時に、風となって大空を駆け
時に、花となって森を彩る。
時に、それは誰かを暖める毛布となり
時に、それは僕を突き刺す刃となる。
言葉が武器になりませんように
言葉が恐怖になりませんように
ぼろぼろの身体でも
僕はそれを、言葉にして叫ぶ
何のために生きているかなんて、解らないし解りたくもない。子孫を残すことがゴールだとして死んだら何になるの、と言ったから僕は君にチョコレートをあげようかな。幾度も冬はくるのに、あの青い空はいつまでも変わらないのに、この曲は終わるし、この定期テストのループも、きっと人生だっていつかは終わる、でもそれが今じゃなくてもいいと思うよ。
君のために、僕が恋することができたら、それでいい。
家族に怒り口調で話した日、私の心はちくりと痛んで仕方なかった。
「どうしてあんなこと言ってしまったのか」なんて考えても遅くて、ただただその時の光景が目に浮かぶ。
あんなに悲しそうな顔見たくなかった。
ぽっかり穴が空いたみたいな色のない時間。
止まったまま動かないんじゃないかってくらい、しんとしてた。
口に出した言葉はかえってなんてこない。
むしろどんどん先に進んでいく。
おいてけぼりなんだ。自分が。
言葉は自分がおもってたよりも、強い。
心に響いて仕方ない。
自分が嫌になって、なにもかも投げ出してしまいそうだ。
そんなとき、歌がかかった。
テレビの音楽番組だった。
そのバンドの名前は覚えていない。
けれど、こんなにやさしい言葉もあるんだなって、思った。
時々、魔法の言葉とかってみんなが言っててそれに耳を傾けてた。
私は魔法の言葉とか、ないんだって思ってた。
でも、暗い気持ちの中で灯りをともしてくれるようなその曲は魔法みたいだなって感じた。
ステージに立つその人たちみたいになれたらいいのかもしれない。
でも、わたしにはそれは難しいから、やさしい言葉を大切にしたいなって思う。
それは、少しだけ大人になれた日の、たしかな思い出。
「まぁいいですけど。」
拗ねた振りをする瑛瑠に、英人は苦笑して尋ねる。
「で、本当に聞きたかったことは?」
その言葉に、思い出したように瑛瑠は目を伏せる。
「私、望さんとの距離感がまだ掴めていないんです。こんな風に冗談を言ったりしたいのですが、どうしても……」
「好きだと言われたことがちらつくのか。」
伏し目がちな瑛瑠の続かなかった言葉を英人が紡ぎ出す。
どうして知っているのだろう。
ちょっと目を丸くした瑛瑠は、英人に問う。
「ふたりで出掛けてもいいものでしょうか……。」
英人にはないこの抵抗が、一体何からくるものなのかわからず、ただただ変化を恐れていることは確かで。
それでも、約束をうやむやにはしたくないと、そう思うのは無責任な欲張りなのだろうか。
ふっと降りた沈黙はあたたかい。
慌ててやってきた圭一さんが私に告げたのは、妹とはぐれてしまったということだった。トイレの前に立ってスマホをいじって待っていてもなかなか来ない。腹痛でも起こしたのかなと思って更に待っていると、遠くの方に妹の姿がちらりと見えたという。妹はすでにトイレを出ていて、SAの中を歩き回っていたのだ。すぐに妹の後を追ったが見失ってしまい、やむを得ず一度車の方に戻ってきたらしい。私は車にも戻ってきていない旨を告げると、圭一さんはらしくなく舌打ちを一つした。居ても立っても居られない、とでも言うかのように。
「妹に連絡はしたんですか?」
「何回も掛けているが繋がらないんだ。一応君の方からも掛けてみてくれ」
本に栞を挟んでしまい、スマホを取り出して電話を妹に繋げる。
「……繋がりません」
「不味いな」
如何せんここはサービスエリアだ。もし誘拐なんかでもされたら、車で連れ去られてそのまま高速道へ入られてしまう。そうなったらもう警察へ連絡するしかない。
「私は店舗とトイレを探します。圭一さんは駐車場をお願いします」
「分かった」
圭一さんが返事をすると同時に、私は車を飛び出すと、まずは店舗の方へ走って向かった。
もうすぐ春が来るね、
と言うあなたは
スノードームを見ながら
少しい寂しいね、
って呟いてた
こんなに張り詰めた空気のなかで
貼り付いた笑顔を剥がせない君に
まだまだ虚勢を張り続ける君たちに
春を待つ僕はそろそろ
膨らみつづける風船に針でも刺して
目を覚まそうか
消える街灯
Kissが始まりのSine
夜の街 愛し合う二人は
Kissで始まった
唇を重ねて
想いと共に あなた 抱きしめます
Kissから始まるラブストーリー
Kissが奏でる愛の物語
抑えきれないI LOVE YOU
私は今日も
あなたに 溺れて 微睡む
A「かめ」
B「メロン!」
A「……」
B「……パン」
A「……」
B「……屋。」
「つまらないわ!」
口を尖らせてそう言った彼女
『? なにがよ』
「つまらないものはつまらないのよ」
私は、その口をつまむべきなのか?と思うほど
まだ口を尖らせている
「あと1ヶ月もしないうちに、先輩は卒業してしまうのよ?それってつまり、あたしのこれからの人生に先輩はいないってことになるのよ…!?あぁもうどうすればいいの?あたし生きていける気がしないの!ねぇ、聞いてるの?」
しばらくして尖らせた口を開いた彼女に
そんな大袈裟な
そう思ったけれど口にはしなかった
それよりも彼女が告げた衝撃的な事実に
焦りを感じた
ごめんね 君のことは大好きだけど
先輩のことだけは譲れないから
ちょっとふざけたことを言ったときの
あなたの豪快な笑い
無理を隠す私に向ける
ちょっと困ったような微笑み
照れながら言うときの
くしゃっとした笑顔
拗ねたふりをした私に向ける
悪戯をしたような子どもの笑顔
いくつもの笑顔と
いくつかの涙を
共に過ごしてきた私たちだけれど。
あなたのその笑顔に私が何度も救われていることあなたは気づいていますか?
そのいっぱいの笑顔から受け取ることのできるいっぱいのちから。
僕はあなたに少しだけでも分けられていますか?
少しだけ我儘を言います
今日も明日も明後日も
来年も再来年もずっと先の未来でも。
隣であなたが心から笑っていることを祈っています。
だから
辛いときは無理して笑わなくていい
楽しいときは惜しみなく笑ってほしい
泣きたいときは涙が零れてしまうときは
無理に止めなくていい
泣き方も笑い方もわからない僕を
変えてくれたあなただから
この我儘もきっと聞いてくれるでしょ?
時間は
川のように止まることなく、流れるままで
海のように大きく、深く、どこまでも続き
湖のように静かに漂う。
流動性を持ち、干渉を拒み、拘束を嫌う。
その「時の水」は、
自分の中にある森から生成され流れてゆく。
感情や経験、思い出という名の雨が
主観的な思考という森に降り注いで
知識や生活という地層に濾過され
再び流れて行く。
川となり自分の生き方を定めるもの
海となり自分の心を決めるもの
湖となり自分の思考を溜めるもの
それぞれに別れていく。
だが、その水は不純になる。
ストレスや不条理という
負の経験と感情によってもたらされる汚れは
水を淀ませ、くすませ、忽ち滞らせる。
歳を取ればとるほど、時が流れれば流れるほど
自分の中に流れる水は汚れていく。
森となる木々も折れることもあるだろう。
地となる土砂も崩れることもあるだろう。
その災難が降りかかることで
無垢であった幼少期と比べれれば
青年期の水は目を疑う程汚れている。
その汚れは、完全に除くことは出来ない。
しかし、時に発散という浄化をしないと
自分の中にある水は汚れて腐ってしまう。
また、愛することで森が戻ったり
新しい命を息吹かせることも出来る。
愛があるうちはまだまだ綺麗でいられる。
朝の窓から差し込む光。
台所から響く心地よい音。
お味噌汁のいいにおい。
真っ青な空。
山に囲まれた街並み。
どれも毎日を彩ってきた風景、日常。
どんなときも優しく包んでくれた。
私の好きな世界。