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ねがいごと

その世界には知らなかったことがある。
わたしのいる世界と、どこか似てる。
今いるわたしの世界はあなたのいる世界と繋がってるかな。
もし叶うならあなたのところまでいけたらいいのにな。

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さかさま

魚はそらを泳ぎ
鳥はうみを飛ぶ

さかさまの世界を。

あかいろで“進め”
あおいろは“止まれ”

「さようなら」は指輪と共に
「愛してる」で哀しい別れ?

時計の針はひだりへ進む

そっちの世界の僕は
きっと、よく出来た優等生

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A little sympathy

君は
君自身の孤独を
紛らわすために
他人の愛を利用するんだね
最低だよ
最低すぎる
だけど
そんな君を
僕は愛してしまったんだ
愛されることを知らない君に
知ってほしいことが
いくつもあるよ
奥底に隠された
君の真っ白なキャンバスに
僕の愛の形を刻みたい

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LOST MEMORIES 411

「──夢。」
目を擦りながら、上半身だけ起こす瑛瑠。
今までと同じなら、この夢も瑛瑠の記憶の片鱗。
右手をくるくると裏表にしてみる。そして、小指をたて、きゅっと手を握る。
「約束……。」
例によって覚えのない光景だった。
目の前にいた女性は、指切りだと言った。約束だと。
「生きて、か。
この子って、誰だろう……あの女性は誰だったんだろう……。」
やけに目覚めもよく、ひとつのびてベッドから抜け出す。
カーテンを開けると、入ってくる日の光。眩しさに少し目を細め、夢をそっと仕舞う。
まだ誰かの温もりの残る右手を、左手でそっと包み込んだ。

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憧れた世界と現実と。

あなたの袖から見える手は、わたしを引き止めようとも追いかけようともしない。
わたしたちの関係はいつだって、窮屈だった。
いつか憧れたドラマや漫画の世界。
そこでの恋は、輝いてわたしの心をひきつける。
経験してわかった。
恋は、くるしい。
たまっていた想いが、あふれてとまらない。
あなたは、わたしのことどう思ってるの。
考えてたら、もうあなたは目の前にいなかった。
繰り返す。想いを全部かき消すように。
わたしは、ただひとり。
憧れた世界と現実と。
その狭間で揺れる。
飲んだコーヒーの熱さと香りが、しみた。

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ロマンティックが矢面に立つ

夢を見て坂道で転んで
さようならを繰り返した遊歩道
たった一人の君も救えないでいた
遍くすべてを知っても
彩る世界を見ても
あの日の冷たい窓辺の夜には敵わないな
純情を装ったスカートの裾と舞台裏も
ロマンティックが矢面に立つ
横目で盗んだ誰かの言葉もお飾りだったら
ロマンティックが矢面に立つ
どうして僕らは空想でお腹が膨れないのか
それは僕らがなまものだからだね

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Addicted

カーステのノイズに掻き消されながら
僕の耳に届く
モダンな曲
お互いが同じheartbeatを
刻み始めたとき
それは君が僕に堕ちた証拠さ
永遠なんてないこと
君だって分かっているでしょう
だから君には
"今"の僕を見つめていてほしい
僕を満たす君
君を満たす僕

お互いがお互いに中毒なだけ

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桃太郎

むかーし昔、あるところに、お爺さんとお婆さんが住んでいました。
お爺さんは私有地の山に柴刈りに行きました。お爺さんは、柴や木材を売って生計を立てていました。小さいながら畑も持っています。
お婆さんは川へ洗濯に行きました。この当時の洗濯は、今と違って自然に有害な洗剤を使ったりしなかったので、文句を言う輩も居ません。
お婆さんが川で洗濯をしていると、上流の方から「どんぶらこどんぶらこ」みたいな音が聞こえてきました。見てみると、大きなモモが台車に乗って転がってくるじゃあありませんか。あの音はどうやら車輪のなる音だったようです。
さてお婆さん、勢いでモモを持ち帰ったものの、どうすれば良いか分かりません。こんな怪しいものを食べるわけにもいきません。
そこでお婆さん思いついた。
お爺さんに木材を少し貰う→掲示板を作る→お役人に立てる許可を貰う→「巨大なモモ拾ったんだがどうしたら良い?匿名希望ならこの掲示板に書き込んで」みたいなことを書いて村に立てる
そして3日後(モモは土間に放置してましたが、腐りませんでした。不思議。)、お婆さんが掲示板を見に行くと、「やっぱりバラさなきゃ始まらないんでは?」みたいな書き込みがあったので、それを採用することにしました。

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B

不愉快な星たちが輝く今日は
生き続けている

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たった1人

雨上がり。
空は灰色にどんより曇って風はない。
すべてのものが黒く濡れて光っている。
怖いくらいに静かで生き物の気配がしない。
薄暗いなかで変に色のついているものが目立って見えた。

もしかしたら世界の終わりはちょうどこんな感じなのかもしれない。

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「                    」

あまりにも、と蟻は言った。

あまりにも幼稚な感情活動であったよ。原稿用紙のほとんどすべてを空白に費やして、最後の行にたった一言。これは一体どういうことだい?

蟻は言い終えると大きく息を吐き、大仰に手を振りかざしてから腕を組んだ。
その言葉に僕が激昂するとでも思っていたのか横柄な態度とは裏腹に身を硬くしていたが、僕が微笑むと蟻はそれはそれで嫌な顔をして僕の続く言葉をなんとか否定したいようであった。

そうか、そうか。君の眼から見ても幼稚であったか。確かに単語の一つや二つで表せる表現などたかが知れている。僕の単細胞的とも言えるような感情活動では、この言葉を思い出すので精一杯だったようだ。

僕が困ったように微笑むと、蟻はもう一度嫌な顔を作った。

そうだ。こんな短い言葉など時間にして僅か。機械に任せれば一秒もかからないものを、机に座ってペンを持ち一昼夜かけて漸く捻り出すとは生物的に馬鹿だ。時間対での効率が悪すぎる。蟻はその間に百倍、二百倍の成果を挙げられるぞ。

嫌味の中の得意顔。蔑みと憐憫と僅かな自負心の影を原稿用紙の上に落とす蟻に、僕は封筒を引き出しから持ってきながら言う。目は紙の上に踊る短い言葉たちを見ながら。

なんでだろうねぇ。僕はこの言葉をたしかに書きたかったのに、紙の上に書いてしまうとどうしてもかっちり嵌らないんだ。もっともっとたくさん形容してみたり比喩も沢山使ったのだけれど結局全部無駄に思えて、書いては消してを繰り返して。残ったのは簡単で原始的で、限りなくシンプルな言葉だけど、だからこの手紙から多くのことを感じ取ってほしいんだ。

情報はその文字しか無くとも?

無くとも。どうして多くの余白を残したか分かるかい?

悩んだ時間の視覚的表現か?

いや。実は余白は、もう埋まってるんだ。




そこには僕が書きたかったすべてが書かれている。

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気付き

普段あまり聞かない ラブソング を聞いて気付いた
多分叶わない 片思いの人 の 人生に自分が少しでも加わる事ができてよかった

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限界値

部屋にただひとり。
カーテンを閉めて遮った。
イヤホンをつけて聞こえないようにした。
現実の世界なんてつまらない。
空想、理想。
その世界の方がよっぽど魅力的だ。
流れ出す音楽と映像は、現実を忘れさせた。
ふと接続を切る。
この世界に戻ってきた。
心は締め付けられるままだった。
むしろ、くるしくてたまらなかった。
理想の世界からあふれる光と音。
安定剤のようなそれは、もう僕にはきかない。
布団をかぶってたえる。
朝がくるのなら、この夜からも抜け出せるはずだろう。
心の中で繰り返される僕の声が、響く。
繰り返してきた疑問と答え。
それが詰まった部屋は、容量オーバーみたいだ。