「私の話の前に、お嬢さまの涙の理由を教えていただけますか。」
静かに言うチャールズに、瑛瑠は困ったように微笑む。交換条件のつもりだったのだろうか。
きっと、「節度あるお付き合いを。」という発言について、瑛瑠が何かしら突っ込んでくると思っていたチャールズは、そこで帰宅が遅くなった理由や赤くなった目の理由を探るつもりだったが、違う話題を振られたために、いつも学校生活について突っ込まないからこそ、自分の話と引き換えに改めてその理由を引き出そうと言うのだろう。
しかし、どうして改めて。そんなに目が赤いのかと考え込む瑛瑠。それとも、
「……本当に、彼らと節度あるお付き合いをしていないとでも思っているの?」
そんな瑛瑠に、チャールズは一言。
「お嬢さまのわからず屋。」
まるで拗ねたような言い方に呆気に取られる。
「まあ、冗談ですが。」
「……冗談。」
「そんなことは思っていませんが、泣いた痕があるんですから、心配もするでしょう。なんせお嬢さまは、溢れるまで溜め込むしょうがない性格の持ち主ですからね。」
瑛瑠は思わず聞く。
「そんなに目赤くなっている?」
チャールズは微笑んだ。
「いつもと様子が違うことくらいわかりますよ、一番傍に居るんですから。」
恋しちゃって。辛くって。
また、泣いちゃって。寝ちゃって。
出し惜しみしちゃった、あの想い…。
忘れてた…そんなこともあったね…。
多分、もう後悔したくないから
ルーレットみたくまた巡って来たんだね…。
…好きだよ。
8時15分、あなたが銃を突きつけてきたから
3時45分、今度は私が突きつける番ね
もう一つ。
日本人というのは、安定思考だとよく言われます。どちらにも偏らず、はっきりと断言せず。それは、その波は、皆さんにも届いているのではないでしょうか。いつもは普通にしていられる。みんなと同じく「いい子」でいられる。なのに時々黒い「もう一人の自分」が出てきて、「いい子」とは正反対の、「悪い子」を演じようとする。でもみんなと同じでいなきゃいけないから、白くあらねばならないから、その「もう一人の自分」を一生懸命押し込めようとするのです。
自分は時々、そんな「二人の自分」の葛藤を「青春」と呼びます。
「黒鴉白鶴」は二重人格です。それは、ただ2つの人格があるのではありません。白と黒が、正反対の2つの人格が混ざり合って存在するのです。本来の白、もう一人の人格である黒は、それぞれ全く別のことを考え、逆ベクトルに行こうとします。
あなたと私。なんだか、似ていると思いませんか?
「黒い自分」は否定されなければならないのでしょうか。答えは、否です。だってみなさんは気づいているのですから。
何に?
白と黒の自分は「対」であることに。
私が、その証明です。「黒鴉白鶴」は、それでもちゃんと生きている。「逆」ではなく「対」だから。それでも辛くなったら、吐き出せばいいんです。後で「黒歴史」と言われようが、あなたの愛すべき相棒を、心ゆくまで踊らせてください。
ここなら、それができるのですから。
……もうすぐ始業のベルがなります。さあ、あなたも。
起立!
礼!
(思いっきり)
叫べーーー!!
皆さん、三日間のご参加ありがとうございました。最初の企画でとても不安でしたが、想定を遥かに超える数で、自分でもびっくりしています。
「対」とは、何でしょう。「逆」とは?
みなさんが今回送ってくれた作品には、「逆」なのに、似ている。だからこそハマっている、というものが多くありました。では、なぜ?……だいたい予想はついていると思います。「逆」というのは、文字通り正反対のことを表します。しかし、それには基準があるのです。何において正反対なのか。白と黒で言えば、それは色。もしくは無彩色となります。2つのものが反対だと言われることは、それらは同じ属性に属しているということであり、「逆」なのに、「反対」なのにピッタリとはまる源は、そこから来ているのだと、思います。それはいわゆる相互依存の状態であり、それをこそ「対」というのではないでしょうか。
今回皆さんにこんなお題を出したのは、もちろん私の名前やその設定からですが、こんな持論を展開したかったから、というのもあります。
結月視点
玲の仲間達から犯行予告が出た。怪盗かこのヤロー。と言いたくなる感じの犯行予告だった。その内容は今度の三連休のそれぞれの日に爆発する爆弾を都内の大型ショッピングセンターに取り付けたというものだった。
僕らの三連休は仕事でなくなるのか。
覚悟、決めなきゃね
【続く】
██な夜は
人の温もり██████
人の優しさが██████
降り積もる雪は
僕の心を████して
誰かの██が
冬の町に響く
聖夜と言うヤツは
あまりにも██で██で
だから僕は君のことを
████なんて思ってしまう
心にもないことを
冬█████████
███を██する████
寒さ█████████
█████が恋しい
だから僕はここで
君をずっと待っている
███████君を
███████待っている
アなたの人生ハ希望にあhureてイる
※この詩は新言語秩序によって検閲されま
孤独は掻き消せない。
クリスマスのイルミネーションが綺麗になる季節になってきた。
どこかに行きたいとか、
イルミネーションが見たいとか
先輩と出来たら行きたいとか、
声もかけられず、ただ夢の中妄想を繰り広げて仮幸せを感じる。
あーあ、現実になったらどれだけいいんだろーな
家に入るなり、「節度あるお付き合いを。」とチャールズに言われた瑛瑠は、一体どこまで知っているのだろうと疑問に思うも、言われるだけの瑛瑠ではない。
「チャールズは、ジュリアさんに何をしたの?」
少し顔を顰めた様子のチャールズが問い返す。
「ジュリアに会ったんですか?」
「すぐに逃げられてしまったけれど。……良くないことでも?」
ため息をついて、夜ご飯にしましょうと言うチャールズは、憎いくらい反応がいつも通りで。
「私、聞いているのですが。」
不満を全面に押し出す瑛瑠に、チャールズは苦笑する。
すると珍しく、こんなことを言い出した。
「ちゃんとお教えしますよ、私の学生時代の話でよければ。」
どう言った風の吹き回しだろう。
素直にされたらされたで、何か裏があるのではと思ってしまうくらいには、瑛瑠も期待しなくなっていた。