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シラー

「誰かが隣にいる」
そんな未来が良かったな
スタート地点は多分私だけ遠くて
誰も隣に居ない
居たとしても寄り添ってはいなくて
ゴール地点までは多分地球1周くらいあるんだろう

知らないあの子が楽しそうに笑ってる
私は一人 睨んでしまいそうで
でもそんなこと私はしたくないから
一人で立ちすくんでしまう

今頃みんなで連絡を取って
楽しそうに笑ってるんだろうな
私はその輪の中には居なくて
次あの子達と会っても誰とも話せないんだろうな

誰かと仲良くなって
分かり合ってバンドを組んで
そんな未来を思い描いていたのにな
誰も隣に居ない
居たとしても分かり合えてはいなくて
思い描いている人は一体どこにいるんだろう

知ってるあの子も楽しそうに笑ってる
その目に私は映っていない
「寂しいよ」「一緒に居てよ」なんて
言ってしまえたらいいのにな

今頃私と連絡を取ろうなんて
考えもせず笑ってるんだろうな
あの子達とはいくら待っても
私が送らないとメールも何も来ないんだろうな

今頃みんなで知らない話題で
楽しそうに笑ってるんだろうな
私の事なんてほぼ知られてなくて
次あの子達と会っても話せないんだろう

今頃私と話してみたかったなんて
言ってる人は居ないんだろうな
あの子達とはいくら待っても
話すことなんてできないんだろうな

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廻るは因果、故に舞い散る桜の刃 十一

「とりあえず大人しくしてて。話は放課後ゆっくり聴くから。」
「はい...。」

あれだけ騒いだ割にあっさり撃沈する葉月。
あくまでも桜音の指示には従うつもりの様だ。

桜音は教室に入ってからも、
気が気でない、という様子だった。

「今日から転校生が来るからな、仲良くする様に!」

担任の言葉に沸き立つクラス。

(今すぐ帰りたい!!!)

あの少女に今日一日付き纏われたとあれば、
注目されるのは確実だ。
目立つ事。
それだけは避けたかった。
「目立つ」それは、今まで桜音が最も忌避してきたものである。
しかし、

「初めまして、成斗市立第3中学校から来ました、
秋山葉月です。宜しくお願いします。」

思わず口が開く程あっさりとした挨拶だった。
口調も、先刻の武士の様な堅い口調から一転、
何処にでも居るであろう「普通の中学生」そのものだった。

「席は...狐灯(ことう)の隣りだな、分からない事あったら聞けよー。」
(隣り⁉︎)

おそらく、側から見てもわかる程驚いた顔をしたのだろう。
担任は苦笑し、
そこしか空いてないからな、と付け加えた。
そこしか空いてない、と言うよりかはそもそも隣りの席など無かった。
桜音の席だけ、長方形に小さな正方形をくっつけた場所の様に孤立していたのだ。

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Metallevma:水晶玉は流星を見通す その⑩

「……! もう1人……!」
攻撃の実行者を確認しようと振り向こうとするローズだったが、それも叶わず刃に触れた腹からローズの肉体は爆ぜ飛んだ。
「…………⁉」
辛うじて残った胸より上が地面に転がり、ローズの目に敵の正体が映る。
蹄が生え、地面に力強く踏ん張る四肢、背中側がより強固に武装された重厚なプレート・メイル、何より、額から生える湾曲した刀身。
(リノセラス……? ……いや、これは……!)
ローズの目が見開かれる。一見、犀のようであったその生き物は、武装によって猛獣に似た姿を得たメタルヴマであった。
「ふむ……我が異能で殺してやりたかったが……まあよくやった、“隕鉄刀”」
”天鉄刀”から『隕鉄刀』と呼ばれた犀のようなそのメタルヴマは唸り声をあげ、ローズの頭を蹄を模した長籠手で踏みつけた。そのまま踏み砕こうと力を入れたその時。
「貴様アァッ! ローズちゃんに、何をしているッ!」
ルチルの怒号と共に叩きつけられた最大威力の水晶柱によって、“隕鉄刀”は轢き飛ばされた。
「ルチル……“流星刀”は……?」
「追い払った。アメシストは動けなくなってる。もう喋らなくて良い、すぐ逃がしてあげるから待ってて」
「うん……“天鉄刀”と“隕鉄刀”だ。ルチルでも勝てるか怪しい。……気を付けて」
消え入りそうな声でルチルに伝え、ローズはそのまま気を失った。