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淡々

右に倣え の絶対ルール
疑いもなく今日も息をする
その全てが まとも な日常

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悪友 2.ハー ポイント オブ ビュー

「悪友、ねぇ…」
私は彼の言葉を反芻する。
「確かに、よくヒドイ言葉をぶつけあったり、互いにイタズラを仕掛けたり…そういう意味では、”悪友”はピッタリね」
「そうだろう?」
鮮やかなコバルトブルーのウィンドブレーカーを羽織っている彼は、そう言って歩き出した。
「…そうだ、面白い話教えてよ」
私は、彼の後ろに付いて行きながら言う。
「お前はお前で面白い話とかがあればしてやってもいいが」
「それがあいにくないのよ」
「フン、じゃ無理だな。俺のモットーは等価交換なんで」
そう言って彼は後ろを向くと、にやりと笑った。
彼は知り合いが非常に多く、常にたくさんの、色々な人の話を持っている。だからよく、情報屋みたいなことをしているのだ。
「…代わりにジュース1本ぐらいはおごってやるわ」
「そんなんじゃ俺は乗らないぜ」
彼はそう吐き捨てた。でも私はここで引きはしない。
「じゃあどっかの誰かさんと、ココアシガレットとサワーシガレットのどっちが素晴らしいかで小競り合ったとか言う話を言いふらされてもいいの?」
「うぐっ…」
彼の余裕そうな顔がゆがんだ。私は得意げに続ける。
「どうする?」
彼は数秒考えこんだが、すぐに口を開いた。
「しゃーねぇ、ジュース1本プラス俺のオヤツ代おごれ」
「OK、でもおやつは500円以内まで」
厳しいなぁ、てかアニメの中の小学校の遠足かよ、と彼は苦笑いする。
「…で、何の話がいい?」
「別に何でもいいわ。とにかく聞かせて頂戴」
私は、よき悪友に駆け寄った。

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世にも奇妙な物語⑧ 不審者は良い人その1

こんにちは。リータです。つい先日、私はこの街を平和な良い街だと言いました。……しかし、撤回します。やはりどこの街にも、不良の類はいるようです。なぜなら現に今、絡まれているのですから。
本当にすぐの出来事でした。興味本位で路地裏に入り込んでみたら、数十秒後には奴らに取り囲まれていました。
困っていると、誰かが声をかけてきました。
「やあそこのお嬢さん。お困りかい?」
そこには、コートを着た若い男性が立っておりました。
「はい。大変お困りです。助けてください」
「了解!」
そして彼は何か小さな物を投げつけてきました。それは、私と不良の間で円形のバリアになりました。
「無事かい?」
「はい」
「ここから逃げたいのだが、都合上ちょっと僕に掴まっててもらわないと困るんだけど、大丈夫かな?」
「はい」
「……君が将来、悪い大人に引っ掛からないか心配だよ……。じゃあ、できるだけしっかり掴まってて」
私がその通り、彼の肩辺りにしっかりと掴まったら、その瞬間彼はものすごいスピードで動き出しました。危うく振り落とされるところでした。
しばらくして、安全と思われる場所で彼はようやく停止しました。
「はぁ……。無事?」
「はい。ありがとうございます」
「いや、良いんだ」
「貴方も能力者だったんですね」
「うん……え?『も』?」

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「見たい」と「見た」

フェンスの向こうに見た暗い夜を魅力的と思ってしまうのは子供の特権だろう。入れないけれど、小さな頭で必死に考えているとそれだけで楽しかったものだ。闇に入り込んでしまえばいずれは慣れて、こんなものかと客観視してしまう。というか見えてしまう。たしかに知りたいとは望んだが、遠足は準備が一番楽しいともいうように、叶わずにぶーたれていた時期がこの年からして既に羨ましい。年を取るというのは、それなりに惨い。
幽霊の正体見たり枯れ尾花。見えてしまう。これはもう不可逆的なことだし、そんな理由で情報を厭うていると滔々と流れ続ける先の未来において不利この上ない。枯れ尾花。そう、それはとってもつまらないこと。人は未知を探すものだと、だからなのだろうか。
知り尽くす楽しみよりも、やはり空白を想像する楽しみ。これに尽きる。遠くから目を眇め、全容を頭に描いて動かしてみる。しかしそこまでしたら実際に見るよりほかに道はなくなってしまう。そこで少し年を重ねると実際に見る権限をもらえたり経済的な隔たりが多少改善されたり、ともかくついにフェンスの先の闇夜へ立ち入ることができる。果たしてそこに思い描いていた物以上の何かがあるだろうか。
「見たい」と「見た」の間には大きな隔たりが今日も存在している。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 3.セイレーン ⑩

彼女はうつむきがちに苦笑した。
「”周りに影響を与える”系の能力は下手すると周りに滅茶苦茶な影響を与えちゃうから… いつの時代も、そのせいで自滅する異能力者がいるんだけど…ま、それを防ぐために”記憶の継承”が起こるんだろうね」
”過去に同じ能力を持っていた人間の記憶を引き継ぐ”―異能力者たち共通の特徴が存在する理由が、分かったような気がした。
「…やっぱり、すごいですね、異能力者は…」
「そぉ? アタシにとっては当たり前のことだから、何とも思わないんだけどね~」
セレンさんは宙を見上げながら呟く。その目にはきっと、わたしとは違う風に世界が見えているのだろう。
「…わたしも、異能力者の”当たり前”理解できたらなぁ…」
「なんで?」
セレンさんが、わたしのほうを見て首を傾げる。
「いや、もし分かってあげられたら、仲良くなれただろうな~って」
「…もしや、”異能力”を知るキッカケになった子?」
「あ、まぁ”子”っていうか…”人達”なんですけど…」
言いながらわたしは、ちょっと恥ずかしくなって下を向いた。
「仲良くできないってヤツ?」
「…そう、です」
ドンピシャすぎて、顔を上げる気にならなかった。

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言葉について

絵や小説で”見た”ことを言葉にするのは翻訳と変わらないね。
つまらない。と思うんだけどなあ。
振り返ると、心の情景で”見た”ことを言葉に直してるんだ。
難しいよ、感じたものを。
言葉にするなんてことは。

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平和≠幻

「平和は戦争と戦争の間の騙し合いの期間」
誰かが言ってた
誰が言ってたんだっけ
まあそんなことは今はいい
大事なのは平和の定義
平和ってそんな程度でしかないのかな
しょうもない諍いで命が失われない世界
そんなのただの幻想でしかないのかな

そういえばこれも誰かが言ってた
「想像できることは実現する」
大勢vs大勢の争いがない世界、想像できる
じゃあ実現できるはず
でも想像してるだけじゃダメ
少しのことでも行動しなきゃ
平和を幻想なんかで終わらせないために

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一時期離れてたけど
恋しくなって
戻ってきてしまった
誰も待ってないのはわかっとるけど、
ただいま