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あたりまえ

雪のちらついてたあの日
僕は君に恋をしたんだ きっと
いつの日か消えてしまうのに
僕は君に恋をしたんだ

でも、そんなのあたりまえ。
そんなことを思うと、なぜか
気が、楽になった。

残酷でも無慈悲でもなく、
あたりまえに時は過ぎる。
きっと僕が君に恋をするのも、あたりまえだと思った

朝になったら起きるように
夜になったら寝るように
赤信号で止まるように
生きるの対義語が死ぬのように
ギターの弦が6弦のように
そんなふうに、あたりまえのように
僕は君に恋をしたんだ

今日も朝日が昇ってる
僕は君に会いに行くかのように
学校へ行くんだ、きっと。
いつか僕らは別れるのに
僕は君に会いに行くんだ

でも、そんなのあたりまえ。
そんなことを思うと
逆に心のここんとこが
苦しくなった

今日もあたりまえに何かが消える
悲しいねと君が言う
そうだねと僕は嘘をついた

1日が24時間のように
地球が太陽系のように
3ヶ月をワンクールと言うように
硫化水素が危険なように
トランペットのピストンが3つのように
そんな風に、あたりまえのように
僕は君に会いに行くんだ

そんなことは馬鹿げてるかもしれないけど
これが僕のあたりまえ
ほら、君には君のあたりまえがそこにあるよ
自分の心に…

最後の学年で修学旅行があるように
シートベルトをつけるように
オリンピックの年がうるう年のように
1+1が2のように
ティンパニは音程を変えられるように
そんな風に、あたりまえのように
僕は君を、好きになったんだ
君のあたりまえが僕のと同じならいいな

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オオカミくんはピアニスト

散らばったピックを
適当に選び、
革のストラップを
肩にかける
薄暗い部屋の中で
響くベースの音
アンプリファーは消して
生音で遊ぶ

ざわめく街並み
横目で流して
電気をつけないまま
夕方のチャイム


笑えない日々に少し
アクセント加えるなら
僕は自由なベーシスト
誰も知らないな。


ボロボロのピックを
ピックガードに差し込み
革のストラップを
また肩にかける
夜は曲を作る
薄いカーテンの中
独り歌詞を書く
鼻歌のメロディ

静けさを食べる
巡回車のサイレン
電気もつけないまま
月だけは僕を照らす


笑えない日々に少し
アクセント加えるなら
僕は孤独なベーシスト
誰も知らないな。


オオカミくんはピアニスト
誰もが恐れるけど
美しいメロディの持ち主
僕はオオカミくん

オオカミくんはピアニスト
誰かのために弾くけど
僕は私欲を肥やすため
今日もベースを弾く

オオカミくんはピアニスト
みんなが恐れているけど

オオカミくんはピアニスト
手紙はいつまでも捨てない

僕はオオカミくんで
僕のためにベースを弾く
過去の僕からの
手紙はいつまでも捨てない


散らばったピックを
適当に選び、
革のストラップを
肩にかける
薄暗い部屋の中で
響くベースの音
アンプリファーは消して
生音で遊ぶ