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日々鍛錬守護者倶楽部 その②

両手持ちのスタッフを構えて近付いてくるサホに対し、タツタは魔法で生成した2本の半透明な青白い腕を飛ばして応戦する。向かってくる2本の腕をスタッフを横薙ぎに一撃で消し飛ばし、勢いを落とすことなく更に突き進む。
タツタはその足下に腕を伸ばし、足を取ろうと試みたが、それは跳躍によって回避され、サホはそのままスタッフを振り上げ、勢い良く振り下ろした。
宝石で装飾されたスタッフの先端がタツタの脳天に直撃する寸前、背後から伸びてきた1対の腕が彼女の首と腰を捉え、後方に引き寄せることで回避させる。
「やっぱり強いなぁ、タツタちゃん」
「私としてはあんたの方が恐ろしいけどね」
「それじゃぁ」
「まだ時間はあることだし」
「「ギアを上げるか」」
タツタは、6対12本の『腕』を生成し、同時多角的にサホに差し向ける。
対するサホはその場でスタッフを横薙ぎに振るう。先端に飾られた宝石の軌跡は炎のエフェクトとしてその場に残り、彼女はそれを掴み新たな武器として『腕』たちを迎撃し始めた。
元々持っていたスタッフと炎の鞭による二刀流で、『腕』は次々と打ち据えられ、消し飛んでいく。タツタも絶え間なく腕を生成し続け、サホの動きを防御に専念させ続ける。
(まだだ…………もっと集中させろ……処理が追い付かなくなるまで、腕を増やしてやる!)
生成される『腕』の本数が、更に倍になる。サホはスタッフの軌道に炎のエフェクトを生成し、それらを壁として防御を続ける。
(…………今!)
「〈Pass Through〉」
足下から地面の下を通して伸ばした2本の『腕』が、地下から透過してサホの両脚を掴む。
「うげぇっ」
『腕』はそのまま彼女の足を引き、仰向けに引き倒した。その身体の上に、タツタが腰を下ろし、無表情でサホの顔を見つめる。
「…………」
「…………私の勝ち」
ニタリと笑い、タツタは魔法の『腕』で音楽の再生を止めた。
「ぬぁー負けたぁー」

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日々鍛錬守護者倶楽部 その①

放課後、学校敷地内の中庭にて、2人の少女が対面していた。
「んじゃ、いつも通りで良いね?」
黒髪の少女、サホが尋ねる。
「オーケイ。じゃ、今日のトラックは……」
ブロンドヘアの少女、タツタがスマートフォンを操作しながら答える。しばらく操作した後、画面をタップするとエレキギターの音が周囲に鳴り響いた。
「うおでっか……音量これで良い?」
「だいじょぶ聞こえるー」
「あいあい。それじゃぁ……」
スマートフォンを壁際に置いてから、再び元の位置に戻る。
「「変身」」
掛け声と同時に、2人の全身を光が包む。
タツタはその服装がノースリーブの白いワンピースに替わり、長髪は艶やかな黒いものに変化する。
「【黒紋章】」
サホの服装は、パステル・ピンクと白を基調とし、リボンで華美に装飾されたロリータ調のものに替わり、髪型は薄黄色のツインテールに変化する。
「【妖精騎士】」
「じゃ、曲が終わる前に当たった方がジュース奢るってことで」
「うん。私パインサイダーね」
「じゃあ私はエナドリ」
「あっ高いの選ぶのズルい!」
「冗談冗談。それじゃ……」
タツタの『魔法』によって生成された半透明の手が、スマートフォンの画面をタップする。音楽の再生が始まったのと同時に、サホは駆け出した。

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マホウショウジョ・リアリティショック キャラクター

・福居路香(フクイ・ミチカ)
性別:女  年齢:まだ12歳  身長:144㎝
中学校に進学したばかりの少女。誕生日は2学期中盤。
部活動は決めていないが、何となく音楽部に入ろうと思っている。良い感じの管楽器をやってみたいが自分と周囲の適性的にドラムセットを叩く未来が確定している。
友人も多く、多趣味で、勉強も決して際立って得意では無いながらも毎日努力してそこそこの成績を維持している、ばちぼこのリア充。
家族や周囲からは愛され適切に褒められて育ってきたので自己肯定感も自己効力感もMAXで、自分の人生を滅茶苦茶価値が高いものとして認識している。子供なんてそれくらいで良いんだよ。

・使い魔
女子中高生を狙って魔法少女にさせようとしてくる謎の生き物。外見は四足歩行の哺乳類をモチーフにしたと思われるぬいぐるみのよう。全高約15㎝。ちっちゃい。色々と適当な甘言を述べて言いくるめまくり、これまでに数十人ほど戦いの道に引きずり込んだ実績がある。その大義はただ、化け物達から世界の平和を守るという一点にのみある。我が行いに一点の曇りなし。全てが正義だ。ちなみに歴代魔法少女たちは4割ほどが無事に成人し、1割が存命かつ未成年です。
ミチカちゃんにプレゼントした髪飾りは、本物の宝石とプラチナが使われている地味にすごいやつ。ミチカちゃんはよくある子供向けの安価な作り物だと思ってる。

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暴精造物茶会 Act 22

「確かピスケスさん所の…」
クロミスが怯えたような顔で言うので、露夏はできるだけフレンドリーに笑いかける。
「あー、まぁおれはピスケスの“狗“って所だね、うん」
きーちゃんがいつもお世話になってまーすと露夏は小さく手を振る。
クロミスはひぇっと震え上がった。
「露夏ちゃん」
とにかくあの子たちを連れてここから逃げよう、とかすみが露夏に話しかける。
露夏はあ、そうだなと答えると、じゃかすみ後は頼んだと怪物の方へ向かった。
「え、ちょっと⁇」
かすみはおろおろしたが、そのことを気にせず露夏は歩いていく。
やがて怪物の目の前で魔力障壁を張っていた青髪のコドモの隣に露夏はやって来た。
「いや〜すごいことになったなぁ〜」
露夏がそう言ってキャップ帽のつばをちょっと上げると、随分のん気ねと青髪のコドモことピスケスは隣の人工精霊に目を向ける。
「うっかりしてたら何も知らない一般人に見られてしまうわ」
ピスケスがそう言うと、そうだなと上空から声が飛んできた。
2人が見上げるとナツィがふわりと舞い降りてきていた。
「今は一般人があまりいない時間帯だからいいが」
昼間だったら大惨事だとナツィは芝生に着地する。
「…ま、とにかくコイツを片付けちゃおうぜ」
コイツ、侵入者と認識した奴を倒さない限り大人しくならないんだろ?と露夏は両腕を後頭部に回す。