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来年こそ勝つよ

現在執筆中のシリーズ『Trans Far East Travelogue』のアイデアが少々煮詰まって続きが書けないので,気分転換がてら原点回帰をしてみようと思ってYouTubeを開いたところ偶々スポーツ関係の出来事を替え歌や自作の曲で紹介するチャンネルを見つけたので,そのチャンネルに2夜連続で投稿されていた福岡ソフトバンクホークスを歌っていた替え歌動画を参考に,それと同じ原曲で,岡本真夜さんの「TOMORROW」の替え歌で僕という1人のファンの目線から贔屓球団,読売ジャイアンツの勝利を願う応援歌を作りました。
巨人ファンでないと分からないこともあると思いますが,敢えて歌詞の解説は省きました。
以下はその歌詞です。

涙の数だけ強くなれるよ
車で号泣俺のように
セの5チームに怯えないで
その日は来るよ
君の為に

突然勝てないなんて
チームで何があったの
新たな監督就任
成績悪化し悲しい
記録見たら
また勝てていない
抱きしめてる思い出とか
プライドとか
捨てたらまた
パレードできるさ

涙の数だけ強くなれるよ
ノーノー決めた
エースのように
相手の投手に
怯えないで
ボール選んでチャンスメイク

オフでも忘れられない
色んなことがあったね
ネットのおもちゃ扱い
この感じが悔しい
頼りにしてる
だからお願い
決勝点を
叩き込んで
小技も良いよ
皆で勝ち
胴上げ見せてよ

涙の数だけ強くなろうよ
リリーフ強化で見返してやれ
自分をそのまま信じていてね
俺達ファンは君の味方

涙の数だけ強くなれるよ
伝説生まれた
あの日のように
11チームに怯えないで
次こそ勝とう
ファンのために

涙の数だけ強くなろうよ
九連勝した
昔のように
チームをそのまま信じていてね
優勝しようメモリアルに
優勝しよう秋の空に

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Trans Far East Travelogue84

港に戻り船に戻ろうとするとターミナルの中には日英韓の三カ国語で国際線ターミナルの出発口を意味する「국제선 출발/International Departure/国際線出発」と書かれた看板が立っており,いよいよ海外へ行くことを実感させられる。
出国審査を済ませて船に戻ると甲板で待っていた日本支部長(釧路勤務)が「済州は中学の時以来だろ?楽しみか?」と声をかけてくれたので「楽しみですが,この滞在時間では日本や他のアジア諸国の人々に島の魅力を伝えるには時間足りませんよ」と笑って返すと「麗水と順天の滞在時間を代わりに長くしてるし,運転手は手配してある。九州にも留学経験のある人だから標準語も福岡弁にも堪能で奥さんも楽しめるだろうな」と返って来たので念のため担当ドライバーの名前と顔写真が載った書類を見せて貰うと,母方の従兄で思わず「ウェ?(「なんで?」という意味)」と呟くと群山支社に異動になった韓国人の同期が事情を説明してくれたが韓国語に堪能な人は俺以外におらず俺が全部和訳する羽目になり,あまりにも言葉が長いので全て翻訳し終えた後「ネプダミノムマナ。ハングゲソン,ヒョンハンテマッキジャ(『俺の負担が重すぎる。韓国では兄さんに任せよう』という意味で,長幼の序に厳しい儒教思想が伝統的に根強い韓国では学校の先輩は勿論,自分の従兄弟姉妹や結婚相手の兄弟姉妹の結婚相手でも相手が歳上なら『お兄さん』や『お姉さん』と呼ぶ習慣がある)」と冗談めかして話を締めようとすると同期は「タンニョニクレヤジ。ノガトゥンサラメマッキミョン,ウリケウェギワンジョニマンへ(当然そうしないとな。お前みたいな人に任せたら俺達の計画が完全にダメになる)」と真剣に応えるので苦笑いを浮かべ,嫁は「やっぱりウチの旦那さんは自慢の旦那さんやな」と目を輝かせているが「殆ど俺をネタにした笑い話だけど,韓国には『親しき仲には礼儀なし』という諺があるし俺が日本人だからこれくらいはよくあるさ。人によってはもっと口汚く罵倒するから」と笑って返す。
出港の汽笛が鳴り響き,全速力で航海すると玄界灘が光っている。

※韓国語には日本語にない子音の発音の他,単語の音が繋がって文字の表記と発音が異なるという特徴があるので、韓国語は原則口語での発音をカタカナ表記に置き換えて表記しています。

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Trans Far East Travelogue83

嫁が爆睡してるので「まだ飲み足んねえけど、お開きにすっか」と呟いて俺の自腹で会計済ませると仲間達が「俺達で荷物は持つからお前は嫁さん背負いなよ」と言ってくれたので好意に甘えることにして荷物を渡す。
試合の八回から合流した兄貴が「肩に青痣できてるぞ。肩どこかに強打したのか?」と訊いてきたのに気付いて急に酔いが覚めたらしい嫁が「青痣?大丈夫?怪我したん?」と心配そうに訊いてくれるが、本当に心当たりが無いので試しに「その肩の痣の所,耳当てる感じで顔を乗せて体重かけて貰って良い?」と嫁にお願いして顔を乗っけて貰うと見事に痣の大きさが嫁の顔の大きさと一致した。
それを見て俺が頭を抱えて「マジでどれだけ重けりゃ青痣になるんだよ…普通赤く跡ができる程度だろ」と呟いたのを聞いて嫁が「もしかしてウチ,デブやけん嫌われてしもうたと?折角ばり好きな貴方と結婚できて幸せになったばっかりなんに愛想つかれて離婚なんて悲しかとはイヤばい。」と上目遣いで言うので嫁を安心させようと俺も福岡の方言使って「腹かいとらんけん,よう聞いて。俺は君やけんばり好きやし,君やけん結婚したんや。それに,君は俺の嫁やけん体重が重かくらいでは愛想尽かすことは無か。俺が愛想尽かすんは君が俺や東京のこと悪う言う時くらいや。お互い愛し合っとーけんこそ,お互いん心も体も傷付けん事出来ると嬉しかけん,肩を枕にするんやなくて肩にしてや。」と答えると「優しかね。ウチ、貴方が旦那さんでいてくれるお陰でいつも幸せや」と言ってくれたので「こげんイケメンな俺ば好きになってくれたとが世界一笑顔が愛らしゅうて美しか君が嫁やけん,君の笑顔見たかだけや。君の体重,俺の体感じゃ100キロ超えて重かばってん、それも君の魅力や」と笑って返すと嫁が頬を膨らませて「そげん重う無か」と言っているが続けて顔を赤らめて「貴方は文字通りウチの全てば受け入れて魅力だって言うてくれるけんバリ好き。そげな優しか男ん人と結婚したかて思うとっただけに,貴方と結婚できたんな幸せやね。貴方みたいな男は浮気せんけんそれも魅力。」と言って抱き付くので「俺の嫁,めんこいな」と呟くと仲間達は「でも,旦那はみったぐね」と茶化すので「じゃあ,俺達の結婚式呼ばねえぞ?」と冗談めかして返すと皆もつられて笑い出す。
嫁が突然「筥崎宮の方や」と言って指を指す方を見ると空が白み出している。

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Trans Far East Travelogue82

巨人ーホークスの最終戦は巨人の先発,戸郷投手が7回裏までパーフェクトでホークス打線を完全に黙らせる。
一方の巨人打線もホークスの先発・高橋投手が投げるサブマリン特有の浮き上がるストレートにタイミングが合わず1人も出塁できていない。
試合が動いたのは7回の表,変化球による死球を連発してノーアウト一、二塁の場面に頭部死球で危険球退場になった高橋投手に代わって登板した大関選手の直球とツーシーム,スライダーをそれぞれ3人連続でバックスクリーンへ運び、裏には戸郷投手がなおもパーフェクトピッチを続けて8回は両チームとも三者凡退,運命の9回の裏に投手交代で大勢投手が出て来てこちらも三者凡退に抑えて試合終了。
ミュージアムも無事に行けて皆で中洲に行き色々美味い店をハシゴして水炊きをツマミに呑んでる時,「気になってたんだが,試合観てる時ツマミになりそうなもの食ってたのにビール呑まなかったのか?」と兄貴から質問が飛んできた。
「俺,試合観る時の酒は洋酒,それもウォッカ系のヤツ派なんだ。あと,嫁と一緒に飲んで嫁が先に酔っ払って俺に甘えてくるのも好き。そう言えば,昨夜船で飲んだ後は嫁が酔っ払ってはしゃいでデッキから落ちそうになってたっけ」と笑って返すと嫁はツッコむのかと思いきやもう酔っ払って俺の肩を枕に眠っている。
日本で過ごす最後の夜は福岡名物の旨い飯,俺の肩にかかる嫁の髪からほんのりと香るシャンプーの匂いと寝息,そして体感では80キロほどある重さの3点セットと那珂川のせせらぎ,玄界灘の潮風,湾岸地帯の夜景が華を添えてくれたおかげで良くも悪くも五感を通じて体験できている。
明日の今頃は韓国の済州島南方のリゾート地である西帰浦の港から北上した韓国本土の港町,麗水に向けて出航している筈だから今は楽しみたい。

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Trans Far East Travelogue81

鉄道好きである以上地下鉄の路線図は最低限頭の中に入っているとはいえまだ土地勘が無く、また最短経路で行ける路線の駅が分からなくてこの商業施設を突っ切って博多駅の方に抜けようとすると嫁が「目の前のこの川に沿って行くと中洲川端や」と教えてくれたので,嫁に先導して貰いそのルートで進むことにした。
ところが,嫁は気合いを入れてくれたのか実家で着替えてお洒落して来たは良いものの履いていたストッキングが伝線してしまい「ごめん。直さんと」と言って嫁がいきなり足を止めたので,念の為時間を確認すると皆が今いる施設で合流できるどころか,試合開始に間に合うかすらも怪しくなっている。
そこで,一か八かの賭けに出て嫁に全部の荷物を背負って貰って俺が嫁を背負って走ることにした。
阪神の近本選手のようなスピードを火事場の馬鹿力で出して走り続けること3分,俺の肩や足腰が限界を迎えると同時に中洲川端駅の入り口が見えた。
「重すぎてヤバい…『パートナーの体重が重いのはそれだけ深く愛されている証拠だ』って誰かが言ってたし,それだけ俺は愛されてるってことだから,体ぶっ壊れても悪い気はしないな」と呟くと後ろから拳骨が飛んできて次の瞬間,「もう,貴方ったら失礼しちゃう!でも,男の人って好きな女の子にはちょっかい出すんだからこれもその一つってことよね」と言って嫁が笑い,ゆっくりと俺の背中から降りて来た。
なんとか地下鉄には間に合ったが,ミュージアムの営業時間を考えると試合の流れ次第で閉館時間を過ぎかねず、先が読めなくなっている。
すると,仲間達からメッセージが来た。
要約すると「あまりにも展示品が魅力的なのでもう一度見たいが,その前に試合がある。だから,試合が終わったら飲みに行く前に皆でミュージアムが閉まる前に見に行こう」とのことだ。
そんなありがたいお誘いを受けたので,嫁にそのことを告げてとりあえず球場へ向かう。
皆と合流して球場へ入りユニフォームを着て帽子を被り,タオルと応援バットを装備して嫁がオススメする福岡の球場飯を俺の自腹で爆買いして席に戻っ
たところで,スタメンの応援歌を演奏する時に必ず流される,青い稲妻の異名を持ち昭和の巨人の選手象徴の1人でもある松本匡史さんの応援歌の前奏が鳴り響く。
これで舞台は整った。
今,時計が試合開始時刻になった。

球審が一言「プレイボール!」

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あの惨劇から一夜明けた俺の思い

俺,あの屈辱的大敗となった2013年の最後の試合からずっと「今年は勝つ,今年こそは日本一になる」と10年間信じ続けたのに,もうその夢は儚く散っていった。
たとえ監督が変わって不甲斐ない負け試合を連発しても信じて応援し続けてきたのがバカみたいだ…
それも,大切な10代の殆ど始めから終わりまでずっと信じて応援し続けて来たなりの果てがこれ…
イジメられて辛い子供時代を過ごした俺にとって,大好きな鉄道は憧れとか夢、思い出が詰まった車両が次々と消えていった中で鉄道と入れ替わりで希望の光に成り代わったのが地元球団の読売ジャイアンツだった。
だからこそ,この仕打ちは本当に残酷だし,何故か今日のナイターも負けた…
本当に俺の青春返してくれ!
精神面で言うなら,コロナ禍で折角できた友達との交流が少なかったり、学校行事が潰されたことよりもダメージ強かったんだよ!

本当は,今の原監督に辞任して貰いたい位だけど契約の話とか色々複雑な事情もあるから現実的には厳しいだろう。

これからドラフト会議があり,現役ドラフトでも選手の世代交代がある。
その歴史と伝統故に、キャンプでは野球好きならアマチュアでも名前を知っているくらいの有名なOBが視察に来ていて萎縮してしまい巨人では良い成績が出せなくて移籍先で才能が開花する第二,第三の大田泰示のような選手が出るかもしれないけど,俺は巨人を応援したい。

かつてイジメに苦しみ親や先生も対応してくれたけど裏目に出て余計にエスカレートしてしまって苦しみ,自ら命を断つことも検討し,実行する準備もした自分に生きる希望を与えてくれたヒーロー達には返しても返し切れない借りがあるし,地元の東京が大好きな俺にとってはそんな東京に根付く在京球団の一角である巨人軍には馴染みがあり,また10年間も苦楽を共にしたのだから幼馴染に対して抱くような愛着や仲間意識もある。
だからこそ、これからも巨人を応援していきたい。
しかし,図らずも身内から青春を否定される格好になったのだからまだ完全に気持ちの整理がついた訳ではないけど,1人のファンとしての唯一の願いは来年こそCSと日本シリーズで勝って青春を潰されて嘆く若いファンがいるという悲しい事を俺達の代で終わらせて笑い合うことだ。

巨人軍が存在する限り、俺はファンであり続ける

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Trans Far East Travelogue80

地元を離れる前にどうしても行きたいと嫁が言うので急遽キャナルシティでショッピングをすることになり,嫁がウキウキした様子で店から出て来たので「どうだ?良いモノ買えたか?」と声をかけると「勿論。今日買った水着で貴方を虜にしちゃうからね」と嫁が耳打ちして微笑んでいるので「期待してるよ。まぁ,俺も東京で買っておいたユニフォームで君を虜にするけどな」と言って微笑み返すと嫁に向かってまだ高校生位の女の子が「先輩,彼氏できたんですか?」と訊いてきた。
その声に気付いた嫁がお互いを紹介するのだが,彼女は嫁の中学時代の後輩で,話を聞いていると俺がセブにいた頃にコースは違うが俺の最後の1ヶ月に同じ学校に福岡県出身で当時高1の女の子がいたことを思い出し,試しにその子にセブ時代の話を聞いてみると俺が経験したことの多くが一致していて、俺らしき東京出身の男がその子を口説いてセクハラまがいの発言をしていたことも含まれており一通り話を聞いて「それ,俺だな。紛れもなく俺じゃねえか。全部心当たりあるぞ。どこに行っても女の人口説いて相手にパートナーいるって知った日に限って巨人負けたのは嫁と結ばれる為の試練だったのか」と笑うと嫁は「私にとって1番の試練は貴方が若気の至りでウチの知らない所で可愛い後輩ちゃんにやったセクハラの数々を聞かされとる今,この瞬間なんやけど」と言っていてただならぬ気配を感じて2人に土下座すると嫁が笑って「昔口説いた女と今も関係持ってたら怒るけど,持ってないから許すわ」と言ってくれたのだが,時計を見て我に帰って「君にも伝えてたけど,プロ野球ファンなら一度は憧れる巨人のレジェンド王貞治氏の現役時代の功績を紹介する施設が福岡にあって,職場の巨人ファン仲間全員と行くことになってるから待ち合わせの時間の30分前には出ようねと伝えたのに,今からタクシー乗っても間に合わないんだけど。もう集合の5分前だよ?」と伝えると今度は嫁が俺に土下座して来たが「俺は許すけど,俺じゃなくて彼らがどうするか決めることだから」と言って皆に電話をかけると今日の試合のチケット代全員分と試合後に中洲で吞み歩くのでその分の呑み代を俺達2人で全額支払うこと,それから直ちに皆がいる所へ向かうことで妥協して事なきを得た。
なんとか試合のチケットはネットで全員分購入できたが,俺だけ何故かレフトポールの向こう側になってしまった。

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Trans Far East Travelogue79

九州を訪れるのが初めてと言うこともあって位置関係を誤認しており,博多も港町で福岡の中心地から近いのだから,ハンブルクや横浜のように中心駅から歩けると思っていて港から博多駅まで徒歩で行こうと提案したら「地下鉄の中洲川端,百歩譲って天神まで歩くならまだ理解できるけど,博多駅って結構離れとるよ。そがん所まで歩くなんて何考えとるの」と初っ端からツッコまれる羽目になった。
すると暫くして嫁が誰かに電話し始め,それからすぐに行き先が決まった。
最初に目指すのは港から徒歩で行ける距離にある呉服町というエリアで,嫁が予約した「あるもの」を受け取りに行くとのことだ。
そして,現地に着いてその「もの」の正体が一台のレンタカーであったことに気付く。
まず車で向かったのは嫁の実家で,そこで初めて義両親と対面することになった。
幸いにも,義父は俺と同じ東京出身で巨人ファンらしく,プロ野球は観るかと訊かれて自分は巨人ファンだと伝えると,笑顔で昔を懐かしんで現役時代の江川は負け知らずで云々,ONの2人や藤田さんが監督の頃は面白かったが当時主力だった原が監督になってからは今までと打って変わって云々と,とにかく巨人を中心に昭和から平成初期という俺が産まれる前の頃の話を聴かせてもらえたのでかなり充実した時間となった。
そして嫁が好きな町,糸島へ行き海を見て一句詠んだら嫁が「もう時間や。車返さんと」と言うので引き揚げ,義父が勧めてきた場所であり個人的に1番行きたいと思っていた場所へ行くことになった。
元々身長が低くて童顔なのもあって普段は子供っぽくて可愛らしい雰囲気だが,ハンドルを握らせると実はクールな大人の女性になるという嫁のギャップに惚れてしまい,嫁と結ばれたのがどれほど幸せなことか実感することになった.

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Trans Far East Travelogue78

まだ日が昇る少し前,興奮して眠れなかったのか嫁がカーテンを開けて外の景色を眺めている。
その時に入って来た街明かりに起こされる形で俺も目覚め,徐に嫁の隣に座ると嫁が指さしで「あの前に街,見えるでしょ」と言うのでその方向に目を向けると確かに街が見え,しかも高速道路のようなものが海に突き出る様子まで見えている。
今度は俺が一言「これが平安貴族の左遷とか、幕末の西洋列強の軍艦からの砲撃と言った歴史の悲劇の舞台,関門海峡か…俺も都落ちしたのか」と自嘲気味に呟くと何かを察したのか嫁は苦笑いだ。
それから暫くすると船内放送が流れ,博多にはあと1時間ほどで到着すること、出港時間は予定より遅れて明日の朝8時,その次の港は韓国の為出国審査の関係上その1時間前には港に戻るようにといったアナウンスがあった。
その放送が流れ終わるまでに嫁は着替えて荷物を持ち,俺を促してデッキに向かって駆け出すので俺も後を追い、俺が甲板に着くと同時に空が白金になり始め,博多湾の入り口に当たる志賀島・海の中道が黄金色に照らされているのを見た嫁はハッキリと「ただいま」と呟き,俺が「長旅お疲れ様。漸くそっちも帰郷したんだよな」と声をかけると嫁が笑顔で「今度はウチがリードするけん,信じてついて来てや」と言うので「分かった。ど真ん中ストレートで行くからな」と言って俺も笑い,揃って手を繋いで下船した。
ここからは嫁が考案した秘密のルートに沿うことになる。