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体育

 小学生の時、「好きな教科は?」と聞かれたときに「体育」と答える子が多かった印象がある。しかし私は、体育の時間を好きになったことはない。
 理由は単純だ。運動が苦手だからである。
 50m走で10秒をきったことがないし、ドッジボールで投げた球は必ずキャッチされてしまう。いや、そもそもドッジボールで球を投げた記憶がほとんどない。私にはボールすら回ってこない。

 なぜこんなにも運動が苦手なのかと考えてみる。すると、幼少の頃の自分が原因なのではないかという結論に至る。
 幼少の頃の私は、とにかく人見知りで、“友達と外で遊ぶ”ということをほとんどしなかった。そのまま、体を動かす習慣が身につかないまま成長した結果、体育の成績がいつも3の人になってしまった。

 運動が苦手で一番困ったことは、「一生懸命やっても伝わらない」ことだ。
 私自身は手を抜いているつもりなどさらさらない。でもできない。団体戦のスポーツでは、同級生から疎まれ、笑われる。自分がどれほど不格好であるか自覚しているから、授業中はずっと、公開処刑の時間だ。
 あまつさえ、体育の先生は、当たり前のように運動ができる人たちだから、できない人のことなんて理解してくれず、一生懸命やっても成績は上がらない。

 あぁ、運動が苦手な人用の体育があったらなぁ。

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