好きだもの
それでいいじゃない
少し前の私ならそう言ってた
好きだもの
それだけじゃいけない
それを知れたのは貴方のお陰
「思い出した。僕は死んだんだった。」
で終わる1話完結の物語を書いてください。
僕にはあまり文章を上手く書く力が無いので、誰かあまり怖くないやつを頼みます!
コートを着て、リュックを背負って、夜の散歩と洒落込もうか。
時は11月下旬の18時。まだまだ時間はある。
リュックには財布とカロリーメイト。コートのポケットにはスマートフォンとペンライト。
充電は89%。まだまだ大丈夫。
少し遠くに足を伸ばそうと、出鱈目な方向に歩いてみる。フードを被り、ポケットに手を突っ込んで反抗期を気取ってみたりして。途中の自販機で買ったカイロ代わりの温かい缶コーヒーを左手に持ち、空を見上げながらぶらぶら川沿いを進んでいく。
時間は?18時22分。まだ時間はある。
冬の澄んだ空気が星空を美しく映し出す。
オリオン座があそこだから、多分この辺が牡牛座かな?
写真に撮ろうと思ったけれど、スマートフォンではいささか画質が悪かったようだ。
時間はどうだ。18時35分。まだ大丈夫。
思いつきで駅の方へ行く。街が明るいのが良いね。
缶コーヒーは冷めてしまった。酸化しなければ冷めたコーヒーも悪くないな、なんて思いながらそれを飲み干し、きちんとゴミ箱に捨てておく。
時間は?もうすぐ7時か。そろそろ帰ろう。
帰り道、この景色を立方体に切り出したら楽しいだろうな、なんて想像する。街の灯りと星灯り。きっと素敵なジオラマだ。
軽やかなベルと、鈴を転がしたような声に迎え入れられた瑛瑠は、今日はお一人様だ。
「いらっしゃいませ。お好きな席へどうぞ。」
可愛い笑顔を携えた彼女を見るのは、これで2回目となる。瑛瑠は、カウンター席を選ぶ。今日は、目的があって来たのだ。
「今日はひとりなのかな?」
水を置きながら聞いてくれる店員のお姉さん。
「前に来たの、覚えててくださったんですか。」
少々の驚きを滲ませて聞くと、もちろんと返された。
「職業柄、お客さんの顔は覚えちゃうのよ。小さい喫茶店だしね。」
カウンター内へ戻るお姉さんと、今度は向かい合わせになる。
「どうして私がひとりだと……?」
「あら、違ったかしら。」
ゆるゆると首を振ると、店員の勘よとウインクが送られた。
フレンドリーで素敵なお姉さんだ。
瑛瑠は、息を吸う。
「ホットコーヒーをひとつお願いします。
――少しお話を伺ってもいいでしょうか。今日は、そのために来たんです。」
?視点
『?視点』ってどういう事とだよ と思ったそこのあなた。
まずは私が誰かお教えします。
私の名前は高山玲。もともとは捨て子だったところを拾われて、その恩返しに仕事の手伝いをしている。
どんな仕事かって?
まあ俗に言う『テロリスト』ってヤツです。
で!これから御影結月のいる、警察の特殊部隊特攻班に潜入し、テロやらなんやらの解決をする、
特殊部隊特攻班を潰そう! と言うわけで、特攻班の3人を暗殺します!
【続く】
首にポンって当てられた
あったかい缶コーヒー
振り向くと私の大好きな貴方がいた
「よっ、頑張ってる?」
貴方はいつものように笑ってた
「私、コーヒー飲めないのに」
「だと思ったから、紅茶も買ってきたよ」
貴方の優しさに切なくなった
今日は貴方と私の最後の日
こんな夢見たくなかった
そんな夜の立方体の夢。
始め、時計が一つあった。
古びた時計は奥深い音を響かせ時を刻む。
こつ……こつ……こつ……
ゆったりと心地よい低音が時を忘れさせる。
秒針は廻り、永遠のような時が過ぎていく。
ここで一人物思いに耽るのが私のお気に入りの時間であった。
いくらかが経って、時計は二つになっていた。
シンプルなデザインの新しい時計。
こつ……こつ……こつ……
かっ、かっ、かっ、かっ
古びた時計が遅いのか、新しい時計が早いのか。
ステップの異なるダンスを、しかし二つは楽しそうに踊っている。
二つの弾き出す音色は、珈琲の香りと混ざり合って消えていった。
また幾許かが経ち、時計は天を埋め尽くすほどであった。
無限の蒼穹に連なる時計たちはみな同時に秒針を刻み、万軍の行進のような大音響を打ち鳴らす。
カチ、カチ、カチ、カチ
ピッ、ピッ、ピッ、ピッ
タッ、タッ、タッ、タッ
ゴン、ゴン、ゴン、ゴン
カッ、カッ、カッ、カッ
こつ……こつ……こつ……
ひとつだけ違うテンポの音がかすかに聞こえる。
奥深く、ゆったりとした声音。
あの古びた時計は独り寂しそうに時を刻んでいた。
幾星霜の時を経て、古びた時計はいなくなった。
あの古びた時計は長年の時が狂わせた歯車が調節され、今は万の時計とともに何千何万とも知れぬ回数の針を叩くばかりであった。
古びた時計は、もう自らのテンポを忘れてしまったのだ。
白銀の老人は古びた時計を見つけると、哀しそうにその縁を撫でた。
もう私の時計はいなくなってしまったのだ、と。
久々の感覚、立方体のその部屋の、
あの場所の君に
あったかい缶コーヒーなんて飲めないけれど、夜は何だか短くなって、その日の夢にさようなら
ぼくの希望よいらっしゃい
ぼくはばけもの
みんなの闇にうまれた
ぼくはばけもの
みんなみんな
ぼくのしゃがれた声におののいて
醜い姿形に眉をひそめ
泣き叫び震えながら
ぼくの手を振り払うの
だれもぼくをみてくれないの
恐れをなしたひとびとは
ぼくに涙を生贄として捧げるの
な・み・だ・な・ん・て・い・ら・な・い・よ
ぼくは笑った顔がみたいだけなのに
ぼくは涙にうまれたから
涙しかみられないの
どうしてみんな
お互いを殺し合うの
どうして傷つくの
ばけものは
ぼくひとりでじゅうぶんさ
なんかさみしくなった
君がいないのは
前からなんだけど
ここで手をつないだなとか
ここでアイス食べたなとか
ここで服を買ったなとか
もう、どうしようもなく君が愛おしくなってます
「何それ。……いまどんな研究してるの?」
「DNAの鎖で立方体を作ってる」
「そんなのただの折り紙じゃん」
「その立方体を既存の乗用車のパーツに置き換えて組み立てたらどうだ?」
「……小さな、乗用車ができる」
「そうだ。つまりナノ乗用車ができる。その乗用車にやはりDNAの鎖でできたマニピュレータをつける。その車両は特殊な変異を遂げた細胞を取り除くようにプログラムされている。それを人間の体内に入れたらどうなる?」
「ガン細胞などの変異体をやっつけてくれる」
「ピンポイントでな」
「そんなのまだ先の話でしょ」
乃恵瑠はすっかり氷のとけたコーヒーを飲み干して言った。陽翔の目が光った。
「何だか、身体が、変」
乃恵瑠の様子に頓着せず、陽翔が立ち上がった。
「先の話じゃない。試作品はできている。だが量産ができなかった。量産できなきゃ従来の高額な治療費の壁をぶち破れない。これじゃ意味がない。だが画期的な方法を僕は見つけたんだ。マシーンは人間の細胞で作られている。人間の細胞に親和性がいちばん高いのは人間の身体だ。君が飲んだのは酵素入りのコーヒーだ。君はナノマシーンの工場になるんだ。悪く思わないでくれ。ひとりの犠牲で世界中の億単位の人たちが助かる」
と、言い終えるか言い終えないかのところで陽翔は血を吐きくずおれた。
「あっはっはっはっはっ」
「⁉︎」
「あなたが書類の束に忍ばせておいた試験管の中身、あれはただの水よ」
「何だと」
「あなたのいる前で堂々とすり替えたのに話に夢中でまったく気づいてない。シングルフォーカスしか持たない典型的なオタクね」
「なぜだ……」
「死ぬのやなんで。ま、わたしも女、告白欲求が強いから教えてあげるわ。どうせあなた死んじゃうんだから。わたしは某国の製薬団体に雇われた工作員なの。製薬メーカーの抗がん剤の売り上げってわかる? 風邪薬なんて目じゃないわ。あなたの開発した技術が出回ったらどうなるか、わかるでしょ。じゃ、おやすみ。あっはっはっは。あっはっはっはっは。あーっはっはっはっ」
夜はめっきり冷え込むようになりましたね。皆さま、ご自愛くださいませ。
「あったかいコーヒーと冷たいコーヒー、どっちがいい?」
両手に紙コップを持った柏木乃恵瑠(かしわぎのえる)が日向陽翔(ひなたはると)にたずねた。秋の昼下がりの研究室。昨日も遅くまで実験していたらしく、陽翔は椅子に腰かけたまま伸びをして、「冷たいの」と眠そうな声でこたえた。
「乃恵瑠は地元どこだっけ?」
コーヒーを受け取りながら陽翔が言った。陽翔の質問はいつも唐突だ。
「お父さんは京都、お母さんは神奈川。どうして?」
湯気の立つカップに息を吹きかけながら乃恵瑠が言った。
「性的な魅力のある人は遺伝情報に多様性があるそうだ。両親の出身地が物理的に離れているということは遺伝的距離も離れている可能性が高い。つまりその子どもは遺伝情報に多様性が生じる可能性が高いということになる」
「わたし、魅力ある?」
乃恵瑠がそう言うと陽翔は、「大したことない」と言って立ち上がり、散らかった机をごそごそやり出した。
「そういうふうにはっきり言っちゃうところが理科系なんだよなぁ」
乃恵瑠はそう言ってくすくす笑った。
「なあ」
「うん?」
「やっぱりあったかいの飲みたいわ。取り替えて」
「えー、やだよ」
「いまあったかいコーヒー飲むと、いいアイデアが出るってお告げがあったんだ。頼むよ」
宇宙を巡れ 光とともに
闇を切り裂け 仲間とともに
輝きのあの里を なだらかな大地を
守るため 僕らは生まれたんだ
大切なもの 壊したあの日が旅のスタート
世界が壊れ
僕らの旅が始まった
それぞれの星をめぐるストーリー
荒れた星をたくさん見たんだ
世界を救えるのはひとりひとりの希望の力
失った心を取り戻す力
それを放つんだ 宇宙の暗闇に
みんなの希望 集めて
重ねるんだ 今
あの闇に向けて
どんなに小さくてもいい
一人一人授けられた光があれば
僕らは世界を救えるさ
焦がれていたのは なんだっけ
憧れを並べてみた
なにか一つ秀でたものを
僕が焦がれた人たちはきっとみんな持っている
得意なものは なんだっけ
未来への分岐点
なにか一つの力で僕は
人生という勝負に勝てるのかな
ああ そんな僕に訪れるのは 平凡な日々
平凡な僕にしかできない何かはありますか
ねえ 神さま 教えてください
僕だけの何かが欲しいんだ
八月も下旬の熱帯夜。
うっかり「あったか~い」の缶コーヒーを買ってしまった僕は、ぶつぶつと自分の右手を呪い、
突然の点滅と警報。
ビクリと体を震わせた。最近の防犯設備は本当に防犯になっているのだろうか。
2進数の世界。
0と1だけの単純な世界。
すべてが、明滅、点の集合で表される。
僕らはそこにある夢の世界を旅する。
16進数の世界。
0からFまでの複雑な世界。
僕らはそこに自らの名をつけたポリゴンという立方体の集合体を放り込む。
おそらく一生会うことはないであろう人たちと歓談を交わす。
10進数の世界。
僕らの故郷。
なのに僕らは逃げ出す。
見えないものを信じ、見えるものを疑った。
ちょうど誰彼構わずがなりたてる防犯装置のように、
誰彼構わず拒んで、
誰彼構わず憎んで、
誰彼構わず熱をあげる。
まるでそこにあるものが見えないように、
僕らは友とお喋りする。
常夜灯の下。
パタパタと蛾がはためく。
猫舌ゆえに、
プルトブを引いたまま口をつけていないコーヒーは、
なんだがいつもより甘ったるい香りがした。