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読書

本に心を掴まれた9月
さやさやと囁く木の葉涼しさがすべてを包み込む

この世界にもこんな落ち着ける場所があった
今まで急ぎすぎて気づかなかった世界は…





誰にも邪魔されない純白のきれいな世界だった

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死体発見現場

ここは天井と壁だけの世界

雨の音は
どうやら朝まで止まない模様

聞こえてくるよ
水溜まりを走る車

僕は床にひっつてしまったんだ

ああ、地球が重い

いつの間にか夜がやって来て
電気のスイッチは遥か彼方

カーテンの隙間から差し込む車の光が
何度も天井を滑るんだ

僕はずっと眺めてた

さっきまで考えていたことも
思い出せない

だけどその事はもうどうでもいいんだ

君に会いたい

偶然のように

君も何処かへ消えてしまうんだろう?

何もしない僕、焦りだけが追いかけてくる

ただ息をするだけの僕は死体

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乾燥

こんなにも
目が乾くのは
ただの乾燥じゃなくて
涙が枯れたってことなのかな

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目を瞑ると
金木犀の香り
心地良い風
目を開けてみると
黄金色の世界が広がった
きらきらと光を受けて輝く蜻蛉の羽が
とても綺麗で
あと何回この景色を見れるだろう
数えてみたら意外と少なかったり…ね

2

LOST MEMORIES CⅧⅩⅠ

何故そこを最初にしたのかと問いたい。
瑛瑠の中では、あとになって煩く言われたくないと真っ先に思い付いたものが口をついて出てしまっただけなので深い意味はこれっぽっちもなく、むしろ共有者だという報告のつもりだったのだが。
「デートですか?」
張り付いた笑顔で問われる周りの空気は氷点下。何やら不穏なこの空気とは。
「いいえ。お話をしに。」
しかし、特に探りを入れるわけでもなく小さくため息をついたチャールズは、そうですかと一言。
「何か問題でも?」
このときチャールズが丁寧に問題を文字に起こして突き付けたいと思って留まったことを瑛瑠は知らない。
イニシエーションに関して、瑛瑠に全権を委任したことは、記憶に新しいのだ。
「いえ、お嬢さまは罪作りな方だと思っただけです。」
珍しくもチャールズはカップの上で温めていたワッフルに口をつける。苦い気持ちは甘さで相殺してしまおうというわけだ。
案の定。
「チャールズが何か食べるなんて、珍しいこともあるのね。」
エネルギーを必要としない超生物か何かを見るようにして、瑛瑠も手を伸ばす。訳もわからず罪作りなどと言ったお返しだ。

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悲笑

踊る 飛ぶ 回す
カッコつけな君が
あんなにも輝いていた
不意に飛んできた幸せは
きっとみんなへのおすそ分け
その目はあの子に向いていた
もう良いはずなのに
みんなの内の一人の私

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金木犀の香りも好きだけど、貴方の香りの方が好き。なんてね。

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好き

英語だったらLikeとかLove,Prefer,Favoriteとかいろいろ在るのに、
日本語だとなんで好き、だけなのかな。
それだけじゃ伝えられない言葉があるのに…

1

乙女的即興詩。

とうめいに近づく冷えた空気に
溜息を溶かして呟くの

綺麗な月を見ても
隣に君がいなきゃ淋しくて

街で似た香りがすると
つい探してしまう

馬鹿だなって、そう言って笑って

スクロールしてなぞる会話の跡を眺めては
狭くなる心臓に気付いているの

好きよ、

駆け引きなんかもうやめて
その裾を引っ張って振り向かせるの

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ぐちゃぐちゃ

好き?
嫌い?
解かんないよ
ムシャクシャしてぐちゃぐちゃして
良くも悪くも貴方のことが気になって仕方がない
好き?
嫌い?
貴方のなかに私がいるならどっちでもいいかも

黒と赤と緑と黄が
混じったパレットをひっくり返したみたいに
心の中がぐちゃぐちゃ
貴方はこの色、どう思うかな

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帰り道で出会ったあったかいもの

寒いねって繋いだ手

抱きしめた肌の温もり

君の言葉

離れたくないって流れてしまった涙を
拭いてくれた大きい手。

本当に温かくて。

「ごめんね」と「ありがとう」しか
言えなかったけれど。

言いたいことは

言い忘れちゃったことは

このあと言いたくなったことは

また今度会ったときに言えるように

大事に取っておこうと思うよ。

遅くまでありがとう

笑顔をくれてありがとう

あったかい時間をありがとう

やっぱり僕が流してしまった涙は
幻ってことにできないかな?笑

でもね。

僕はもう大丈夫。

元気満タン

走り出すしかないよ。

今日貰った元気を燃料に

3週間なんて3日くらいのスピードで

駆け抜けるから。

その先で待っててね。

もし、しんどくなったときは

僕も君もちょっと休憩してさ。

それからまた走り出せたらいいと

思うんだ。



だから



「またね」

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ダイアログ:1017

彼女は言った

いつかは終わってしまうのね

終わるから始まりがあるなんて言わないで

そんなありきたりな言葉で

私を慰めようとしないで、と

だから僕は言った

終わりを決めるのは

君自身だよ

君が諦めの悪い人間で

まだ終わってない、なんて

スポーツ漫画みたいなことを言ってれば

少なくとももう少しだけは

終わりが来るのも先だったかもね

すると彼女は言った

下らないね

僕が返す

うんくだらない

でもこの世界は

どっからどうみても

下らないから

彼女は納得したように

それもそうね

でもそれって

なんの慰めにもなってないから

僕は小さく笑った

テーブルの上のコーヒーが

小さく揺れた




九月も末。

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LOST MEMORIES CⅧⅩ

「ただいま帰りました。」
「はい、お帰りなさい。」
チャールズにおかえりと微笑まれたのはちょっとぶりだった。いつにもまして華々しい。
「どうしてこうも私の周りは偏差値が高いんでしょうね。」
手を洗い、着替え、椅子に座り一言目。察したように苦笑を向けるチャールズは、大人の余裕というものだろうか。
今日の紅茶はアッサムティー。そして、一緒に置かれているのはストロープワッフルだ。
「今日の紅茶は味が濃いので、ぜひ一緒に。一応ミルクも置いておきますね。」
「……やっぱり高いと思うの。」
ぽとりと言葉を落とし、しかし隣のお菓子を見て目を輝かせる。その様子に、チャールズは目を細め、微笑んだ。
「キャラメルが溶けるまで、今日あったことでもお話ししてください。」
何かを感じ取ってか否か、そんなことを言う。省いていい部分と省きたい部分を考えて良い淀む。
その結果。
「明日、ヴァンパイアの方――霧英人さんとおっしゃるのだけれど、その方と少し出掛けてきます。」

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暗い空の

星を見るたび
今日の終わりがくる
そして明るい太陽を見るたび
明日の始まりがくる
終わって始まる
変わらず繰り返される
人もまた同じく
終わりと始まりがある
全ての物は
生まれた時からそれを
背負って生きて行くのだ

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電話

今何してる! だなんて藪から棒にどうしたの
ちょっと電話出なよ! だなんて突然どうしたの

夜学に通い始めて5ヶ月
人と電話なんてしてる暇なかったから
久しぶりの電話で緊張する!
なんて私の気持ちは置いてけぼりで
電話に出るなりなんなり「よう。」って
相変わらずだね本当に笑えてきちゃうよ

2年ぶりの電話は、あの頃と変わらない大好きな声
その声がだいすきで特別で、
独り占めできるから電話するの好きだったなあ

ひとしきり話し終えたら口を開かなくなるところ
2年経っても変わらないね、うれしいなあ

手を引いてもらわないとまっすぐ歩けなかった私
支えてもらわないと電車に乗れなかった私
必ず2人じゃないとエレベーターに乗れなかった私
そんな私ももう21になるんだよ
1人で歩けるし、電車もエレベーターも乗れる
もう大人なのに、なんで君の前だと子供なんだろ

子供みたいに笑って、子供みたいに話して
君の声が聞こえただけで子供みたいにほころぶ

まだまだ大好きな君が変わらずいてくれて
とってもとっても嬉しかった