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届いてほしい、この思い。

家族を失って分かった
この世界は案外もろいこと
常識なんてすぐにひっくり返ること
当たり前の毎日はないこと
私達の命は、奇跡だということ

家族を失って気づいた
あの人は愛しい人だったこと
憎まれ口の裏に愛情があったこと
私も本心では、あの人のことが大好きだったこと
言葉にしないだけだったこと

家族を失って実感した
人の支え合う姿は素敵だということ
全うした命は美しいこと
青い空はたまに皮肉だということ
本当に悲しいとき、涙は出ないこと

家族を失って伝えたくなった
家族を大切にして欲しいということ
言葉に出して伝えて欲しいということ
目の前で失われていく命は呆気ないということ
生きるのは難しいということ

だけど、全うした命は美しいということ


私は3月に祖母を亡くしました
3年の闘病生活の末でした
半年経った今でも、
時々悲しみが押し寄せて来ます

なぜ祖母が 病気と闘わなければならないのか
なぜ祖母に 私は何も出来ないのか
小学生の頭で考えて眠れない夜もありました

あなたにとって、大切な人は誰ですか
大切な人に言葉で伝えられていますか

「ありがとう」も素直に言えない
そんな世代の人もいると思います

現に自分もそうでした
祖母の優しさとは分かっていながら
口を開くと憎まれ口しか叩けない

いつか正直になろう
でもその「いつか」 はやって来ませんでした

後悔しても 反省しても
祖母は もう帰って来ません
だからこそ 私のような思いを
この掲示板の人には してもらいたくないのです


どうかお願いです
大切な人こそ素直になれないものですが
どうか言葉で伝えて下さい

大切な人はあなたのことを思って
言葉をかけてくれています
嫌味に聞こえてもそれは優しさです

あなたも大切な人も悪くありません
悪くないのです
どうか責めないで下さい

いつ大切な人と別れるかは分かりません
だからこそ今を大切にしましょう

多くの人とその大切な人が
幸せに暮らせますように

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霧の魔法譚 #10 3/3

大賢者が杖を振り終える。いつの間にか足元に展開されていた魔法陣は車の床面積を大きくはみ出し、描き出された複雑な幾何学模様は見惚れるほどに美しく複雑に絡まりあい、形づくる光の線は脈動を高鳴らせていた。
「知性化したファントムが軍を成す、それはいままでのどんな大攻勢よりも凄惨な結果をもたらすだろう。ゆえに我々は奴等を排除するために来た。幸い奴等は未だ目覚めていない。まだその期ではないと判断しているのか、それとも起動までに時間がかかるのか……理由は定かではないが、今こそ奴等を叩く絶好の機」
出来上がった魔法陣を一通り眺め一つ頷くと、大賢者は最後に新たな魔法陣を生成し始めた。それは先ほどまで作っていた巨大な魔法陣とは比べ物にならないほど小さいが、装飾は相変わらず息を呑むほどに美しい。
「しかしまずその前に、秘匿された舞台の幕を取り払い、敵を君たちの目に晒すとしよう」
小さな魔法陣は大賢者の手元を離れ、ゆっくりと地面に落ちてゆく。大きな魔法陣には初めから一部小さな真円が空いていたが、小さな魔法陣はそこに吸い込まれるように落ち、やがて最初からそこに存在していたかのようにぴったりと大きな魔法陣の一部に取り込まれた。
かちり、と鍵が解錠される音が静かに響く。

――魔法陣が光を増すのと同時に、変化は劇的だった。

***
お久しぶりです。#10更新です。今回は三つに分かれました。
スタンプ等ありがとうございます。当初の予定からだいぶ延びていますがゆっくりと完成まで向かってますので、もう少しお付き合いをば。

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あの夢をなぞって

僕は夢の中で出会った誰も知らない少女と恋をした
「待ってるからね」
少女はまるで花火のようだった

8月の朝夢に見た、今日から10日後の未来に行われる花火大会で僕は君と出会った
ただの夢 生まれてこの方彼女無しの僕が見た彼女と花火大会で、なんて悲しい夢だと思えばよかったのに 僕は彼女を探そうとした夢の中の人を
顔も名前も知らない夢の中の人を探そうだなんて僕はどうかしている
だけど探さなければいけないと思った 友達に笑われながら家族に呆れられながら
君と出会ったあの日から出会うはずの10日後まで毎日君を探し続けた
彼女は待ってると言っていた気がしていたから
・・・
結局当日まで君の事は何一つ分からなかった
有り得ないくらいのこの人混みからたった1人を探すなんて不可能だと普段の僕なら諦めていただろうでも何故か今日の僕は諦めが悪かったどうしようもなく 人混みに抗い進んで行く何処へか分からないただ彼女がいる気がした方向へ この先に君が立っている気がした
空に花が咲く大きな音を立てながら街の喧騒をかき消すようにように音という音を光が包み込んで行くそんな空の花の下に君は立っていたんだ
「やっと、会えた」
お互いがお互いを求め合い僕達の未来は重なった
別々の道を歩いていた僕達はあの日夢の中で重なった、ただ1回 一瞬の運命が僕をここへ君をここへ連れて来てくれた
僕達は2人揃って泣いていた出来る事ならこの涙はずっと流していたかった
君と同じ時間に存在した証のような気がしたから
空は明るく光り輝く音と共に無数の花が咲いては散ってゆく この世界のあらゆる音を光と共に連れ去って
光に願った僕達2人も一緒に連れ去って
連れ出して欲しかった
それがダメなら、せめてどうか終わらないで
そんな僕の願いは連続する無数の音に消されていく、そして音のない世界が広がった
君と僕の未来はまたお互いの道へと戻って行く
僕はきっと忘れない
2人で見上げた様々に輝く空を
空に咲く光に照らされた君の横顔を

大丈夫想いはきっと大丈夫伝わる

こうしてまた出会えた君へ

「好きだよ」

君は花火のように散った

....

from YOASOBI/あの夢をなぞって

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小さな一人のお話。

(何だかんだ言いつつ、続けています。スタンプ押して下さって、ありがとうございます。)

彼の保育園にも、恋する女の子達が存在しました
毎日毎日、誰が格好いい、あの子は優しいと、
保育園児なりに話していました

彼は保育園の女の子達と話す機会もなく、
話そうとも思っていませんでした

そんなある日
「あのこ、かっこいいよねぇ」
一人の女の子が彼の方を見て言いました

他の女の子達は彼の方を見て
「あのこ、いつも ひとりだし、なにを かんがえて いるのか わからないよ」
「でも、たしかに、かっこいいかも」
「プリキュアの おうじさま みたい」
口々にそう言いました

女の子達は、教室の隅にいる不思議な男の子に
声をかけることにしました

「こんにちは なにを して いるの」

彼はいきなり声をかけられて、驚きました
何とか返事を言おうとしますが、何て言えば良いのかが分かりませんでした

絞り出した一言
「こ、こんにちは」

緊張して困って、顔が真っ赤な彼を、
女の子達は可愛いと思ったのか、
満足そうに帰って行きました


実は、彼が真っ赤になった理由は、
もう一つありました

彼の初恋の相手がいたのです

何も喋らず、女の子達の後ろで微笑む、
おっとりとした彼女

友達を作らない彼には、初恋の相手がいました

彼の心の成長の証

初恋の相手については、また今度

小さな一人のお話。