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燦々さんざめく

痛いくらいのきらきら太陽
負けたくないわ、きらきら笑顔
SPF最高値の装備で
波間を駆けろ。夏色乙女

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 5.クラーケン ⑯

「…いや、どうするも何も。もうとっくにバレてるんだけど」
「え?」
すでに開き直っているネロの言葉に、美蔵は唖然とする。
「い、いやぁ~…ね、色々あってネクロがやらかしてバレちゃったんだよ、盛大に。だからもうコイツの前で異能力使っても別にいいんだけど」
「は…?」
耀平は苦笑いしながら事情を説明していたが、美蔵はイマイチ理解できていないみたいだった。
「ホントはさぁ~、バレたくなかったんだけどさぁ…てかアンタ、そろそろ解除してやったら? この状況だとあの女にバレてるよ? さっさともう1人の自分を引っ込めろよ、…”クラーケン”」
…”クラーケン”⁇ それって…とわたしが思った時、目の前が明るくなった。
「あっ、戻った」
さっきまで真っ暗だった視界は、元の通り路地裏が見えている。
「…フン、まさかまた異能力者の知り合い増やすとはね」
ネロが音もなくわたしの後ろから出てきた。
「アンタ常人の友達いないの?」
「いや美蔵は昔からの知り合いだよ!!」
「ホントに?」
「いやホントだよ…」
疑いすぎだよ…と思いながら、わたしはうなだれた。

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無題

被支配者でいる分には構わない。ぶっちゃけそっちのほうが楽だからな。
けどたった一つだけ。奴隷にだけはなるな。

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依存

何も言わなくていいの
隣にいなくてもいいの
だからひとつだけおねがい
私の支えになってください
あなたの片隅の存在でいいから

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親友

「らぶのこと親友だと思ってたのに、こんな形で裏切られるなんて思わなかった」
「え、ごめん。悪気があったわけじゃ」
「悪気があったわけじゃないって!? 親友だったらわかんじゃん……もういいよ。友だちやめよ」
「ごめん。ほんとごめんなさい。新しいの買ってくるから」
「そういう問題じゃないでしょ! もういいよっ!」
 テーブルをばしっとたたいて杏樹が立ち上がった。
 わたしは黙って、器に残ったとけた氷を見つめた。
「もうこれからシェアなんてしない。翔君もわたしが占有するから。かき氷ほとんど一人で食べちゃったあんたが悪いんだからね。さよなら」
 そう吐き捨てるように言って杏樹は店から出て行った。
 一週間後、翔君にふられたのでやけ食いするから甘味処につき合ってと言われた。わたしは笑顔で応じた。
「わたしたち、やっぱり親友だよね」
 あんみつのバニラアイスを頬張りながら、杏樹が言った。
 わたしはところてんをひと口すすってからうなずいた。

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世にも不思議な人々をリストアップ4

鈴木燕(すずき つばめ)
伏見清次の友人。彼よりは一つ年下。つまり現役合格している。
能力 WAになっておどろう
時間を止めてその中で自由に動ける。制限時間などは特に無いが、喩えるならば水に潜るようなもので、あんまり止めてるとキツイらしい。教わるまで時を再始動するという点についてはこの能力の効果の範囲外だった。
作者のコメント
彼の場合は名前の方が地名由来です。ところで、燕市について調べてたら、市長が鈴木でびっくりしました。偶然ってすごい。

高崎有栖(たかさき ありす)
中二の少年。アルビノ。一人称が定まらず、使ったことのある一人称を挙げると、僕、私、俺、わー、なー、うー、我、うら、おいら、わっち、有栖さん、この高崎有栖、わちき、それがし、わたくしめ、オラ、我輩、などとキリが無い。
能力 子守歌
自分にかけられた暗示が世界にまで影響を与える能力。彼に嘘をついてはいけない。
作者のコメント
シューベルトのあれです。一応童謡の部類には入るはず。

前橋つくば(まえばし つくば)
有栖と同い年の少女。有栖とは10年来の友人。両親は理系だが、彼女は別にそういうわけではない。しかし腐っても科学屋の両親から産まれた自分が非科学の極みみたいな能力を手に入れてしまい、これで良いのかとも思ったが、難しいことを考えるのは得意ではないので、まあ良いかとそれについては考えるのを止めた。
能力 ひみつのパレード
対象を『呪う』能力。これは『のろう』能力にして『まじなう』能力でもある。
作者のコメント
苗字も名前も地名由来。呪術系は強い。というか、この辺でだんだん能力のレベルが暴走し出してる気がする。

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LOST MEMORIES 番外編「夏祭り」その裏側(中)

「花さん、本当にすみません!」
 会うなり平謝りの瑛瑠に花は驚いていたもの、事情を聞いて笑いだした。
「もう、何事かと思ったじゃない。瑛瑠ちゃんに怪我がなかったらそれでいいのよ。むしろ危ないもの履かせてごめんね。寿命だったのね、きっと。ちゃんと、貸す前に確かめておくべきだったなぁ……」
 店内には、話したことさえないもの、見知ったお客さんが、夜だというのに割といる。きっとお祭りだから、顔見知りはここに集まってきているのだろう。忙しいときにお邪魔してしまったと思い、瑛瑠はさらに恐縮してしまう。
「花さん、本当にすみません……」
「もう。大丈夫だって言ってるでしょ」
 花は笑う。まるで検診するように、下駄をくるくるさせて診ながら、直るから,とそう言った。
「今はなんでも、壊れたらすぐに捨ててしまうけど、直せるんだよ。昔の人だって、そうしていたんだから。花火までまだ時間あるよね?ちょっと待っててね、今手ぬぐい持ってくるから」
 花は、今直そうとしてくれているのだろうか。それは、あまりにも申し訳ない。
「ま、待ってください、花さん!大丈夫です!」
「え?今からでもまだ間に合うよ?」
「いいんです、大丈夫です。今日はお留守番してることします。みんな、今日は三人で楽しんで来てください。」

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後輩

親の性欲で産まれ、

身勝手な愛に育ち、

飽きられ、

迷惑がられ、

それでいて彼らの責任に寄生し、

翔ぶことも許されず、

またそんな勇気もなく、

上手に生きる事もままならない。


全てが楽しい事だけなら、生きていたいと思えるだろうか。

辛い事だけなら、簡単に翔べるだろうか。



「先輩。この先の人生が、必ず楽しくなると約束して下さい。」





二つしか違わない後輩の言葉に、僕は何も言えなかった。

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場内アナウンス(あとがき)

みなさんこんにちは、fLactorです。
先日の掲示板夏祭りへの参加、ありがとうございました。
皆さんのおかげで大成功のうちに終幕を迎えることができました。
お知らせですが、あとで掲示板夏祭りのまとめを作成しようと思っています。載せるのは今回の企画で使われたタグ「夏祭り」「思ひ出の詩」「百鬼夜行」のいずれか一つでも入っていた作品です。ご理解のほどよろしくお願いします。

夏祭り、楽しかったですか? と言っても皆さんは実際に会場に足を運んだわけでもなく、屋台に目を輝かせたわけでもなく、まして花火を見ることもありませんでした。この掲示板夏祭りでは言葉のみが唯一あなたの視覚、味覚、聴覚、嗅覚、触覚となり、あなたに夏祭りを届けるのです。そう、あなたは文字を読み、言葉として理解して夏祭りの会場を散策することができ、自らの夏祭りを想像し、それを言葉に直し、文字として投稿フォームに打ち込むことでこの祭りに参加できるのです。
今回の唯一の参加資格はそこでした。当たり前のことながら、この世界を見るとなかなかどうしてそれは難しいことでしょう。我々が言葉を解する、それで以て想像できるということがなんと素晴らしいことでしょうか。
あなたの中の夏祭りの一端を、電柱の陰から、路地裏の隅から、遠い入道雲の上から覗くことができたなら、これほど心躍ることはありません。

皆様に、心よりの謝辞を。

さて、9月辺りにめめんとさんが何か企画しているようですね。え? 今は審査員を選考中? 参加希望の生徒は書き込みのレスか廊下にて受付中だって?
……果たしてどうなることやら、見逃せませんね!(血眼)

コホン。

以上、掲示板夏祭り実行委員のfLactorでした。ご静聴ありがとうございました。
まだまだ暑い日が続くので体にはお気をつけて。

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LOST MEMORIES 番外編「夏祭り」その裏側(上)

 人ごみに流されるまま流され、足元に、投げ出された感覚を覚える。そしてそのままバランスを崩し、倒れこんでしまった。
「瑛瑠⁉」
 抱きとめてくれた歌名が非常にかっこよかった。
「ご、ごめん。あの、下駄が……」
 足元の拘束感が消え去ったのだが、それは片方の下駄が行方不明になったということで。とりあえず人混みを抜け、歌名の支えに甘えて道の外れまで出る。
「ほんと、すみません……」
「怪我はない?大丈夫?」
「怪我はないです、大丈夫。でも、下駄が……花さんに借りたものだったのに……」
 申し訳なさで押し潰れそうになっている今にも泣きだしそうな瑛瑠に、歌名は微笑む。
「大丈夫!二人が探してきてくれるはずだから!狼さんの鼻があればすぐ見つかるよ!」
 歌名の言うとおり、英人と望はあれだけの人混みの中から、すぐに投げ出された片割れを見つけてきた。
「瑛瑠、大丈夫か?」
「怪我はしてない⁉」
 二人が無事に戻ってきたことと、手に下駄を持っているのを見て、力が抜けてしまった。本当に良かった。
「私は大丈夫です。ありがとう、二人とも」
 ほっとした様子の二人だったが、望が困ったような顔をしている。
「望?」
「下駄、鼻緒が切れっちゃっているんだ」
 それでは、歩けない。
 さあっと血の気が引く。
「とりあえず、ここから近いから“Dandelion”に行こう」
 それは、瑛瑠の不安を煽らないための、歌名の咄嗟の判断だった。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 5.クラーケン ⑮

「―なっ⁈」
美蔵は驚きのあまり目を見開いた。
「え、どういう…」
何でここに…とわたしが言いかけた、その時だった。
「―!」
目の前が、真っ暗になった。
さっきと同じだ、視界には何も映らない。
だが、闇の中から声が聞こえた。
「―どういうことだ?」
誰かの、多分美蔵が、静かに誰かに尋ねている。
「え、おれに聞いてる?」
耀平の、彼らしいぽかんとした声が聞こえた。
「…そう、あと死霊も」
「おいさすがにその呼び名はやめろ。せめて”使い”ぐらいつけろし」
ネロは不満げに言った。でもあれ、美蔵はネロが”死霊使い”と呼ばれるものだって知ってるの?
「まぁそれは良いんだけどさ」
美蔵は2人に向かって、1つ間を取ってから聞いた。
「お前ら、盛大なまでにバレちゃったじゃん。どうすんの? これから」

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はなび

きみの目がにじいろに光った
覗きこんだ瞳のおくに今も