「ねぇねぇ、もし好きな人がいて、クリスマスにプレゼントもらうとしたらさ、あたし、キラキラしたアクセサリーが欲しいなぁ」
「トモミ、キラキラしたもの好きだもんね。私は、おそろいのマフラーが欲しいなぁ~ ずっと持っていたい」
「わ~リイって結構ロマンチストなんだね~」
「おい、5年付き合ってそのセリフって…」
私は思わず苦笑した。トモミってこういうやつなんだよなぁ、でもそこがいい。
「そもそもさぁ、リイって好きな人ホントにいないの~?」
「いるかよ!!」
疑り深いトモミに、思いっきり突っ込んでやった。親友だからできること。やっぱ親友っていいな、と私は思った。
好きな人はいない。あ、でも好きなアーティストはいる。とにかく曲がいい。あと、歌ってる人のルックスも割とタイプ。
あーあ、あのライブに、あの人出るんだよな~ 行こうって誘われているし。
でもどうだろう。お母さんとかゆるしそうにないよね、お父さんも。そもそも塾あるし、そうそうは行けないな…
「ねぇ、リイ。奇跡って、あると思う?」
「は…」
いつもはニコニコ明るいこと言っているトモミが、突然(わりと)真面目な顔で聞いてきた。
しばしの沈黙。その沈黙を破るのはどっちにしろ私だ。
「どうしたのトモミ? なぜ突然こんなまじめなことを…?」
トモミの顔がわずかに暗くなった。なんかこの展開って…
「あのね、リイ。あたしね…」
私は息をのんだ。たぶんこの後起きるのは―
「志望校を、イケメンで決めちゃった」
「…はい…⁉」
なんか叫びたくなったけど、その前にトモミが話を再開した。
「いやさ~この間とある高校見学したらイケメン見つけちゃって…そこすごい気に入ったし~」
「…」
おい、そういうのってアリかよ。しかもそれ、教室で言う…⁉ まぁ、リア充願望のあるトモミのことだから有り得るか―
ちょうどチャイムが鳴った。みんなそそくさと―私もトモミも、自席へと急いで向かった―
よし! 今日中に書き上げられたぞ!
何を、言っているのだろう。
チャールズは、ほうと息を吐く。
「私は、そもそも預ける人がいけないと思うんです。どんな理由があれ、それだけ大切なら人に預けるべきではなかった。」
思わずチャールズの碧を見つめる。揺れるその碧は、曇り空の下の水たまりのような湿っぽさを含んでいた。
「しかしジュリアは、守りきれなかった人がいけないと思う性格なんです。預かるというのは、そういうことだから。」
少し寂しそうに微笑うチャールズは、優しすぎるんです,と付け加える。
「もちろん、どんな理由があろうと、人のものを傷つける人が悪いという人もいる。」
つまりは、そういうことです。
そう言うチャールズが、何かを言わんとしていることは伝わる。しかし、それがどう繋がるのか、掴めそうで掴めなくて。
険しい顔の瑛瑠を、お嬢さま,と優しい声が呼ぶ。
「ジュリアは人見知りなんです。今は少し、時間が必要なだけ。」
そう言って、久しぶりにくしゃっと頭を撫でられた瑛瑠は、黙ってチャールズの瞳を見つめていた。
一日に三つずつのあめ玉
小さくて丸っこくて、カラフルな三つ
ひとつは友だちと喋っているとき
ひとつはお風呂に浸かっているとき
ひとつは夜、あなたの声を聞くとき
明日も三つ、食べられるかしら
僕等の今日があるのは
月が沈み陽が昇ったからではない
昨日が死んで今日が生まれたからである
いくら願っても昨日に戻れないのはそのためだ
ちゃんと昨日にお別れを告げたのか
昨日のことをまだ覚えているのか
今日は明日の昨日である
告別の言葉を持てるほど、君は今日を愛し抜いたのか
告げること叶わないのならば
死んだ昨日が化けて出てくる
愛せなかった昨日が明日に化けて出るぞ
どれも安っぽくて違ったので、
なにも言わないでおくことにします。
ぐいっと手を動かすと
かさっと音を立てた運命の赤い糸
ほんの少し動いてみたら
貴方は近づいて来てくれる
本当に愛しいよ
愛する人に愛されて
私はとても幸せ者だ
引っ張ったって解けない
切ろうとしたら鋏が折れちゃうくらいに
強い運命の赤い糸に結ばれた貴方が、すぐそこにいるんだから。
青い空から突然に雨が降ってきた
もちろん誰も傘なんてものは持っていない
みんなが雨を避けて早足になる中
私は立ち止まって空を見上げた
«なんて綺麗なお天気雨»
上を見上げるのは得意だ
泣いたって笑ってたって空を見上げる私
雨が青くてとても綺麗だ
きっともうすぐ虹が出るのかな
自分の無力さを呪う
そんな僕の日々
君を救いたくても
君はいつもどこかに行ってしまう
それが怖くて
嗚呼 手に力があればいいのに
満足に握力もない私の手は
ベースを弾いたり スマホをつついたり
ペンを持ったり 簡単にできてるようだけど
実はここ最近ずっと腕が痙攣してるんだ
笑う顔も泣いた顔も君の背中でなら
遠慮なく泣けるし笑えるんだ
だから君も、僕の背中で笑って、泣いてくれ
嗚呼、なんで私は人間なんだろう
君を救える同じ人間なのに
なんで救えないんだろう
あの人たちみたいにかっこよくなりたかった
いや、なりたいんだ
だから追いかけている。
追い続けている。
君の背中で。
教師「君は頭が良いからな。東京大学目指すと良いんじゃないか?」
生徒「いえ、東大は遠いので…」
教師「じゃあ、君の第一志望ってどこなんだ?」
生徒「筑波大学です」
教師「………」
生徒「………」
教師「そっちの方が遠いのd」
生徒「すみません、僕この後用事がありまして。失礼します」
かっこいいも かわいいも
とっくの昔に誰かのものになってしまって
分かりやすい褒め言葉の台詞たちは
もう私の方は向いていない
高い背も
つり目も
父譲りよ いいでしょう?
スニーカーも
ジーパンも
いつでも駆け出せるよ
スカートにヒールじゃなくても
貴方に守ってもらわなくても
私は私だ
時雨視点
私の願いは叶わなかったみたいだ。先ほどまで普通に喋っていた結月が倒れた。こうなった時のために私と美月は結月のそばにいる。美月が
「結月姉ッ!」と叫んで、結月のそばに走っていく。その状況を把握できていない、玲は困惑していた。私はそんな玲にこう言った。「詳しく話は警備本部でするよ。だから、今は結月を運ぶのを手伝って。」
玲は静かに頷いた。その後私達3人で倒れた結月を本部へと運び、美月と一緒に玲に結月のことを話した。
【続く】
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短くてすみません。
「今いるのが、ここ、テ・エストの中腹だ。テ・エストは三山脈で一番標高が低いから、明日か明後日には越えられるだろう。そんで、ここに集落がある。今歩いている道はこの集落に繋がってるんだ。ここで少し食べ物を買うなりして、休む」
アーネストはそう言うと、一番右の楕円っぽいもの(おそらくテ・エストなのだろう)を指さして、その奥の麓をグリグリと塗りつぶした。
「ただ、小さい集落だから、大したものはないかもしれない。憲兵も最近は視察にいってなかったみたいだからな。まあ、気性の荒い民族ではないから、きっと大丈夫だろう」
燃えさしを焚き火に戻した。火の粉がパッと上がる。
「言ってることはわかったわ、でも、」
シェキナが口を開いた。
「ほんとにそんなところに何かあるの?そんなところに集落があるだなんて聞いたことないわよ」
「ま、無いなら無いでいいさ。少なくとも廃墟ぐらいならあるだろ。薪ぐらいあるって」
「そうね、通り道だし、別になんてこと無いんだけれど」
「あったらラッキー、くらいだな。さ、ミートパイ食おうぜ」
話している間にパイは少しばかり焦げてしまっていた。それでもパイの中身はまだしっとりしていて、レンコンの歯応えも効いている。パリッとした皮の食感も楽しめた。雪の日は食べ物が傷みにくいのがいいよな、などとアーネストは独りごちる。