ほんものは
しっかりとそこにあって
ぞっとするほど美しかった
らせん階段の先へ
のぞんだ世界と
しんでしまった昨日を抱いたまま
ただ、一歩ずつ
僕は
はやく消えてしまいたかった
どこでもいいから
この世界を外れ、どこか遠くへ
どこか淡くてどこか切なくて
この気持ちが弾けてしまったら
今のままじゃ居られない
触ったら
壊れてしまうような
脆くて儚い僕達だ
好きなバンドも
好きな作家も
もうしばらく会っていないひとも
会えないから
彼らはもしかするとパラレルワールドなるものに住んでいて
私と交わることはいつまでもないんじゃないかと
そう思ってしまう
それがただの考え過ぎだとわかったとき
幸せなんだと思った
だれかがつくった玄関先の雪だるまは
お尻からとうめいに融けて、
濡れた舗道がくろく、湿ったまま
外灯が照らした、雪の日のおわり
(ここらでは五年ぶりかな…起きたら雪でした。)
(もうすっかりとけてしまったよ。)
奇跡のような 運命の出逢い
長い時間を旅して来た気分
暗い暗い道を
あなたに出逢えて
私の未来は光で溢れた
あなたとなら
いつまでも一緒に
このまま
たとえ時間が二人を引き裂いたとしても
また繋がり合えると言えるよ
私はもう一人じゃないのね
瑛瑠は、ばっと右耳を押さえる。
「な、何するんですか!
わざわざ耳元で言わなくても良いでしょう!」
顔を真っ赤にしている瑛瑠を見て、さも面白そうに笑う英人。
「想像通りの反応をどうも。」
まだおかしそうに笑っているのを見て、瑛瑠はつんと顔を背ける。押さえた右耳は、まだ英人の言葉が残っていて、じんわりと胸が熱くなる。
隣の英人は立ち上がって軽く伸び、こちらを向いた。
「不安は?」
瑛瑠は見上げて悪戯っぽく微笑む。
「望さんとデートしてきちゃいます。」
そんな様子を見て英人は苦笑し、中指で瑛瑠の額を弾いた。
「!?」
驚きすぎて抗議の言葉すら出てこない瑛瑠に一言。
「なんか腹立った。」
ねえ、今週はバレンタインデーがあるでしょう?
だから連休の休みにブラウニー作ったの
あなたの好きなブラウニー
まあみんなのために作ったんだけど
あまっちゃったからさ、食べに来ない?
そんなメールを書いては消して、
あなたに会えないままでいる
恋愛だけが青春じゃないって
そんなこたあわかってる
ただ一つ言えるのは
あのときの僕の恋は間違いだった
だのに、僕の思いは
未だあの駅のホームで座り込んで
座り込んで動こうとしない
もうあのベンチに
座ることもないだろうな
帰らないあの日々
帰ってこなくていいけど
せめて受け入れられたら
せめて手放せたら
どんなにかいいだろう
二月と三月と十月と十二月は
僕の呪いだ
スプーン一杯のジャムを夕やけにかき混ぜて
日が沈むまでティータイム
夜が更けたらシュガーを入れて
どちらか寝るまでコーヒーブレイク
恋した
恋しちゃった
好きになっちゃった
いや、好きとはいわないよ?
だってあなたが言ってくれるんでしょう?
主観から乖離した情報などは無く、
視点を変えただけの自己世界で
私という一人称を抱きかかえた者が
感染症のように蔓延している。
それが、社会であり世界であるのだから
そんな素材は、磁石の反発する
という構造と似て交雑も干渉も束縛も嫌う。
学校なり会社なりに1つの箱に納めるという
統率行為は、愚行に過ぎず滑稽の極みである。
水が留まることを知らぬように人もまた知らぬ。
そこから繰り広げられる憎悪は凍土すら思える
気持ち悪さ感じる。
利他を思わず利己に囚われ、
情を囮にし、欲を先行させ
愛を貪り食う。それが人間であり
その醜い同士を掛け合わせ、
文豪が語る地獄のような絵を
具現化させたのが
今この世にある視点から
繰り広げられる物事では無いだろうか。
信じる信じない、愛する愛さない
否その事を思うことすら
はなはだしく馬鹿なる行為だ。
血の繋がりがない、他者に求める期待こそ
1番理解をして求めるものでは無い。
物事、者事は自分でしか知りえないのだ。
リスクもなければリターンもない
見返りもなければ傷もない
恋するまでは自分勝手で
恋してからは運任せ
ラッキーだったら近くにいられて
アンラッキーなら瞳にも映らない
無味無臭で味気ない
無色透明で素っ気ない
なんとも他愛ない恋だった