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社会不適合者の僕は
つらつら歌を重ねてく
たった一人でも寂しくないよ

大嘘つきさん、さようなら

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梅雨の思い出

もう恋なんてしないから
あなたのことわすれさせてよ

すきだよ、なんてつぶやいた言葉は
あまつぶと一緒に地面にたたきつけられた

ありがと、なんていえるほど大人になれないから
目が合うことが二度とないようにしよう

そう決めたあの日は今日のまま
私はきっとまだこどものまま

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 4.フェアリー ⑱

「…せっかくだから、友達になりましょ?」
「え、は、え、え⁈」
突然の発言に、わたしは状況を全く理解できなかった。
「…どういうこと?」
訝しげに尋ねると、彼女は明るく笑って答えた。
「今言った通りだよ。お友達になろう! ただそれだけ」
「いや全然意味分かんないんだけど⁈」
大混乱するわたしを気にせず、笛吹さんは続ける。
「だからね、普通に友達になろうって… ずっと”興味”の対象で見てたけど、もう…こう、いっそ友達の方がいいかな~って」
「…はぁ」
イマイチ話の内容が頭に入らない。でも”興味”があるから友達になりたいとかじゃなくて…?
「とにかく! 友達になってもいい?」
笛吹さんはわたしにぐいっと近付いた。わたしはそんな彼女に押され気味だった。
「…ちょっと待って、”興味”とかそういうのがあるから、友達になろうとかじゃないの?」
あの4人―というかあの”彼”なんかはそうだったけれど、笛吹さんはどうなのだろうか?

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水滴

君は零れた言葉の端を
舐めとるようにくりかえす

僕はそんなの気にもしないで
君の手を取り水を垂らす

冷たい手のひら 溶けてく氷
君が笑って 僕は黄昏

たった2行の奇妙な連なり
君は薔薇より美しいとか。

マイナーコードのフーガト短調
窓外舞う 鳥の影が冗長

冷たいほっぺた 触れた時に
君が嬉しそうに 肩をすくめた

シャツに零れたジュースのように
ベタつく蒸気 ふたり 浴びるように

くだけた夕空 夏のはじまり
僕ら笑って 零れてしまうんだ

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私の死が降り注いだら

私の体の細胞が雪の結晶に置き換わって空から降り注いだなら、それを綺麗とあなたは言ってくれるだろうか。

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旧約生書

この世で生きていくための
オーディションに
不合格になっていれば
私は今ここに
いなかった。
1人になることもなかった。

「どんどん黒くなっていく自分が怖い」
と思いはじめたのは
いつからだったのだろうか。
地球が出来上がった頃だったろうか。
神は6日間で世界を完成させ
次の日、お休みになられた。
そんな
仕事の早い人間になりたかったなぁ。

赤色の彼岸花よりも
青色の薔薇の方が
美しいと思う、

ことができる目が、心が、
あればよかったなぁ。

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ママチャリと水泳部

君にとってはまな板の上の鯉だった?
それともわかった上の故意だった?
夜の匂いが濃い子犬
かかってこい的な目をしてる
溺れた恋のなか 僕は泳いだ 君は漕いだ
君のたてた水しぶきがかかって恋した
かかって恋 かかってこい うけてたつ

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おやすみは浸水式

いくらボルテージを上げて
泣きたい気持ちに潜っても
朝方には朝日にサルベージ
浸りたいのよ浸りたいのよ
左を向いて右目のなみだを
左頬に流したいのよ私たち
ひたむきにつかいたいのよ
夜の時間を朝までの時間を
ゆめなんかみていられない

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ミロ

その腕二本を海に捨てて
世界から美の称号をせしめた彫像がある

実にその通り、美しいだろう
不安定とは
奇なるものは
酔狂なれど美しいものだ
失い、欠け
背骨までもを侵されながら
素数の足取りで崖を征け

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思ったほど歩いてなかったり

頬を刺すような冷たい月明かり
には手が届かないから街頭に手をかざし
それでも指の隙間からこぼれるひかり
つかれきった僕の左目を照らし
とかやってる間もこの世はせをはやみ
ふたまたかかった付き合い方は
れしーとが長くなるからやめた
てつパイプの先で冷めてく赤いのが
みててなんか気持ちよかった
ただでさえドキドキしてて
いきが苦しいのに
笑いが込み上げてきてうまく吸えない
顔についた泥を袖で拭ったり
がっこうの裏庭がこんなに広かったり
みたことないような自分の顔が
ため池に映ってたり
いい加減にしてほしい真夏の昼下がり

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うぃざどーさんのひぐらし

ある雨の日、学校からの帰り、傘を差して歩いていると、建物と建物の隙間から何かが、のるん、と出てきた。人型のようだが、背丈は1mくらいだろうか。だいぶ小さい。そして少し大きい白いローブを着て、フードをしっかり被っていたので顔はよく見えなかった。ただそいつの二つの目だけがぎらぎらと光っていた。
何だろうコイツ、と思っていると、そいつは私の方に歩み寄って来た。見ると、プラカードのようなものを首からかけている。こう書いてあった。
『役ニ立ツウィザドーダ。拾エ。』
うぃざどー……ウィザードの間違いだろうか?
面白そうだったので傘の下に誘い入れ、家に連れ帰った。

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まっかっか

赫朱赤熾彤
赮   焃
紅 い 緋
熛   赯
赭絳赧猩丹

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なみだがでるよ

お椀の内側 米粒のこして
僕がお金を払ったからいいと言う
粒は米に立つと書くんだよ
でたらめな金八先生にだってなるよ
あの米粒の気持ちがわかるんだもの

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世にも不思議な人々㉔ コールユアネーム

安芸「あれ」
伏見「今日は僕らだけかな?」
他の人たちは都合が合わなかったみたい。
伏見「……誰?」
どーも、作者のナニガシさんですよ。
安芸「これは作者様。どうもこんにちは」
伏見「しかし作者が何用で?」
いや、最近みんなの名前が決まったじゃん?
伏見「キタさん以外な」
という訳で、折角だから互いの名前を呼び合ってみよう!ちょうど良いメンバーだし。
伏見「何だちょうど良いメンバーって」
安芸「でも、それだけで良いのなら簡単じゃないですか。終わらせてしまいましょう」
伏見「ああ、うん。しかし、どっちから始めようか」
そこはじゃんけんでいこうぜ。
伏見「負けたー。じゃあ僕からか。……あ、これって」
やっぱ下の名前のが良いんじゃね?知らんけど。
伏見「そうかい。頼りねえ作者だな」
うっせ。
伏見「えーっと……華世。これで良いかい?」
安芸「はい、多分。じゃあ次は私ですね」
何だ、意外とあっさり行けるじゃん。お前らしくもない。
伏見「ああ⁉うっせーな燃やすぞ!」
ゴメンナサイ。
安芸「………」
伏見「ん、どうした?」
安芸「ああ、いえ、別に何も」
伏見「そうなのか?なら早く済ましてしまおう」
安芸「はい。えーっと……あー……うー……」
伏見「どうした?」
安芸「いえ……えーと、せ、清次、さん……」
伏見「………」
安芸「?」
伏見「うぐっ」
安芸「ど、どうしました⁉突然胸の辺りを押さえて!」
伏見「いや、分からん。なんかこの辺が急に痛くなった。何今の呼び方。何故にあんなぎこちなくなった⁉普段もっと気軽に呼んでたよね⁉」
安芸「何ででしょうね?呼び慣れてないからでしょうか」
伏見「じゃあ他の奴らは?マホは?」
安芸「美帆ちゃん」
伏見「神子元?」
安芸「なっちゃん」
伏見「まあ同性は余裕か。じゃあオータロー」
安芸「初先輩」
伏見「ラモス」
安芸「マコト先輩」
伏見「何故にその二人は先輩付け?」
安芸「こないだ知ったのですが、あの二人私と学校同じなのですよ」
伏見「へえ。じゃあキタさん」
安芸「本名知りません」
伏見「阿蘇さん」
安芸「下の名前知りません」
伏見「じゃあ僕は?」
安芸「えー、………せ、清次、さん……」
伏見「だから何でそうなるかなぁ⁉」

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君の

君の目の色と
同じみずいろ
みずいろの雨
空が青いから
まるでまるで
君の笑い泣き
のようだった
笑ってほしい
訳じゃないの
あなたが一番
無理しないで
じゃないとね
私が泣けない
だからお願い
我儘をひとつ
聞いて下さい

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 4.フェアリー ⑰

「あ、いやそんなに気にしないで! …同じようなこと、前にもあったから」
だから謝らなくても、とわたしは言った。
2回目だから慣れてるってワケじゃないけれど…なぜかあまりビックリしなかった。
あの時は普通に友達だと思ってたから、興味の対象として見られていた事に気付いた時はショックが大きかったけど、今回は友達とかそういうのは考えていなかったから、意外と平気だったのかもしれない。
…もしかしたら、近くの席になったころからちょこちょこ笛吹さんが接触してくるようになったのは、シンプルに”興味”があったからなのかも…そう思った。
そう考えると、やっぱり異能力者って恐ろしい。
笛吹さんとか、あの”彼ら”とか、パッと見た感じは普通の人間とあまり変わらないのに、どこか”普通じゃない”ところがある―それは、彼ら”異能力者”は、過去の”異能力者”の記憶を引き継ぎ続けるからなのかもしれない。ずっと人々を見続けているのなら、ちょっとぐらい常識から外れていてもなんとなくおかしくないような気がする。
「…そうだ、不見崎(みずさき)さん」
ふと何かを思いついたように笛吹さんが手を叩く音で、わたしはフッと現実世界に引き戻された。