぬ顔を通す。
「ん?」
「とぼけんなよ、お前は魂を移して体を入れ替える。古くから伝わる物心二元論的考えだ。そしてそれを引き起こすには物体つまり身体から、非物体ここでは魂が分離する必要がある。そこに飛び降りなどの浮遊感はうってつけだ。屋上ならそれに近い感覚を共有できる。どうだ?間違ってないはずだぜ」
完璧で流れるような説明に思わず笑みがこぼれた。
「随分理路整然だね、誰かの入れ知恵?」
「まぁな、でも認めるんだな」
「だってもう死ぬからね」
脅しのようにフェンスに手を掛ける。
「だからそうはさせないって」
“まただ…光ちゃんに見える…”
「俺…何言ってんだ…?」
どういうこと?本人も自覚がない…
まさか…身体の人格…?
「前にも言ったでしょ、全力で思いやるって!」
“やっぱり…でも”
「なんで?」
「身体と魂が同じことを思ってれば…な!」
同じこと…
「今だ!」
その一瞬の逡巡の間に闇子の体は引きずり落とされた。
「なんで邪魔するの!あなたなら…2人ならわかってるでしょ!私は…この命を賭けて…」
「命を賭けて『いじめ』を犯罪として見られるきっかけを作る…ってか?そしてその復讐の相手はいじめを行うやつじゃない、いじめを学校内の揉め事にまとめるカリスマ性を持ったやつだ…この大橋光みたいな」
「そうだよ!こいつらの善意が罪を揉み消すんだ!だからそれを身を持って味合わせる。それがあの時決めた私が下すあなたへの懲役よ!大橋光!」

to be continue

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復讐代行〜第29話 手掛〜

死ぬ気なのはわかったけど
どこでどう死ぬ気なのか…
分からないこの状況がもどかしい。
「何かないのか?」
一瞬抵抗はあったが俺は部屋を漁った。
「何か…早くしないと…あいつは…」
なぜこんなに焦っているのかは分からない。
小学校の卒アル…
そうだ!ここになら何かあいつの過去について分かるものがあるかもしれない!
さすがにいじめの実態までは載ってないだろうけどこの体でなら多少は感じ取れる自信があった。
卒アルのページを捲る手が震える。
そこにあったのは驚きの事実が載っていた。
「嘘だろ…これが喪黒闇子…?」
そこに喪黒闇子として集合写真の隅に載っていたのは見たことのない人物の顔だった。
しかも…既に亡くなったとされている。
急いで見たことのある顔、正しくは今の自分の顔を探すと、その顔には大橋光という名が書かれていた。
「まさか…この時にも…体を入れ替えていたのか…」
恐る恐る、卒アうルに書いてあった喪黒闇子の亡くなった日付でその事件を検索してみた。
《小6女子児童2人飛び降り、いじめが原因か》
そんな見出しの新聞記事が表示される。
「これか…でもなんで2人…?」
そんな疑問も詳細を読んで納得した。
どうやらこの体の本来の主は世に言う優等生。息をあげて屋上に向かう様子を同級生が目撃していたことや、喪黒闇子に関する目撃証言が付近の時間にないことから、喪黒闇子が自殺しようとしたのを止めようとしたが、なにかのはずみで落下してしまったと考えられている。
ここに矛盾はない。むしろ喪黒闇子のイメージとしてもしっくりくるほどだ。
気になるのはその自殺の動機として挙げられているいじめの内容が予想と違っていたこと。
彼女を襲ったのは想像より残酷な…そして理不尽な犯罪だった。

to be continued…