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久し振りにリクエスト良いですか?

会話形式の一話完結の物語をお願いします。どんなジャンルでも構いません。読んでて楽しくなるようなやつを期待しております。タグ指定は、そうですね、『会話形式』とでもしましょうかね。皆さん、頑張ってください。よろしくお願いします。

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This is the way.[Ahnest]19

「雪崩だ」
「え、何て?!」
「これはまずいぞ...!」
音はだんだん大きくなってくる。間違いなく、この岩屋の入り口の真上から来ている。
「...嘘、この音雪崩なの?!」
「そうだ!」
「でも普通雪崩ってこんなに音しないんじゃ...!」
「この雪崩は普通じゃないんだよ!!!」
そう、トルフレアでは滅多に起きないが、オヅタルクニアではしょっちゅう起こるこの雪崩。尋常ではない轟音を響かせ、近くにいた小動物はあまりの音に気絶するという。人々はこれを、『ティルダの怒り』と呼んだ。
「いいから耳を塞げ!!!!」
「...何て???!!!!!聞こえない!!!!!」
轟音はますます近づいてきている。アーネストは素早くシェキナを抱き寄せると、左耳を自分の胸に押し当て、右耳を右手で塞いだ。同時に左手で自分の右耳を、肩で左耳を塞ぐ。
パッと、岩屋の中が暗くなった。雪が入り口を塞いだのだ。シェキナがキュッと身を縮める。アーネストはいっそう強くシェキナを抱きしめた。

暫くすると、塞いだ耳に聞こえていた微かな轟音もおさまり、入り口を塞いだ雪の向こう側の日が薄く見えるほどになった。アーネストはホッと胸を撫で下ろすと、シェキナを抱き締めていた腕を解き、入り口の方へ向かった。少し雪をかくと、光が一筋差し込んだ。
「うん、閉じ込められはしなかったみたいだ。良かったな、シェキナ.........シェキナ?」
振り向きながらアーネストがそういうと、シェキナは顔を真っ赤に染めてへたり込んでいた。心做しかアーネストを睨み付けているように見える。
「どうしたんだ、シェキナ。あっ、まさか息できてなかった?」
「......何でもない!」
むすっとした表情のまま、シェキナはすくっと立ち上がると、入り口の方へツカツカと歩き、入り口を塞いでいた雪を蹴飛ばした。と、雪がドサドサッと崩れ、乾いた雪が舞い上がる。当然のように咳き込むシェキナ。「なんなのよホント...」とブツブツ言いながら岩屋の外に出ていってしまった。
「あっ、おいちょっと待てよー!」
慌ててアーネストが追いかける。薄暗い岩屋に、燃え残った焚き火のあとだけが残された。

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ふたご座流星群

ふと今日だと思いだして空を見上げてみた
小さな光が流れた
初めて見た流れ星
とても綺麗だった
寒さも忘れて外に出た
空中に流れる光
「あの子が…」
こんなに早いんだ
願い事言えないや
つまりそういうことか

でもいいや
こんなに綺麗なものを見れたんだ
もっと見ていたかったけど首が痛くなってきたし寒いし部屋に戻ろう
空っぽだった胸に光が降り注いだような満足感
星の力かな
BUMP先生の流星群を聴いて寝よう
また見れたらいいな

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珈琲

壊れてしまいそうな冬の朝を握りしめ

ふたりの間ほんの少し遮った

淡い白色の湯気を吸う

ずっと口に残った恋の味

静寂に響く豆を挽く音も

湯を注ぐその音も

ふたつのマグカップの色も

全部忘れたくないの

色褪せないうちに閉じ込めてしまいたい

透き通った黄金の琥珀のなかに

さあとびきりの苦い珈琲を淹れましょう

想い出を無造作に掴んで

なにもかも入れてしまいましょう

苦く痺れた最後の恋

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放課後

ストーブを囲んで
スマホを触って
話さなくて
無言で
ただそれだけ
愛おしい

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無題

コーヒーをひこう。
棚から必要なアイテムを持ってきてテーブルに置く。
ヘッドフォンとスマホで好きな音楽をかければ準備完了。
開いたときのこの匂い。これが結構好き。
ご…はち…きゅう…。この数が大事なんだ。たったの1つでも間違えば、コーヒーはひけない。


さて…見つけた。
コーヒー〈coffee〉
コーヒーノキの種子を煎って粉末状にし、これを煎じた飲み物。
ああ、「ひく」って、国語辞典で言葉を調べる方の意味ですからね?

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はぐみー

暖房に溶かされたアイスクリーム
冷えた足を絡めて遊ぶ
悪戯に笑う君の瞳

お気に入りのブランケットで包む
冷えた窓の結露も羨む
赤く染まった愛しい頬
心臓が規則性を忘れてしまいそうなときは

僕は君のチョコレート
パキッとおってひと口食べて
僕は君のホットミルク
今日はすごく寒いから
僕は君の三毛猫
ねぇほら抱きしめてよ


本当は
こんなことしてられないんだよ
やらなきゃいけないこと
たくさんあるの
だけど今が幸せならいいかなと
貴方の隣にすわって
微笑みとため息を交換する

貴方は私のチョコレート
全部溶かして包んでくれる
貴方は私のホットミルク
今日はすごく寒いから
貴方は私の三毛猫
ねぇほら抱きしめてよ



ねぇどんな夜だってそばにいるって
どんな涙もふいてあげるって
ベタな台詞を
吐くぐらいの甘さで
君は僕のチョコレート
口の中でとろけるように

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じゅうはち

どこへでも行けるとはもう思えないけど
どこかに行きたい気持ちだけ まだ抱えてる
きみがいないとちっとも大丈夫じゃなかったけど
きみがいなくてもずっと心臓は動いてた
自分のことも世界のことも
本当は何ひとつわからないまま
わかった顔だけ得意になってゆくのかな

重かった荷物の半分この方法
夕方と夜のあいだの青い時間
見つけたものは きっと
教えてもらったものだから

わたしの身体 わたしの言葉
ぐるぐるまわって いつか融けるなら
きみの中に住んでたいなって
内緒だよ、

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Advent 12/15

「ねぇねぇ、冬休みってさ、何する?」
「え~もちろん受験勉強でしょ」
「だよね~」
「それ以外にあるの?」
「メインは受験勉強だよ」
「まぁそうだよね~」
ノエルは苦笑した。まぁ受験生だもんね、頑張らないと。
「でもさー、ノエルはすごいよね~。だって偏差値60超えてるんでしょ? やっぱすごいよ~」
「え~、これでも志望校にはまだまだだよ?」
それでもイチゴは、ノエルはすごいな、と思った。自分なんかと全然違う。自分なんか、まだ志望校だってあやふや…
ノエルこと、桐淵ノエル・ブッシュとは、塾で出会った。それもそのはず、2人は学校が違うから、普通出会うことはないのだ。
たまたま塾で隣の席だったのがきっかけで、2人は友達になったのだ。
ノエルはイチゴよりも頭がいい。だから、友達でもあるけど、ちょっとした憧れの存在でもあるのだ。
「あ、そうだ」
ふとイチゴは思い出したかのように、カバンから何かを引っ張り出した。
「?」
ノエルはそんなイチゴを、不思議そうに見ている。
「はいこれ、ノエルへのクリスマスプレゼント」
「え、え、え⁉ ホントに⁉」
ノエルは目を輝かせた。イチゴの手の中には、プレゼントボックス型のストラップがあった。
「冬期講習が始まってさ、会う機会減ると思うでしょ? だから今のうちに渡しておこうと思って」
「え、あ、ありがとうイチゴちゃん。めっちゃ大事にするねコレ」
ノエルが喜ぶ様子を見て、イチゴもうれしくなった。
「あ、あとさ」
「?今度は何?」
ノエルはイチゴの顔を覗き込んだ。
「今度さ…25日、ライブ行けるようになったんだ」
「え…あ、ホントに⁉」
ノエルは予想外の発言にちょっと後ずさった。
「いや、もういっそ言っちゃおうかって…パパやママに聞いたらあっさりOKしてくれて、そっちのほうがビックリしたんだけど」
「めっちゃ行きたいって言ってたけど…ホントよかったね。楽しんでね」
このライブの話はよくノエルや親友の藍瑠に話していた。だからこんな報告ができるのだ。
(行くことができるから、)
みんなに、また会える。約束通り、もう一度、もう一度―
空を見上げるイチゴの顔は、本当にすがすがしかった。