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Advent 12/7

「ねぇねぇ、もし好きな人がいて、クリスマスにプレゼントもらうとしたらさ、あたし、キラキラしたアクセサリーが欲しいなぁ」
「トモミ、キラキラしたもの好きだもんね。私は、おそろいのマフラーが欲しいなぁ~ ずっと持っていたい」
「わ~リイって結構ロマンチストなんだね~」
「おい、5年付き合ってそのセリフって…」
私は思わず苦笑した。トモミってこういうやつなんだよなぁ、でもそこがいい。
「そもそもさぁ、リイって好きな人ホントにいないの~?」
「いるかよ!!」
疑り深いトモミに、思いっきり突っ込んでやった。親友だからできること。やっぱ親友っていいな、と私は思った。
好きな人はいない。あ、でも好きなアーティストはいる。とにかく曲がいい。あと、歌ってる人のルックスも割とタイプ。
あーあ、あのライブに、あの人出るんだよな~ 行こうって誘われているし。
でもどうだろう。お母さんとかゆるしそうにないよね、お父さんも。そもそも塾あるし、そうそうは行けないな…
「ねぇ、リイ。奇跡って、あると思う?」
「は…」
いつもはニコニコ明るいこと言っているトモミが、突然(わりと)真面目な顔で聞いてきた。
しばしの沈黙。その沈黙を破るのはどっちにしろ私だ。
「どうしたのトモミ? なぜ突然こんなまじめなことを…?」
トモミの顔がわずかに暗くなった。なんかこの展開って…
「あのね、リイ。あたしね…」
私は息をのんだ。たぶんこの後起きるのは―
「志望校を、イケメンで決めちゃった」
「…はい…⁉」
なんか叫びたくなったけど、その前にトモミが話を再開した。
「いやさ~この間とある高校見学したらイケメン見つけちゃって…そこすごい気に入ったし~」
「…」
おい、そういうのってアリかよ。しかもそれ、教室で言う…⁉ まぁ、リア充願望のあるトモミのことだから有り得るか―
ちょうどチャイムが鳴った。みんなそそくさと―私もトモミも、自席へと急いで向かった―

よし! 今日中に書き上げられたぞ!

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LOST MEMORIES ⅢCⅢⅩⅦ

何を、言っているのだろう。
チャールズは、ほうと息を吐く。
「私は、そもそも預ける人がいけないと思うんです。どんな理由があれ、それだけ大切なら人に預けるべきではなかった。」
思わずチャールズの碧を見つめる。揺れるその碧は、曇り空の下の水たまりのような湿っぽさを含んでいた。
「しかしジュリアは、守りきれなかった人がいけないと思う性格なんです。預かるというのは、そういうことだから。」
少し寂しそうに微笑うチャールズは、優しすぎるんです,と付け加える。
「もちろん、どんな理由があろうと、人のものを傷つける人が悪いという人もいる。」
つまりは、そういうことです。
そう言うチャールズが、何かを言わんとしていることは伝わる。しかし、それがどう繋がるのか、掴めそうで掴めなくて。
険しい顔の瑛瑠を、お嬢さま,と優しい声が呼ぶ。
「ジュリアは人見知りなんです。今は少し、時間が必要なだけ。」
そう言って、久しぶりにくしゃっと頭を撫でられた瑛瑠は、黙ってチャールズの瞳を見つめていた。

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あめ三つ

一日に三つずつのあめ玉
小さくて丸っこくて、カラフルな三つ
ひとつは友だちと喋っているとき
ひとつはお風呂に浸かっているとき
ひとつは夜、あなたの声を聞くとき

明日も三つ、食べられるかしら

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死んだ昨日

僕等の今日があるのは
月が沈み陽が昇ったからではない
昨日が死んで今日が生まれたからである

いくら願っても昨日に戻れないのはそのためだ

ちゃんと昨日にお別れを告げたのか
昨日のことをまだ覚えているのか
今日は明日の昨日である
告別の言葉を持てるほど、君は今日を愛し抜いたのか

告げること叶わないのならば
死んだ昨日が化けて出てくる
愛せなかった昨日が明日に化けて出るぞ

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照りつける日差しのなかで 僕は

どれも安っぽくて違ったので、
なにも言わないでおくことにします。

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漂流記

青春という濁流で溺れながらも
今ようやく底に足が着いた気がした。

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赤い糸

ぐいっと手を動かすと
かさっと音を立てた運命の赤い糸
ほんの少し動いてみたら
貴方は近づいて来てくれる
本当に愛しいよ
愛する人に愛されて 
私はとても幸せ者だ
引っ張ったって解けない
切ろうとしたら鋏が折れちゃうくらいに
強い運命の赤い糸に結ばれた貴方が、すぐそこにいるんだから。

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狐の嫁入り

青い空から突然に雨が降ってきた
もちろん誰も傘なんてものは持っていない
みんなが雨を避けて早足になる中
私は立ち止まって空を見上げた
«なんて綺麗なお天気雨»
上を見上げるのは得意だ
泣いたって笑ってたって空を見上げる私
雨が青くてとても綺麗だ
きっともうすぐ虹が出るのかな

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笑っても泣いても、僕の手は無力で。

自分の無力さを呪う
そんな僕の日々
君を救いたくても
君はいつもどこかに行ってしまう
それが怖くて

嗚呼 手に力があればいいのに
満足に握力もない私の手は
ベースを弾いたり スマホをつついたり
ペンを持ったり 簡単にできてるようだけど
実はここ最近ずっと腕が痙攣してるんだ

笑う顔も泣いた顔も君の背中でなら
遠慮なく泣けるし笑えるんだ
だから君も、僕の背中で笑って、泣いてくれ

嗚呼、なんで私は人間なんだろう
君を救える同じ人間なのに
なんで救えないんだろう
あの人たちみたいにかっこよくなりたかった

いや、なりたいんだ
だから追いかけている。
追い続けている。
君の背中で。

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遠回しなお断りin埼玉

教師「君は頭が良いからな。東京大学目指すと良いんじゃないか?」
生徒「いえ、東大は遠いので…」
教師「じゃあ、君の第一志望ってどこなんだ?」
生徒「筑波大学です」
教師「………」
生徒「………」
教師「そっちの方が遠いのd」
生徒「すみません、僕この後用事がありまして。失礼します」

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PINOCCHIO

僕にもそんな

鼻があればいいと思う

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女であること

かっこいいも かわいいも
とっくの昔に誰かのものになってしまって
分かりやすい褒め言葉の台詞たちは
もう私の方は向いていない
高い背も
つり目も
父譲りよ いいでしょう?
スニーカーも
ジーパンも
いつでも駆け出せるよ

スカートにヒールじゃなくても
貴方に守ってもらわなくても
私は私だ

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No music No life #3

時雨視点


私の願いは叶わなかったみたいだ。先ほどまで普通に喋っていた結月が倒れた。こうなった時のために私と美月は結月のそばにいる。美月が
「結月姉ッ!」と叫んで、結月のそばに走っていく。その状況を把握できていない、玲は困惑していた。私はそんな玲にこう言った。「詳しく話は警備本部でするよ。だから、今は結月を運ぶのを手伝って。」
玲は静かに頷いた。その後私達3人で倒れた結月を本部へと運び、美月と一緒に玲に結月のことを話した。




【続く】
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短くてすみません。

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This is the way.[Ahnest]16

「今いるのが、ここ、テ・エストの中腹だ。テ・エストは三山脈で一番標高が低いから、明日か明後日には越えられるだろう。そんで、ここに集落がある。今歩いている道はこの集落に繋がってるんだ。ここで少し食べ物を買うなりして、休む」
アーネストはそう言うと、一番右の楕円っぽいもの(おそらくテ・エストなのだろう)を指さして、その奥の麓をグリグリと塗りつぶした。
「ただ、小さい集落だから、大したものはないかもしれない。憲兵も最近は視察にいってなかったみたいだからな。まあ、気性の荒い民族ではないから、きっと大丈夫だろう」
燃えさしを焚き火に戻した。火の粉がパッと上がる。
「言ってることはわかったわ、でも、」
シェキナが口を開いた。
「ほんとにそんなところに何かあるの?そんなところに集落があるだなんて聞いたことないわよ」
「ま、無いなら無いでいいさ。少なくとも廃墟ぐらいならあるだろ。薪ぐらいあるって」
「そうね、通り道だし、別になんてこと無いんだけれど」
「あったらラッキー、くらいだな。さ、ミートパイ食おうぜ」
話している間にパイは少しばかり焦げてしまっていた。それでもパイの中身はまだしっとりしていて、レンコンの歯応えも効いている。パリッとした皮の食感も楽しめた。雪の日は食べ物が傷みにくいのがいいよな、などとアーネストは独りごちる。