僕は本当に人付き合いが苦手で
むしろ嫌いなほどで
それでもしも誰かが傷ついたりしたら
僕のどうしようもない我儘で傷つけてしまったのなら
空いた瓶みたいにそのことが虚しくて悲しくて
自分が、本当にどうしようもないように思えてくる
だからどうか僕は、きみにはもう触れないから
目の前の断崖を隔てたその先できれいに笑っていてくれ
僕のことはすっかり忘れてしまって
僕なんていないように振舞ってくれたら
僕はきっと悲しむだろうけど
それを背負って僕は行くよ、僕は歩き続けるから
たった一人の道だって
消え入りたい僕にはちょうどいい道のように見えるんだ
いつも笑顔だからとても明るい人だと思っていた
けど、いつも何かを抱えているんだね
作り笑顔がとても上手な人
愛想笑いがとても上手な人
だったんだね
僕たちは騙されていた
君の綺麗な笑顔に
それでも君を嫌いにはならない
他人の変わりに傷つく君は息をするように
“嘘”をつく
でもねただの“嘘”じゃないよ
優しい優しい“嘘”をついているんだ
だから君が僕らの他人の代わりに傷つくことは
ないんだよ
だから今日からは僕と一緒に
優しい優しい“嘘”をつこう
ありきたりなストーリー
ハッピーエンドの物語
どいつもこいつも上っ面?
顔に張り付けた優しい微笑み
口から漏れる甘い囁き
理想並べて
建前並べて
他人の不幸は蜜の味?
仮面外して
真っ黒な影
唇歪めて薄笑い
さあさお手を
仮面舞踏会にいらっしゃい
日が登るまで
踊りませんか?
夕焼け。一番星が、すでに姿を見せている。
送っていく。そう告げた英人の横には、恨めしそうに彼を睨む瑛瑠。
なんとなく、予想はしていたけれど。だからこそ、注意深く彼を見ていたのに。
一切の隙がない英人。
「一体いつお会計を済ませたんですか!」
彼女の納得いかない事とは、まさにこれだった。
「私から誘ったのにそういうわけにはいきません。せめて自分の分は払わせてください。」
一方の英人は煩わしそうに顔をしかめている。
「どこに、後になって女に請求する男があるか。
黙って男の顔をたてていればいいだろ。」
はじめに支払い方法を決めておけばよかったと、深く深く反省した瑛瑠。これではチャールズに預けられたお財布の意味がない。
眉間に刻み込めるのではないかというほどしわの寄っていた瑛瑠であったが、はたと立ち止まる。
なるほど、チャールズはこれを予期していたのか。
「英人さん、ちょっと待ってください。」
自分が自分を好きじゃないのに、自己アピールなんか出来るわけない。
口が上手い人が、要領がいい人が上手くいくようにこの世界は出来ている。
ただただやるしかない私は、もうどうしたらいいのか分からなくて、先の見えない人生を見つめて
途方に暮れている。
「いや、こっちの話だ。」
そう言って英人は自分のタルトに視線を移した。瑛瑠はしばらく英人の食べる様子を見ていたのだが、彼女もまたやられっぱなしのタマではない。
「英人さん。」
やられたらやり返さねば。目には目を、歯には歯を、である。……違うか。
「あーんしてください。」
フォークの先には、赤くて愛らしいラズベリー。瑛瑠に仕返し以外の他意はない。他意はないからこそタチが悪い。
これは、英人がある種の諦めに走った瞬間だった。
「へぇ……。」
そう面白そうに微笑んだ英人は、先程の瑛瑠のように顔を赤らめる、などということはなく、さも当然のようにそれを食べた。
瑛瑠といえば、恥じらいを微塵も見せない彼を多少不服に思いつつも、美味しいという言葉を返され、嬉しそうに、でしょう?と微笑むのだった。
ふと気づけば 世界はいつも
触れると壊してしまいそうなほど
透明でまぶしく見えた
時折顔を出す棘さえ愛しくてくるしくて
言の葉にのせてささやくよ
その一瞬だけ、つなぎとめていたい
わたしと 世界のあいだ
そこに確かにきみがいたこと
なによりうつくしい きみがいたことを
皆さま、「名前の詩」へのご参加ありがとうございました。
さあ実はこの企画、自転車で本屋に行く途中に思いついた企画です。
まさかこんなにご好評頂けるとは。嬉しい限りです。……。
のっけから堅苦しい挨拶はするものじゃありませんね。ラフに生きたい。
名前はいたる所にあります。ひとりの人が複数の名前を持っていても不思議じゃない時代です。
素直に喜んでいいのかというと、実はそうでもない気がします。ひとりひとりの素敵な、親からもらった名前が、大量の名前の波にのまれて、大切にされていないのではないか、と自問自答することがあります。名前程度で何をそんなに、と足蹴にする人もいるかもしれませんが、変更不可能な自分だけの名前は、本当に大切ですね。
……支離滅裂な発言、お許しを。このタグの募集はいつでもしています。
ではまた、面白そうな企画を思いついたら募集をしたいと思います。……でも今度は他の人のやつにも参加したいですね。誰かお願いします。