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エンドロールを告げる言葉 1

「....はぁ」
私の身長より何倍も大きな門を、今まで何回くぐったのだろう。
あの日、重かった足は、今でも重いままだ。
....こうやって足掻いても、どうにもならないんだ。
私はそう覚悟して、ゆっくりと下駄箱へ歩き出した。


風で飛ばされた桜の花びらが、自慢のストレートヘアー
にかかる。
……邪魔だな、桜なんて。
桜なんて、私の首を絞める紐だ。
それをはらって、私は靴を履き替えた。

階段を上って、廊下を歩く。
そこには、いつも通りの景色が広がっていた。
通り過ぎる教室の扉から、たまに生徒が出てくる。
生徒たちは私をまじまじと見つめて、小さく黄色い歓声をあげた。
……はぁ。面倒くさい。
いつも通り教室に入って、いつも通り黙って席に着く。
私の席は、一年中サボり席。
3年生になってから、一度も変わらなかった。
教室の景色は、いつも通り虹色。
涙ぐむ人、「もう最後だし!」と馬鹿みたいに笑い合う人、卒アルを交換して、熱心に寄せ書きを書く人。
私は、その中の何色にも染まらない、通称「一匹狼」。
つまらなくなって、私は窓の外に目をやった。


目の前には、この学校一大きな、桜の木がある。
枝には沢山の花が咲いていて、もうじきにすずめがやってきそうだ。
……この木を見ていると、貴方を思い出すよ。
ふと、一人の笑顔が、脳裏をよぎった。
爽やかな笑顔。綺麗な二重。天使の輪ができた髪。
貴方は、いつも真っ先に私に話しかけてくれたよね。
女子の黄色い悲鳴を、堂々と無視して、いつも。
だから、あの日、この席で「好きだよ」と私に告げてけれたことが、何よりも嬉しかったこと。貴方は知らないでしょう?
ぽたり、ぽたりと零れていく、大粒の雫(なみだ)。
どんどんと落ちては、窓際に置いてあった、透明のキューブに染み込んでゆく。
中では、貴方がくれた桜の花びらが、いつまでも輝いている。
私はキューブを手に取って、胸の前で握りしめた。
……貴方の声が、聞こえる。

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はるかぜと共に現れた旅人と過ごすのんびり生活 EP.2

あれからどれぐらい経っただろう。気がついた時にはすっかり暗くなっていた。
「ぽ、ぽよ…」(???)
アイツの声も聞こえる。どうやら2人とも気を失っていたようだ。
大丈夫かと声をかけようとしたが、その口から出てきた言葉は…
「ぽよぽよ!?」(僕)
アイツの声だった。
「ぽよ?ぽよぽよ!」(???)
しかも、アイツが話している方を見ると…なぜか僕の姿があった。
あー…これはこれで大変なことになったと直感が言っている。つまり、さっきの衝撃で体が入れ替わってしまっているのだ。
「ぽよ…ぽよぽよ?」(???)
ただ、同じ言語だからか、会話は成立している。そこで互いを知るためにしばらく話し合った。
初めに自分から話した。自分の名前、なぜここにいたのか、流れ星のようなものを見ていたらぶつかったことなど…
僕が色々話し終わると、今度はアイツから話してくれた。その結果、それなりに情報が得られた。
名前は「カービィ」。もちろん外観もおなじみのピンク玉だった。
なぜここにいるかというと、カービィ自体分かっていないらしい。プププランドをワープスターで散歩中の時に、いきなり次元の裂け目が出てきて、ここに飛ばされたのだという。
得られた情報はこれくらいだ。まあまあめんどくさくなりそうだな…
今ここで色々していても話が進まなくなりそうな気がしてきた。
「ぽよぽよ、ぽよぽよぽよ?」(僕)
「ぽよ、ぽよぽよ!」(カービィ)
家に帰ることを提案した所、すんなり受け入れてくれた。
こうして僕は、なぜか抱えられながら家に帰った。

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Trans Far-East Travelogue㊲

「もうこんな時間だと?」そう呟き焦って風呂から上がるも2人とも長風呂してタイムリミットに間に合わずにバスを逃すという失態を犯してしまった
「どうしよう…この次のバスまでかなり時間あるよ」と嫁が心配そうに言うのに反応して「今,何分だ?俺、この先の坂を下りた先の集落のバス停から駅に戻れること知ってるから、時間が合えばそっち使おう」と声をかけると「今,45分ね」と返ってきたので「風呂上がりに汗かきたくないけど,仕方ない。走るぞ。10分以内にバス来るけど,坂が長いんだ」と返すと「分かった」と返ってきた
野球のベーランの要領で坂道を駆け下り、見えてきた集落のバス停に着くと俺の予想通りに三崎口行きのバスが来た
「これで引き揚げれば大丈夫さ。この先は三崎口の駅で考えようか」と声をかけると「何か鳴ってるよ」と嫁が一言言うので自分のスマホを手に取る
画面を見て思わず「え?兄貴,やってくれたな」と呟くと「どうかしたの?」と嫁が訊くので「新幹線,のぞみに乗りやがった。今さっき熱海通過だから、新横浜まで20分弱で着く。俺が待たせる格好になるな」と返すと「新横浜から弘明寺って近いの?」と返ってきたので「あの兄貴のことだから、1番早い地下鉄の優等で上大岡に出て京急で一駅だろう。それだと20分もあれば上大岡に行ける。今から15分だと俺たち,まだ久里浜線内だべ?そこから20分で上大岡までは行けないよ」と言って頭を抱えると「大丈夫。ほら、駅が見えたし時刻表だと2分で特急出るから、それ乗ろ?」と嫁が言ってくれたおかげでパッと動けて無事特急に乗れた
それも、コンセント付きの新型車両だ
「ボックス空いてて良かったな」と言って嫁に語りかけるが嫁はスマホを見つめて「ブルーラインは…信号トラブル?」と呟いている
「となると、兄貴は横浜線乗らないとな…ギリギリかなぁ」と俺も呟くと「上大岡でエアポート急行に接続するってさ」と嫁が言うので「助かるよ。そっちは川崎で乗り換えたら一駅さ。お互いの幸運を祈る」と返す
間も無く、俺達を乗せた特急は堀之内に着き、通過駅のある区間に突入する
一方、時刻表通りなら兄貴は横浜線を待っている筈
果たして、待ち合わせ場所の弘明寺に着くのはどちらになるのか